チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

誠意は通じるか

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誠意は通じるか

■イランプロジェクト
1970年代のイランプロジェクトをご記憶の方はおられるだろうか。イランの国営石油公団と日本側は三井物産始め民間5社が50%共同出資してイラン・ジャパン・ペトロケミカル・カンパニー(IJPC)を設立し、同社がイラン南部バンダルシャープールに巨大な石油化学プラントを建設するという壮大な計画があった。イラン革命が勃発し、85%まで工事が完成しながら、結果的に日本側は1300億円の清算金を払って幕を閉じた。

もし、この事業が成功していたら、「あれは俺がやった」という人が100人、もしくは1000人くらい出てきただろうが、失敗に終わったので、悪いのは当時の三井物産社長の池田さんだけになっている。「本プロジェクトについては資料があまりありません。プロジェクトに参加した人も口をつぐんでいます」と書かれたネットがある。

しかし、非売品ながら「IJPCプロジェクト史」という本が出ているし、関係者からの聞き取り調査をもとにした資料もある。

1979年1月イラン国王パーレビが出国し、入れ替わりに2月にホメイニ師が凱旋帰国した。工事が継続できる状況ではなく、3月には現場にいた邦人3千名あまりがイランを緊急脱出した。自分もその一人だった。

■尽くせば分かってもらえる
今回はIJPCの体験談を書くのが目的ではない。大体、ラオスの小旅行3日分だけで、数本になってしまう冗長ブログである。イランの経験を書き始めたら2年くらいかかってしまう。

話は命からがらイランを脱出して、IJPCから本社へ復帰して間もなくのことである。30歳前後の若手を集めての人事研修があった。
人事部長の講話の後、フロアから質問が出た。「イランプロジェクトは現在中断しておりますが、これからどうなるのでしょう?」。
人事部長の答えが面白かった。「魚心あれば水心という例えもある。日本側が一生懸命、誠意を尽くせばイラン側は必ず工事再開に応じてくれる」。

馬鹿なこと言っちゃいけない、思わず、はい、はい、はいと手をあげてしまった。「回教国と日本では文化が違います。こちらの誠意とか善意が通じる国ではありません。そういうことを言っていたから工事中断に追い込まれたのです、つまり・・・」
人事部長の顔がみるみる赤くなって「評論家みたいなことを言うんじゃない、やめろっ」と一喝された。仕方ない、席に着いた。その後、人事部長からはことあるごとに嫌味を言われた。会社であまり出世しなかったのはこのせいではないと断言できるが、部長の「誠意は必ず通じる」という言葉は妙に頭に残った。

■尽くし足りない私が悪い
尖閣竹島問題で日本は中国、韓国に譲歩を重ねた結果、日本人の80%以上が両国に反感を抱くようになった。日中友好40周年とか韓流ブームといった皮相な言葉にだまされず、やっと日本人も中韓の本質に気付き始めたような気がする。民主党のおかげである。

2010年9月、中国の工作船とみられる漁船が尖閣諸島の日本領海内で海上保安庁の巡視船に突っ込んで巡視船2隻を破損させた。日本政府は事を荒立てまいと、公務執行妨害で逮捕した船長を1月もしないうちに釈放した。船長は中国のチャーター機石垣島から福建省福州の空港へ戻り、英雄帰還といった歓迎を受けた。船長釈放により中国の態度が軟化すると期待されたが、その後も領海、領空侵犯を続け、尖閣は中国固有の領土という主張を繰り返している。

韓国併合100周年を機に管首相が韓国に改めて過去を謝罪し、韓国の歓心を買おうと、返還する必要のなかった朝鮮由来の図書「朝鮮王室儀軌」返還を表明、翌2011年に韓国に引き渡された。
その後、韓国は京都、奈良、東京、九州の国立博物館にある朝鮮由来の文化財4422点の返還を要求してきた。韓国側の要求は民間にもおよび、ホテルオークラの大倉集古館所蔵の高麗時代初期の石塔の返還を要求している。もともと平壌にあった塔については取りあえず韓国に持ち帰り、その後北朝鮮に返還するとしている。集古館側の相談を受けた文化庁は民間の問題は民間同士で解決してくれと責任を回避した。

誠意を見せれば相手も譲歩する、この阿吽の呼吸が通じる国と通じない国がある。少なくとも中韓は譲歩すればこれは相手が弱いから、とかさにかかって要求をエスカレートしてくる。儒教華夷秩序で格下とみればなおさらだ。

戦後67年、もういい加減に「誠意を尽くせば分かってもらえる」という幻想が通じないことに気付くべきではないか。それともこれからも「尽くし足りない私が悪い」となし崩し的に譲歩を繰り返していくのか。

安倍政権に希望を託したい。


写真はチェンライの市場です。山岳の人が店を出しています。