チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイの洪水

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タイの洪水

■50年ぶりの歴史的大洪水
日本からたくさんの洪水見舞いのメールを頂いた。この場を借り、改めてお礼を申し上げたい。

NHKのニュースでもタイの工業団地が冠水している情景を見た。洪水-日本企業の被災-日本経済への影響、といった視点での報道が多いようだ。以下、タイの日本語ニュースサイトから。
今回の洪水ではすでに、中部アユタヤ県のサハラタナナコン工業団地、ロジャナ工業団地(アユタヤ)、バンワー(ハイテク)工業団地、バンパイン工業団地、ファクトリーランド・ワンノイ工業団地、中部パトゥムタニ県のナワナコン工業団地が洪水で浸水した。被災した日系企業はホンダ、ソニー、味の素、ニコンキヤノンなど400社以上。アユタヤでは浸水した団地内の水位は場所によっては4、5メートルに達し、広い範囲で製造設備や製品が水没した。

ソニーはタイの自社工場や生産委託先、サプライヤーが洪水で被災したため11月11日に予定していたデジタル一眼カメラ4機種の発売を無期延期すると発表した。
ホンダはタイ中部の大洪水で、タイの四輪車工場と二輪車・汎用製品工場の双方が操業を停止している。四輪車工場は水没、二輪車・汎用製品工場は部品メーカーの被災で部品が不足し、ともに生産再開の時期は未定だ。
 四輪車の製造・販売を行うホンダオートモービル(タイランド)のタイ中部アユタヤ工場(ロジャナ工業団地、年産能力24万台)は8日、工業団地内に流れ込んだ水で浸水した。同社のピタック副社長によると、浸水前に完成車約4000台を近隣のドンムアン空港に避難させたが、移動できなかった数百台が工場内で水没した。工業団地からの排水のめどは立っていない。

トヨタ自動車のタイ工場は洪水の被害は受けていないが、タイ中部を襲った大規模な洪水で部品メーカーが被災し部品不足に陥ったため、タイの3工場全てで生産休止を28日まで延長すると発表した。タイからの部品供給が滞る可能性があるため、10月24日から、タイ以外のアジアの生産拠点でも生産稼動の調整を行う予定。

三菱自動車工業もタイ中部の大洪水で一部の部品メーカーが被災して部品供給に支障が出たため、タイ東部チョンブリ県レムチャバンの工場で主要車種の生産を休止している。

■タイ政府の対応
タイは平たい国である。北部で洪水になればチャオプラヤー川の水は何日かして中部に到達し、アユタヤで氾濫し、その水が22日にはバンコクで洪水を起こした。在タイ日本国大使館から「降雨・洪水に関する注意喚起」というメールが8月から頻繁に送られてくるが、洪水の危険が北部、中部、バンコク周辺へと刻々移っていくのがよくわかる。洪水は予測可能だ。タイ政府はバンコクの低地に住む住民に対し、家財を高いところへ移すよう呼びかけている。バンコク一帯では洪水による浸水を恐れ、多数の自動車が高速道路の高架道路、橋などに駐車し、交通に支障が出ている。
洪水被害はタイの28県に広がり、被災者は約246万人、7月29日―10月20日の水害による死者は342人で、2人が行方不明になっている。

この歴史的大洪水に対し、インラク首相は21日、防災・災害救助関連の権限を首相に集中する防災・災害救助法を発令し、軍、バンコク都庁などに対し、王宮、プミポン国王が入院中のシリラート病院、発電所上水道施設、スワンナプーム空港(バンコク空港)、ドンムアン空港といった首都圏の重要拠点を洪水から守るよう指示した。

日本では東日本大震災に関し、時の管首相が「国の総力を挙げて対策に取り組む」と言った。しかし、非常時における大権を首相に与える「安全保障会議」は招集されなかったし、経済戒厳令といわれる「緊急災害対策本部」を設けたものの、首相自身が災害対策基本法の意味も意義も理解していなかったため、殆ど機能しなかった。

それに比べればインラク首相の行動は適切と言えるかもしれない。しかし、防水壁の穴にインラクさんが指を突っ込んで壁の崩壊を防いでいる、その横で壁に大きな亀裂が入っているという漫画が新聞に掲載されていた。テレビで見る限り、政府の対応は土嚢積みだけで、抜本的対策は取られていないようだ。

■チェンライは今
9月にチェンライにも豪雨があったし、雨の日も多かったが一部道路は冠水したものの被害は出なかった。180キロ離れたチェンマイは市内を流れるピン川が氾濫し、市内の一部が水に浸かった。洪水は北部から中部、そしてバンコクへと下っている。しかし、チェンライは今、乾季を迎え、カンカン照りの天気が続く。被災された人々には悪いが、正直なところ一雨欲しい気持だ。


写真は風刺漫画と洪水の様子