チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ナーン小旅行 6

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ナーン小旅行(6)

■写真OK
多くの博物館は写真撮影禁止となっている。チェンセーンの博物館でカメラのフラッシュが光ったら係員が飛んできた。ウズベクの博物館やラオスの博物館では入り口でカメラを預けるようになっている。ウズベクでは博物館専属のカメラマンがいて、彼にお金を払って撮影してもらう。彼の生活のために入館者のカメラを取り上げているとしか思えない。

ナーン国立博物館は館内の写真撮影は自由、おおらかである。展示品の中にナーンで発掘された2万年前の旧石器時代の品があった。2万年前というと縄文時代の前で世界はビュルム氷河期の一番寒い時期だった。北ヨーロッパやシベリアは厚さ数千メートルの大陸氷河におおわれ、海面は今より百メートルは低かったので日本とユーラシアは地続きだった。日本では大陸から渡ってきた人がナウマン象を狩りしていたらしい。そのような時期だがナーン辺りはいくらか過ごしやすかったのだろう。それ以来、ずっと人が住み続き、栄枯盛衰を繰り返し、現在に至っているというわけだ。

■優美なデザインのドラゴンボート
展示品の一つにドラゴンボートのミニチュアがあった。中国南部を発祥とするドラゴンボートは今や世界的なスポーツとなっている。タイでも盛んに行われていると聞いていた。ナーンでも毎年レースが開催されているという。

ドラゴンボートは船首に龍の首を、船尾に龍尾をあしらった流線型の手漕ぎ舟だ。左右に1人ずつ漕ぎ手が乗る。舟の大きさに応じ、漕ぎ手は数名から数十名。国際規格のドラゴンボート艇は漕ぎ手20名、それに太鼓、舵取りの2名の22人乗り。

展示されている模型は船首から船尾まで美しい流線形を描いている。国際規格のボートは龍首、龍尾の着脱の利便性を優先させているせいか、なだらかな曲線とは言えず、美しさには欠ける。しかし自然なカーブを持つナーンのボートは舟ではあるが、見た目は龍といってもいい。

ナーンでは数百年前からタイ正月の4月にナーン川でボートレースが行われてきた。今ではプラサット・チャンカム寺主催で10月から11月のオークパンサーの時期に大々的に行われるとある。展示説明の英語はボート、ボートレースとなっていて「ドラゴンボート」の文字はないがまさにこれはドラゴンボートだ。

■50人漕ぎボート
博物館を正面に向かって左側にワット・プンミンがある。ワットと博物館の間が広場になっていて、ここに50人乗りのドラゴンボートが展示されていた。横板は29あるが漕ぎ手が座るのは25x2名の50席、前後の2つは太鼓と舵取りのためのものだろう。博物館で見た模型と同じく、優美な流線形で龍首と龍尾は地上から3メートルはある。龍の彫刻、彩色もまずまずだ。この巨大なボートがナーン川の川面を快走する様子を想像するだけで心が躍る。

ネットによると、レースは3部門、すなわち48から55人乗りの大型ボート、35から40人乗りの中型ボート、25から30人乗りの小型ボートの3部門別で競われる、とある。日本では大阪天神祭奉納日本ドラゴンボート選手権大会、東京お台場のドラゴンボート東京大会などの公式戦では国際規格の22人艇が使用される。決勝戦ともなればそのスピードと漕ぎ手の一糸乱れぬ動きに大興奮する。20人漕ぎで大興奮であるから、この50人漕ぎのスピード、迫力はいかなるものか。

2008年、東京龍舟のシニアチームは大阪大川で行われた日本ドラゴンボート選手権で優勝した。その時、優勝艇の舵を握っていたのは、自分である。
チェコで開催された世界大会に日本代表として参加する資格があったが、タイに来たため諦めた。というわけでドラゴンボートとなると多少しつこくなる。「みな人の 一つは癖のあるぞとよ 我には許せ ドラゴンの道」。

■ナーン川岸で
夕方、ナーン川のワタナーパークヌア橋あたりを散歩した。昨年この川が氾濫し、ナーンに大きな被害をもたらしたが、今は乾季で水は少ない。川岸には観客席が作られている。ここからレースを観戦するのだろう。国際規格のボートが2艇係留されていた。川岸の公園で鉦や太鼓で賑やかに何やら練習していた女子高生が舟に乗り込んだ。ダラダラと漕ぎだした舟は川の中央で停まり、その中の3人ほどが立ち上がって、鉦、太鼓に合わせてゆっくりと踊り始めた。舟は不安定だ、決して立つなー、と言われ続けてきた自分は、軽い衝撃を受けた。

彼女らは大会のエキジビションで、あでやかな民族衣装を着て踊るのだろう。それを見るだけでもまたナーンに来る価値がある。

写真は上から「ナーン川国際艇庫」2枚、「50人艇」4枚、「女子高生の踊り練習」、「ドラゴン艇の模型」