チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ナーン小旅行 2

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ナーン小旅行(2)

■一人旅
今回のナーン行きはブアさん、サオさん二人の女中さんが大反対。一人で行くのは危ない、カリビはやめてせめてホンダのシティで出かけたらどうか・・・

一人で旅に出ることが多いが、決して人と連れ立って出かけるのが嫌いなわけではない。
昨年だったかチェンライからパタヤに3名の友人と繰り出したことがあった。パタヤは以前に行ったことがある。しかし4人のパタヤは先達の案内よろしきを得て、実に楽しい旅行だった。4,5人いれば卓の上にたくさんの料理が並べられるし、旅の恥はかき捨てとまではいかないが、歓楽地という気安さで気持も財布も吹っ切れるところがある。40年も前のことになるが、会社の団体旅行も決して嫌いではなく、喜んで参加していた。

でもタイに来て3年、旅は大概一人で出かけている。やはり他人と一緒だと気を使って疲れるのかもしれない。カリビアンのラジオは音質が悪く、聞くに堪えない。だからICレコーダの音楽をイヤホンで聴きながら走る。隣に誰かいれば、何かと会話しないと気づまりだし、失礼だからこんなことはできない。

山道で突然、湖が視界に入ってきたとき、イヤホンを通してザ・テンプターズの「エメラルドの伝説」が聞こえてくるのは悪くない。・・・湖に君は身を投げた、花のしずくが落ちるように・・・・ 
ゆっくり車を停めて、湖面を眺める。

■孤独と自然
高校の同級生から「鴨長明にあこがれる世代となって、ハイキングを始めた」という便りを貰った。「・・・・尾瀬は歌の歌詞のとおりの世界、現実離れし、青い空、白い雲、湖のさざ波、日光キスゲの黄色、草の緑のコラボレーションを堪能した。北八ヶ岳のハイキングも空の青さと自分が登れたことに満足感があった・・・・」

チェンライの里山が、私の生まれ育った故郷の風景にそっくりでしたのでここに住むことに決めました、という邦人に何人も出会った。ある年齢に達すると、誰でも無常と孤独を感じるようになってくるのだろうか。友人に囲まれ、幸せな家庭に暮らしていても、人が羨むような業績をあげていても、人は孤独を感じるときがあるのではないだろうか。

人が本当に孤独を感じた時、その孤独をなぐさめることができるのは、人ではなく、自然の景観というものであろう。人の心奥を覗き込むことはできないが、同級生もチェンライの友人も、ナーンの湖面を眺めると自分と同じような同じ感慨に浸るのではないか。

取り留めもない考えに耽るのは一人旅のいいところである。


■酒や、酒や、酒買うて来い
若い時から真面目に、小市民的に暮らしてきた。会社では常識的なサラリーマンとして、家庭では物分かりの良い夫、父として生きてきたわけだから当然のことだ。だからこそ破天荒な生き方をした天才落語家、桂春団治、王将の阪田三吉巨人の星星一徹といった無茶苦茶な男に憧れるところがある。できるものならちゃぶ台をひっくり返したり、女房を泣かせたり、お父さんやめて、と子供が膝にすがりつくといったキャラを演じてみたいものだ、と思っていた。

酒で言えば、家では飲むことは飲むのであるが、夕食のときに兄とビール1本がせいぜい。友人が来宅している「ハレの日」であればウィスキー、タイ焼酎、ワインなども飲む。飲むほどに酔うほどに明るくなり、果ては寝入ってしまう。まあ自分で言うのもなんだが悪い酒ではないように思う。もちろん、日本人会などの特別な宴会を除き、日中にアルコールを嗜むことはない。

ところが、一人旅だと状況は一変する。昨年タイ東部の海浜、ラヨーンに泊まった。この時はビール缶を冷蔵庫に入れておき、起きぬけにまずプシュッと一缶、前の晩に買っておいたピーナッツを齧る。朝のビールはいいものだ。アルコールがすぐ回ってほろ酔いになる。そのまま2度寝をしても構わない。あー、俺はアル中だ、これでは廃人になってしまう、自堕落な我が身に自虐的喜びを感じる。自宅であれば兄に、朝から酒かよ、と言われたり、女中がさげすんだ目で見るであろうから、とても飲む気になれない。

ナーンでも昼からビールを飲んだ。春団治のように酒買うて来い、という相手がいないのでホテルのフロントでビールを買う。市場でウズラじゃないかと思うくらい小ぶりの蒸し鶏を買ってきた。これがその辺りを走り回っていた、いわゆる地鶏で、肉が締っていて、噛み締めると鶏本来の味が口一杯に広がる。あまりにもうまいので、フロントに下りてもう一本ビールを追加してしまった。

この程度で満足とはやはり小市民か。

写真はナーン旅行中のスナップ。