チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

イワシが食べたい

豊漁

勿体無い

おいしそう

さば

さんまの開き、15枚5000円

 

 

イワシが食べたい

イワシが安い

現在、日本海側を中心に「マイワシ」が異例ともいえる豊漁となり、地域のスーパーでは格安価格で販売され、物価高騰の中、「救世主」として注目を浴びています。

富山県や石川県のスーパーでは、「マイワシ」の価格が普段の4分の1程度まで低下、1尾10円ほどの価格で販売されており、消費者からは「栄養もあるし、安いのは購入する側にしたらありがたいね」「色々値上がりして厳しいときなので消費者としてはうれしい限り」といった喜びの声が上がっています。(ニュースサイトPAPT+α 2月24日付から)

イワシの漁獲量は、2005年におよそ2.8万トンにまで落ち込んだが、その後、徐々に回復、2020年には25倍のおよそ70万トン、過去20年で最大となった。

東海大学海洋学部・山田吉彦教授は、この状況について「イワシは大体20年おきに大豊漁と大不漁が繰り返されています。20年ほど前に大不漁がありまして、それからジワリと回復し、最近大分取れるようになってきている。特に海水温が上がってきている中で、(イワシのえさの)プランクトンが大量に発生している」と分析している。

漁獲量が増えているだけではない。現在、新潟県糸魚川富山県高岡、青森県陸奥湾など日本海側の砂浜には大量のマイワシが打ち上げられ、そのイワシを拾い集める人の姿もみられたという。打ち上げられた当初はピチピチ跳ねていたそうだ。自分が近くに住んでいたらきっと拾いに行ったと思う。新鮮な海の魚が無料で好きなだけ手に入る。チェンライでは夢のような話だ。

 

■サバはある

チェンライのスーパー、BigCで見かける海の魚といえば小ぶりのサバである。イワシと共にサバの漁獲量も増えている。サバはイワシをエサとしており、イワシの豊漁はあと数年続くとみられているので、サバも暫くはチェンライに出回ると思う。

主に日本では食用に向かない小型のサバが、アフリカと東南アジア向けに輸出されてきた。2018年には24万トンと過去最高の輸出量となった。東南アジアに輸出された一部のサバは、サバ缶ブームに乗って缶詰になり、日本に戻っていくとのこと。チェンライのサバは20センチ強と大きなアジ程度の小サバである。冷凍段ボールにはXX水産と日本の漁業会社の名前があった。冷凍技術の進歩により、サバの鮮度は問題ないと思うが、小サバは買ったことがない。でも中型以上の冷凍サバ、もしくはノルウェー産の加工済みサバは良く購入する。味噌煮、焼サバ、シメサバにして食べる。

イワシをエサにする魚はサバ以外にヒラメ、クロマグロなどの高級魚があるし、ブリ、ハマチ、タイなどの養殖魚のエサはイワシだから、当面、値段をあまり気にせずに刺身を味わうことができるだろう。

 

■漁獲量の変化

イワシ、サバの漁獲量が増える時はサンマの漁獲量が減ると言われている。サンマの漁獲量は2018年12万トン、2019年4万1千トン、2020年3万トン、2021年1万8千トンと激減傾向だ。自分が小学生だった1958年のサンマ漁獲量は57万トンだった。やたらとサンマが食卓に上ったはずだ。その後、増減を繰り返しながらも2014年まで年間、20万トンから30万トンの漁獲量があった。2015年から10万トン台に落ちてまだ回復に至っていない。サンマが取れなくなったのは中国や韓国の船が公海上でごっそり搔っ攫っていくからだと言われていたが、どうもそうではないらしい。餌が少なくてサンマが育たない。今、獲れるサンマは小ぶりで1匹せいぜい100g程度、自分が子供の頃のサンマは、1匹200gの大型揃いで脂ものっていた。

ウズベクでもチェンライでも乾燥した気候を利用して「サンマの開き」を作って友人に喜んでもらったものだ。2006年から2011年にかけて日本でも20万から30万トンのサンマ水揚げ量があったから、冷凍サンマがタシケントやチェンライにも出回ったのである。ウズでは2日干しただけなのにカチカチになり、サンマの開きというよりサンマセンベイだよと苦情を言われたことを懐かしく思い出す。いつかまたサンマの開きや丸干しを作る日が来るだろう。

 

■昆虫など食べなくても

漁業資源は増減を繰り返しながらサンマとイワシのように相補って推移していく。これは統計でも明らかだ。だから、ムリしてコオロギなど食べる必要はない。チェンライの市場ではコオロギを売っているし、自分も食べたこともある。コオロギが好きで好きでたまらないというタイ人を見たことがないからそれなりの味ということだ。

食は文化であるから伝統に従って美味しいものを食べればいい。コオロギ食はコオロギ太郎さんにお任せして、庶民は新鮮なイワシを食べるに越したことはない。ああ、イワシが食べたいなあ。