チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

選挙戦、佳境に入る

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選挙戦、佳境に入る

■選挙情勢
最近、選挙の立て看が増えた。7月3日投票で375の小選挙区と125の比例代表で争われる。政党には番号が割り振られている。タイ貢献党は1番、民主党は10番だ。比例代表の投票用紙には、支持する政党の番号にX印を付ける。文字の書けない人が多かった時代の名残だ。政党名に大きなX印の付いた立て看を見ると、ちょっと変な感じがする。前回の下院選挙では中選挙区制を採用していたので、少数党もそこそこ議席を得ることができた。今回は小選挙区が主体であるから、先の日本の総選挙のように一政党が地滑り的大勝利を収める可能性がある。

選挙戦はここにきて、タクシンの妹、インラック氏に率いられた野党、タイ貢献党が一歩抜け出しているという。インラック氏は政治経験がないことからアピシット首相の対抗馬として力不足と見られていた。しかし各地での政治集会、選挙活動でエネルギッシュかつ庶民的という、タクシンをほうふつとさせるパフォーマンスを見せ、評価が急上昇。5月にバンコク大学が実施した世論調査で「次期首相に誰がふさわしいか]との問いに、インラック氏が約27%と、2位アピシット首相17%に大差をつけている。
またタイの大手新聞社が行った下院選情勢調査で、バンコクの33の小選挙区のうち19でタクシン元首相派の野党タイ貢献党が優位に立っているという結果が出た。アピシット首相率いる与党民主党がリードしているのは5選挙区のみ。残る9選挙区は接戦となっている。バンコクはこれまで与党民主党の牙城で、前回選挙では33議席中27議席を押さえていた。

政権運営
こうなると、民主党と連立を組んできた少数与党の中には、選挙運動期間中にもかかわらず、タイ貢献党にすり寄るところも出始めた。エリート層、中間層を主な支持母体とする民主党が政権を握れば、政治は安定するとみられるが、貧困者層に支えられたタイ貢献党が勝つことになれば、また政治的混乱が起こる。
前々回の総選挙でタクシン派は議席の75%を占める圧勝を収め、タクシン内閣は盤石と思われたし、タクシン追放後の前回選挙でもタクシン派は第一党であった。しかし、貧困層の権利台頭を心配した軍部と特権エリート層、一部中間層が結んで、選挙の無効やタクシン派政党の解党を憲法の名により命じたのである。
同じことが7月3日の選挙結果のあとに起こらないという保証はない。日本もタイも元首を戴く議院内閣制であるが実態はかなり違う。ブッシュ前大統領のように国民による国政選挙が(監視団のもとであっても)スムースに行われれば、民主主義が根付く、などとナイーブな思考を持っている人はそれほど多くないと思うが、タイでも選挙と民主主義とは別物といえる。

投票率が高いわけ
タイの投票率は高い。通常は80%前後、前回総選挙では75%ほどだった。「高投票率からタイ国民の政治関心度の高さがうかがい知れ、選挙参加は国民の義務ということがタイ国民の中に浸透しているようです」と書かれたレポートがあるが、そうだろうか。
投票率には2つの理由がある。一つはタイでは義務投票制が採用されている。義務投票制とは法律で投票を義務付けることで、世界では30カ国以上の国が採用している。投票に行かないと罰金や入獄を科せられる国もある。タイでは罰則はないというものの、実際は請願の不受理などお役所からの見えない締め付けがあるという。日本では野党時代の管直人氏が義務投票制導入を主張したことがある。

2つ目の理由はもちろん買収だ。以下はタイの新聞記事から。

タイ総選挙、「票買収に応じる」65%

 私立アサンプション大学(ABAC)が10月15―20日バンコクなど14県の18歳以上を対象に実施した世論調査(回答者3758人)で、「金品による票買収に応じる」との回答が全体の64.6%に上った。また、票買収の現場を目撃した場合、「選挙委員会、警察に通報する」は17.1%で、82.9%は「通報しない」と回答した。
タイの選挙では、有権者に数百バーツを渡し特定の候補者への投票を依頼することが一般的に行われている。 特に地方では、農家の臨時収入として定着し、事態改善は困難な状況だ。

前回の選挙ではバイアグラを無料配布した候補者もいたし、自宅でストリップ付きの宴会を開き、参加者には金券のお土産を渡したという候補者もいる。一応、買収については罰則があるのだが、捕まったという話は聞かない。
チェンライはタイ貢献党の牙城で、与党民主党の立て看が破られたり、アピシット首相の顔写真にヒゲの落書きがされている。南部では逆に野党の立て看が破かれているという。選挙妨害取締りの法律はある。しかし現行犯でも多分、捕まらないのではないか。

写真上から「我が地区のタイ貢献党候補」、「我が地区の民主党候補」、「破られた立て看」、「街道沿いの看板の列」