チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ナーンのボートレース 3

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

ナーンのボートレース(3)

■選手だけで千数百人?
本部で貰った資料によると、30人乗りの舟のレースには45チーム、40人乗り中型艇によるレースには34チーム、レースの花形、50人乗り大型艇には19チームが参加することになっている。

参加チーム数に乗艇人数を掛けていくと、単純な選手総計は3660名という膨大な人数になる。大きさの異なる舟へのダブルエントリーが認められているというが、それでも最低、千数百名の選手がいると思われる。

参加チームの名前はほとんどがナーン県内の村、郡の名前だ。地区の誇りを掛けて参戦してくるのだろう。選手の家族、友人、応援団、それに見物客を合わせればこのボートレースに集う人の数は2万を越えるのではないか。露店と露店の間が人で身動きとれないのも仕方ない。
 
■レースの方式
レースは2艇レース勝ちあがりのトーナメント方式、2艇で3回レースを行い、先に2勝した方が勝ちあがっていく。45チーム参加の30人艇では6回勝ち残らないと優勝できない。もしあるチームがぶっちぎりの強さを持っていても、優勝するためには最低12回漕がないといけない。こうなるとスピードを出すための瞬発力ばかりでなく、持久力の争いという側面が強くなってくる。
なにぶんにもレース数が多いから、レースの開催日が2日になるのだろう。1日目は予選で、2日目に決勝があるらしいが全てのレースが終わるのは16時ごろとのこと。

日本のレースでは5艇レースが普通、通常は予選、準決勝、決勝と1日3つ漕げば終りだ。山下埠頭公園前で行われる横浜大会や岩手北上川大会では午前、午後と2度漕いで、タイム上位5チームによる決勝、それだけ。

ナーンのレースではタイムは取っていないようだった。タイム集計、記録などの作業がなければ運営上、かなり楽になる。

それぞれのカテゴリーで優勝賞金が出る。
50人艇では優勝チームに8000B(約2万円)、以下、2位7000B、3位6000B、4位5000B、5位3000B、40人艇では優勝7000B、2位6000B、3位5500B、4位5000B、5位2000B、30人艇では優勝6000B、以下4位まで500B単位で賞金が下がっていって5位が2000Bとなっている。
優勝しても一人当たり500円程度

VIP観覧席には王女様の写真と花が飾られ、入賞者に送られるカップが並んでいた。XXX王女杯ナーンボートレース大会という名称なのだろうか。

■レースの模様
パッタナ・パクヌア橋の上流200mのところに艀(はしけ)が浮かんでいて、そこがスタート地点。日本のレースだと5艇を同時に発艇させるから、各艇の船首の位置を合わせるのに時間が掛る。ナーンの場合、2艇であるから船首をそろえるのも簡単、2,3分おきにレースが行われる。

日頃、相当練習を積んでいるのか、漕ぎ手のパドルのリズムが乱れるといったことはない。漕ぎ手は概ね揃いのTシャツを着ている。日本と違ってライフジャケットは着用していない。舟はスリムで優美だが、漕ぎ手もすっきりしている。また舵も固定舵でなく、舵手が大きめのパドルを、右に左に漕いで方向を決める。舵手は船尾に立って漕ぎ手を励ましながら、舵パドルで大きく後方へ水を跳ね飛ばす。パドルだけで、と思うが舟が蛇行したケースを見たことがなかった。よほど舵に習熟しているのだろう。日本から舵留学の邦人が来てもおかしくはない。

日本では、ストローク数やラストスパートのタイミングなどレース中の作戦指示を鼓手と先頭の漕ぎ手がアウンの呼吸で行う。指揮者とコンサートマスタ-の関係と言っていいだろうか。ナーンのボートレースでは先頭を漕ぎ手がリーダーとなって、全員に指示を与える。例えばラスト150mとなった時、リーダーが一瞬漕ぐのをやめ、パドルを船側にカンカンと打ちつける。彼が再度パドリングを開始した途端、全員のピッチが上がり、前を行く舟に猛追し、ゴール手前で抜き去る、といったシーンを何度か見た。

■VIP席
川岸や橋の上、観客席など場所を変えながらレースを観戦した。ゴール前200m付近のテラスに設けられたVIP席にも座った。チェンライで開催されるお祭りでもVIP席に座ることが多い。もちろんVIPではないのだが、こぎれいな服装(長ズボンが望ましい)をして高級カメラを持ち、落ち着いた態度をとっていれば、VIP席に座っていてもクレームはでない、と経験上知っているからだ。チェンライでは前知事夫妻とあちこちの催しで同席した。この人は何だろうと思われていたかもしれない。

VIP席からゴールは遠いのでレースがもつれ込んだ場合、どっちが勝ったかわからない。でもレースが終わるとゴール地点にある着順判定所とパッタナ・パクヌア橋の上に青、または赤の旗が揚がる。赤は手前の舟が、青は向いの舟の勝ちとなる。これでVIP席だけでなく、両岸500mの観客に勝敗がわかる。

旗が揚がるたびに歓声と吐息が漏れる。(続く)



写真な全てナーンの大会の様子、露天はひどく混雑しています。