チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

韓国からの避難計画に思う

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

韓国からの避難計画に思う

■4月1日のタイニュース
タイ政府、韓国在住者の避難計画策定 朝鮮半島情勢緊迫で

【タイ】タイ政府は朝鮮半島情勢の緊迫化を受け、有事の際に韓国在住のタイ人を避難させる計画の策定に乗り出した。在住タイ人の氏名、住所の確認と、緊急時の集合場所の周知を進め、避難が必要な場合はいったん、日本、中国、台湾に空路、海路で出国させ、その後、民間機、民間船、タイ海軍艦艇などでタイに帰国させる方針。
タイ政府によると、韓国在住のタイ人は約4万3千人。(引用終り)

タイは先の東日本大震災放射能事故が懸念された折、日本にタイ航空を飛ばしてタイ人を避難させている。タイ国政府には海外にいるタイ国民を護ろうという意志と実行力がある。

■危険情報
日本政府は朝鮮半島での有事はないという情報を得ているのだろうか、外務省の海外安全ホームページでは韓国渡航について何も危険情報は出ていない。
「危険情報」とは、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域に発出される情報で、その国の治安情勢やその他の危険要因を総合的に判断し、それぞれの国・地域に応じた安全対策の目安を知らせるものだ。

危険情報では、対象地域ごとに4つのカテゴリーによる安全対策の目安が冒頭に示される。

1.十分注意してください。

2.渡航の是非を検討してください。

3.渡航の延期をお勧めします。

4.退避を勧告します渡航は延期してください。

おそらくタイ政府は、日本外務省の危険情報のレベル3.渡航の延期をお勧めします、「その国・地域への渡航は、どのような目的であれ延期されるようおすすめするものです。また、場合によっては、現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性の検討や準備を促すメッセージを含むことがあります。」の危険を感じているのだろう。

■意外と多い韓国在住タイ人
韓国在住のタイ人は約4万3千人という。一方、韓国の在留邦人は外務省「海外在留邦人数調査統計(平成24年速報版)」によれば30,382人である。人口比ではタイ人は日本の倍以上、韓国に在住していることになる。

実はタイと韓国はビザの相互免除協定を結んでいて、90日以内であればお互いに自由に出入国できる。日本人の場合、タイにビザなしで滞在できる期間は30日間だけ、それも6カ月で90日以内という制限つきだ。韓国だけ不公平じゃないかといわれるかもしれないがビザ協定は相互主義。タイ国籍の人が日本に入国する際にはあらかじめタイの日本大使館総領事館でビザを取得しなければならない。日本国籍の人がタイにビザなしで30日滞在できるということはタイ政府の一方的温情措置と言える。

さて、韓国の在留邦人は3万人であるが、在留者以外に韓国に一時的に滞在している邦人観光客、ビジネス関係者等はどれくらいか。2011年の韓国への渡航者数は約330万人、旅行シーズンは多くなるのだろうが、一月平均30万人弱の渡航者がいる。渡航者の滞在日数を5日とすると5万人の一時滞在邦人が韓国にいることになる。在留者と合わせてざっと8万人の日本人が常時韓国にいる。

もし韓国に北朝鮮軍がなだれ込んできた場合、8万の邦人は一斉に韓国を脱出し、その多くは日本を目指すだろう。臨時便を何便飛ばそうが、福岡とソウルをピストン輸送しようが8万の邦人を短時間に救出することは不可能だ。邦人の帰国さえ困難な時に、タイ国籍の人をいったん空路、海路で日本に避難させる、というタイ政府の計画は実行可能なのだろうか。

■法改正を早くして
タイでさえ海軍艦艇を派遣して自国民を保護しようとしているのだから、わが日本国も自衛隊の輸送船、護衛艦を派遣し、輸送機を飛ばせ、という声が出てきそうである。確かに自衛隊法第84条3や同法94条5により、自衛隊は海外邦人の保護、輸送ができる。しかし、自衛隊が海外で邦人保護にあたる場合には3つの制約がある。

その3つの制約とは

第1.外務大臣の依頼が必要であること、

第2.輸送の安全が確保されていること、

第3.自衛隊の受け入れに関わる当該国の同意を要すること、

外務大臣防衛大臣自衛隊の出動を依頼するのは当たり前だが、朝鮮半島有事の際、輸送の安全が確保されていると考えるほうがおかしい。また差し迫った状況で韓国が自衛隊の受け入れに同意するのか、もしかすると同意しないことも十分ありうる。そうなればお手上げだ。

邦人はもちろん、友好国であるタイの避難民も日本の自衛隊が救出します、と胸を張って言えるよう、1日も早い自衛隊法の改正を、さらには憲法の改正を期待してやまない。


「現行の主力輸送機C-130」「次期輸送機C=X」「輸送艦おおすみ