チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイ人との会食

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タイ人との会食

■友人の友人
友人のHさんから、財務省に勤めていたスラチャイ氏が、明日チェンライに行く、一緒に晩飯でも食べてはどうか、というメールを貰った。

Hさんは日本政府から派遣され、タイ国首相府に勤務していた。当時の首相、タクシン氏と昵懇で、タクシン氏が国を追われてからも家族ぐるみの付き合いを続けている。昨年12月、元首相の長女、ピントーンター・チナワットさんが若手実業家とバンコクで結婚式を挙げた時、日本から招かれている。元首相の数少ない日本の友人と言っていいだろう。

人と会うのは決して嫌いではない。新しいことを教えてもらったり、違った意見を聞いて新鮮な気持ちになれる。こちらもいつもの話題やギャグが使える。親しい友人や親族だと、「それ、前に聞いたよ」とバカにされるが、初対面の人ならチャンと聞いてくれるし、時には笑ってくれる。聞き手がよければ芸も進歩するというものだ。

■川に面したテーブルで
スラチャイさんから電話があった。今夜、ディナーにご招待するので、ホテルのロビーに18時半にお越し願いたいとのこと。ご招待か、ラッキー。
相手は退職公務員、ホテルにお迎えにあがり、しかるべきレストランにご案内し、自分が御馳走しなければ、と思っていたのだ。

待ち合わせ場所はコック川に面した高級ホテルだ。ビュッフェランチがチェンライで一番美味しいと聞いて、2,3度来たことがある。
スラチャイさんは小柄ではあるが短髪で姿勢がよく軍服が似合いそうな紳士だ。初対面の挨拶がすむと「母上のご容態はいかがか」などと尋ねてくれる。

私はこのホテルの庭が好きで、と言いながらコック川を見下ろすオープンのレストランへと案内してくれた。庭の一角に白いテーブルがあり、タイ人が10人ほど座っている。スラチャイさんはそのテーブルにいた60過ぎの紳士を紹介してくれた。このホテルのオーナー、チュティマさんだ。促されるまま席に着く。大晩餐会という感じでいくらか緊張。
席に着くなり、チュティマさんが「このホテルには日本人客が少ない、チェンライに日本人観光客を呼び込むにはどうしたらいいか」と聞く。

■邦人観光客誘致策
少々面食らったが、何か答えなくてはならない。

チェンライのセールスポイントは何かを考えてみましょう。古い歴史、チェンマイより涼しい穏やかな気候、多民族の豊かな文化、静かな里山の癒し、やさしい人々、それに、他都市に比べて、ホテルや飲食のコストが安い。
チェンライには300名ほどの邦人が在住しており、日本人会会員のほとんどはここの生活に満足しています。人間関係の軋轢を逃れて、チェンマイからチェンライに移り住む人もいます。チェンマイを訪れる観光客もチェンマイにない癒しを求めてチェンライに足を延ばすよう、チェンライの美点を維持強化することが必要でしょう。急激な拡大は望めなくても、日本人はよさを認識すれば必ず来ますし、リピータとなります。

ファランにはチェンライのトレッキングが大人気です。でも日本の国土の70%は山林に覆われているので、山歩きはそれほど邦人を引きつけないかもしれません。
またチェンライはバス、ソンテウトゥクトゥクの数が少ない。居住者はもちろん、旅行者も車が必要になる。チェンマイでは車がなくてもあちこち行けますよね。

■ご接待
チュティマさんの息子のジュンポルさんも加わって、チェンライらしい観光発展とは、という話で盛り上がった。ところが我々4人以外は黙って食べているだけ。チュティマさんにあの人たちは御家族ですか、と聞くと、いや、従業員です、という。オーナーとの食事会にスラチャイさんと自分が割り込んでしまったみたいだ。

スラチャイさんが自分にチェンライで新事業を立ち上げてはどうか、と言い出した。ジュンポルさんが応援するという。やっと働かなくても暮らせる身分になったのです。もー働くのは嫌だ。組織にいた頃は気に入らない人と付き合い、かなりストレスがあったが、今は好きな人とだけ付き合えばいい、こんなに楽しいことはない、というと、スラチャイさんが初めて笑って同意してくれた。

いつの間にか同席していた従業員はいなくなった。チュティマさんは彼らの残したスモークサーモンの前菜を息子に勿体ない、食べろと指示している。最高級ホテルのオーナーでもシビアなものだ。
チュティマさんは請求書を5分近く点検して、おもむろに財布を取りだした。今夜はチュティマさんの奢りらしい。
スラチャイさんはそれを当然のように見ている。退職しているとはいえタイの政府高官は、越後屋に対するお代官様の立場にあるように思った。


写真上から「マンゴーの木」「チャイヤブルック」団地内で見た花です。