チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

片雲の風にさそはれて 7

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片雲の風にさそはれて(7)

■景洪からラオス
カードが使えず、ドル紙幣も銀行以外では意味を持たない。インターネットは接続制限があるし、言葉は通じず、ぶっきらぼうな人が多い。夜は11時に変な電話で起こされる。景洪ではストレスの多い時間を過ごした。一度、中国本土へ足を踏み入れれば充分、という気持もあったので、早々に同じルートでラオスのボーデンに戻る算段をした。そこからルアンナムターに行って1泊するもよし、その日のうちにタイに戻ってもいい。またボーデンからルアンプラバンに出て、そこからビエンチャンに行くのも悪くない。ビエンチャンはタイ国境近くだ。タイのノンカイまでバスで1時間もかからない。ノンカイ近くのウドンタニからチェンライへは長距離バスが出ている。

ビエンチャンからバスでベトナムに行くこともできるが、それは自分の体調と路銀が続くかどうかにかかってくる。自分の場合、気が小さいものだから路銀が乏しいと体調まで悪くなってくる。カードが使えないばかりに景洪では歯まで痛くなってきた。早くチェンライに戻るのが正解か。

バスターミナルへ行き、乗車予定月日を紙に書いて窓口に提示し、ラオス国境までの前売り切符を買った。切符売り場は薄暗く、受取った薄っぺらい紙には小さい漢字がゴチャゴチャと書いてある。眼鏡なしではとても読めない。このとき、切符の確認を怠ったのがよくなかった。

■バスターミナルで
2日後、早めにバスターミナルに着き、バスに乗り込んで指定席に座った。近所で買った玉蜀黍を齧りながら出発を待っていると男がやってきて「そこは俺の席だ」と言って切符を見せる。自分の切符も同じ座席番号だ。男は係員を呼んだ。係員は自分と男の切符をひったくって事務所へ行く。
やがて戻ってきた係員は、自分の切符の日付を指してものすごい剣幕で怒鳴る。よく見ると自分の買った切符は前日の日付になっている。要するに翌々日の日付を紙に書いて頼んだのに、渡された切符は翌日の切符だったわけだ。

乗車予定のバスは満席、国境のモーハン行きのバスは1日に2,3本あるから午後の便に乗れないことはない。しかし、切符の払い戻しはできないようだ。というより事情を説明することができない。日本円で700円位ではあるが乗車券を買いなおすのも業腹だ。

係員は切符売り場まで付いてきて「没有、没有(だめ、だめ)」と大声で言う。自分は被害者でありこそすれ、偽キップで無賃乗車をしようとしたわけではない。なんだ、人を犯罪者扱いして。一方的に言い捲くられるままにバスターミナルを出た。言葉がしゃべれないということは辛いものだ。

■予定を変更して昆明
トボトボとバス乗り場を出ると航空券売り場があった。西双版納から雲南省内の昆明、大理、麗江、あるいは重慶、上海など中国各地に行けるようだ。
西双版納から空路チェンマイにも行けるのだが、このまま引き下がっていいのか。ここで自分としては珍しい行動に出た。
カンボジアラオス、西双版納とこれまでずっと陸路、バス利用だった。西双版納から昆明まではわずか500キロほど、両市を結ぶ長距離バスは当然ある。バスターミナルで不当な扱いを受けて気分がむしゃくしゃしていたせいであろうか、昆明行きの航空券を即座に購入してしまった。世の奥様方が気晴らしにショッピングで大散財、という気持が初めて理解できたように思う。

昆明について知っていることといえば雲南省省都で、司馬遼太郎が「街道をゆく」シリーズ、「中国・蜀と雲南のみち」の中で、省博物館や嗔池という湖に触れていたなあ、とおぼろげに記憶するくらい。また昆明が「シャングリラ」だ、というレポートを読んだ覚えもある。

シャングリラとは英国の作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に出版した「失われた地平線」に登場する理想郷の名称で、ここから転じて一般的にユートピア桃源郷の同義として扱われている。
小説の設定ではチベットの未知の地域にある。ヒマラヤ山脈の西の果てを崑崙山脈のほうへ向かった辺りに、カラカルという高峰があり、そのふもとの霧の漂う調和に満ちた谷間に、シャングリラという僧院が建っている。シャングリラに住む人々は普通の人々よりはるかに長生きし、老いる速さは非常に遅い・・・・

観光用のキャッチフレーズにはシャングリラという名が頻繁に出てくる。そこで中国は、10年ほど前、雲南省デチェン蔵族自治州にある中甸県(ちゅうでん県)を香格里拉県(シャングリラ県)と改名してしまった。

もっともロンドンにはシャーロック・ホームズの家があるし、香川県には桃太郎が鬼退治をした鬼ヶ島という島が存在しているから、中国のシャングリラに目くじらを立てるのはよくないのかもしれない。


写真はシーサンパンナのタイ族観光園で撮ったものです。水かけが観光客参加のショーになっています。
その下、タイ族のお寺に写っているのは潮州さん。