チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイの下院選挙

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タイの下院選挙

■5月10日下院解散
任期満了まで半年余りを残し下院が解散された。7月3日が投票日、選挙運動期間は50日以上、
チェンライでも立候補者のポスターが目立つようになった。
下院の定数は500、小選挙区で375、比例で125の議席を争う。見どころはアピシット首相率いる反タクシン派の与党民主党、タクシン元首相派の野党タイ貢献党のいずれが第一党になるかである。どちらの陣営も過半数議席を獲得するのは難しいと言われ、地方住民、貧困者層に支えられたタクシン派と、権階級、中間層を中心とする反タクシン派との抗争は続く見込みだ。

バンコクでタクシン派の占拠地域に治安部隊が突入し、デモ隊を強制排除したのはつい1年前、5月19日のことだった。日本人カメラマン1名を含む94名が死亡、千数百人が重軽傷を負った。その後もタイ各地には戒厳令が敷かれていた。
最近でも政治集会があるのでバンコクの一部地域に日本人は近付かないようにという大使館のお触れが、たびたびネットで送られてくる。
表面、落ち着いているように見えるが、タイの政界波高しなのである。

タイ貢献党
タイ貢献党比例代表リスト第1位に、タクシン元首相の末妹であるインラック・シナワトラ氏(43歳)が選出されている。下院比例代表第1位がその政党の首班候補とされることから、タイ貢献党が政権を握ったらそれはインラック氏が総理大臣になることを意味する。
彼女は国立チェンマイ大学で政治学学士、米国ケンタッキー州立大学で同政治学修士号を取得している。政治を専攻してきているのだが、これまでビジネス界で過ごし、国会議員など実際の政治経験はなし。

「政治経験はないが私には政治家の血が流れている。兄 (タクシン氏 ) からも政治手法を学んだ。兄を信頼したように私を信じて下さい」と決起集会の挨拶で述べている。
若さと美貌、タイ初の女性首相候補としてインラック人気は急上昇中、また選挙資金も豊富で、チェンライの立て看の半分以上はタイ貢献党候補のものだ。追い上げに躍起となっているアピシット首相はタイ貢献党の地盤である東北部を回り、お寺に宿泊するなど庶民目線の選挙戦を展開している。

■国会で過半数を占めても・・・
過去3度の下院選挙ではタクシン派が第一党を占めてきた。2005年の前々回の選挙ではタクシン派が議席の75%を占め圧勝したのだが、これに不安感を感じた特権階級が軍部と結んで2006年にタクシンを国外追放した。クーデタ政権下で行われた2007年の前回選挙でもタクシン派が多数を占めたが、民主党の切り崩しにより、タクシン派の一部が民主党に寝返ってアピシット政権が誕生した。現アピシット政権は民主党始め6つの政党からなる連立政権であるが、大臣ポストや金で少数党やタクシン派の一部を釣ったと伝えられている。

タイの選挙にお金がついて回るのは決して非難されることではない。票の買収は常識だ。10年前は1票200Bだったそうだ。今は500Bくらいか。一時、買収はいけない、その代わりモノを配るのはいい,ということで住民が皆同じプラスチック容器を持ち歩くという現象があったそうだ。

■お金がすべて
タイ語で家柄のいい人を「バーン・ルアン」という。直訳は「お金持ちの家」だ。お金はなくても家柄のいい人はいるでしょう、と聞くと、タイではそういう人はいない、お金があるイコールいい家柄ということになるという。
日本では公家の多くは年柄年中ピーピーしていたし、貧乏士族という言葉もある。タイ人には「武士は喰わねど高楊子」の心境は理解出来そうもない。

お金持ちは、前世でタンブンを積んだ「徳の高い人」でもある。徳の高い候補者からお金を貰って、他の人に投票することは宗教的悪行(バーブ)になってしまう。
徳の高い政治家はその徳を慕ってくる選挙民にしかるべく情けをかけてやらなければいけない。持ちつ持たれつの関係がこうしてできる。

ある候補者の選挙ポスターにこの関係を明快に示すキャッチフレーズが印刷されていた。ブログでその写真を公開しているのでぜひご覧いただきたい。いわく、「ミー・ナーム、ミー・グン(情けもあるし、金もある)」。

政治家は選挙にお金がかかるので当選した暁にはせっせと不正蓄財に励む。決してほめられることではない。それならば、不正蓄財に励む必要のないお金持ちの候補者に投票するのがいいのかもしれない。
タイは「お金」を尺度にしてみるとかなりのことが説明できるわかりやすい社会である。


写真一番上が「タクシンの妹インラックさん」、その下「右が現首相アピシットさん」、「こんな怪しい候補者も」、一番下「情けも金もある候補者」