チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライ特産焙煎珈琲

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チェンライ特産焙煎珈琲

■チェンライ土産
チェンライ土産として一部の人の圧倒的支持を得ている品に珈琲豆がある。タイ王室では北タイの山岳民族にアヘンの原料となる芥子の代わりに茶や珈琲の栽培を奨励した。日中の寒暖差の大きいチェンライの山岳地帯では良質の珈琲豆が収穫できる。ただ、珈琲の木は山の斜面に植えられており、豆の収穫は人力に頼らざるを得ない。山から運ぶにもコストがかかる。

ブラジルのプランテーションでは 櫛のついた刃を回転させ、珈琲豆をしごいて収穫する。いくらタイの人件費が安いといってもこれでは太刀打ちできない。日本茶でも番茶から玉露まで各種あるように、珈琲豆と言ってもピンからキリ。ネット販売では1キロ1000円を切る珈琲豆もあるが、キロ・数万円という豆もある。チェンライの珈琲豆もピンキリであるが、日本人が経営するドイチャンの珈琲園の豆が200g1200円でネット販売されている。茶道ならぬ珈琲道があると聞いたことはないが、そういう流儀があっていいほど珈琲にうるさい人は多い。もし珈琲好きと自負するならチェンライの珈琲豆を一度は試してみる価値があるだろう。

地産地消
ドイチャンに珈琲を植え、それを手摘みで収穫し、焙煎も自前で行っている花園珈琲のことは書いたことがある。特別に浅煎りしてもらった花園珈琲の豆を兄や弟は、日本の友人、知人にチェンライ土産として差し上げる。当人の帰国より、またあの珈琲豆がもらえることが嬉しいという熱烈なファンが多くなったとのこと。ネットで検索したが手に入らない、ということもこの豆のありがたさを増している。日本人が焙煎しているのでいつも同じ味、美味しさが楽しめることも、品質にばらつきのあることが当たり前のタイではありがたい。

パナセリでアダムが焙煎、販売しているミーミー・ヨーヨーブランドの珈琲豆は深煎りであるが、苦み抑えめの上品な味だ。価格は250gで200B(600円弱)。
あまり珈琲を飲まない自分であるが、これはうまいと思った。アダムの珈琲豆も日本のマニアにとって垂涎の逸品となるだろう。ただ焙煎した珈琲豆は生鮮食品と同じであるから、煎りたての豆をいいタイミングで必要量仕入れることが難しい。

■増えた珈琲店
8年前、チェンライに来た時は珈琲店は数えるほどしかなかった。その頃はタイ人に珈琲を飲むという習慣が浸透していなかったと思う。来タイ当初、チェンライからメーサイまで60キロの1号線沿いに珈琲を飲ませる店ほとんどなかったが、今では道路沿いにカフェーと書いた店が20-30軒はあるのではないか。チェンライ市内の珈琲店を回るのが趣味という邦人がいたが、市内も珈琲店乱立で全店制覇はもう無理だろう。どうしてタイ人はこんなに珈琲を飲むようになったのか。珈琲店の中にはインスタントコーヒーを出す店もあると聞くが、本格的焙煎珈琲は「カフェ・ソッ」とタイ語で書いてある。ビア・ソッが生ビールだから、カフェ・ソッは焙煎淹れ立て珈琲という感じか。価格は1杯30-50Bほど、タイソバのクイッティオ1杯と同じだ。日本でも喫茶店の珈琲とラーメン1杯は同じ価格帯だと思う。

世界では年間約1000万トンの珈琲が生産されている。国別の生産量を見ると1位はブラジル、年産約300万トン(2013年)、2位はベトナムで150万トン、フランスの植民地だった関係で珈琲好きが多いとか。3位がインドネシアで70万トン、タイは、とみると第22位で5万トンとなっている。
タイ南部ではインスタントコーヒー用のロブスター種が生産されていて、北タイでは高級品のアラビカ種が栽培されている。生産量としてはロブスター種のほうが多い。

■輸出はわずか
ところで1キロの珈琲豆から何杯の珈琲がとれるかというと約80杯だそうだ。1トンで8万杯、1万トンで8億杯、5万トンで40億杯だが、タイ国民がひと月に数杯飲めば完全消費してしまう。ともかく5万トンではとても国内の需要をまかなうことはできず、タイは珈琲豆の輸入国となっている。国内での増産はどうかというと、山の斜面に点在する豆を手摘みするコストに比べると中南米インドネシアなどの大農場産珈琲のほうが圧倒的に安いので、生産意欲が削がれる。

少数山岳民族支援のため、日本のNPOが北タイの珈琲豆をネット販売しているが、フェア・トレードと銘打っているところからも、国際価格より高いことがわかる。でも日本人は良いものであれば、お金は惜しまない。いいものを知れば知るほどもっと上のものを求める。値段はいくらでもいい、チェンライ、パナセリのアラビカ種を、という注文が日本から殺到する日が本当に来ればいいのだが。




写真は珈琲の実、アダムのミミヨヨブランドの珈琲豆、花園珈琲。あとは街の珈琲店