チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライの雨

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チェンライの雨

■集中豪雨
関東甲信越に集中豪雨があり、新潟県では浸水被害や避難勧告がでているとNHKニュースで報じていた。東京も週末は雨のようだった。

チェンライでは7、8、9の3カ月が雨季にあたり、年間降水量の半分以上がこの3カ月に集中して降る。それほど短時日に集中して降るわけではないので、水害はあまり起こらない。但し、市内および国道の一部には水はけの悪いところがあって、大雨のたびに、深さ10センチほどの池ができる。
南国で雨季があり、毎日のようにスコールに見舞われる、と聞くとチェンライは日本より年間降水量が多いのではないか、と思われる方もおられるかもしれないが、日本の平均年間降水量1718ミリに対してチェンライの年間降水量は1708ミリ、ほぼ同じだ。

チェンライの雨の特徴は局地的ですぐに上がるということだろう。先日、ソフトボールの練習日であったが、朝8時になっても空は暗く、強い雨が断続的に降っていた。これは絶対に練習は中止、とラジャバット大学のグラウンドには行かなかったが、自宅から10キロ離れた大学は一滴も雨は降っておらず、予定通り練習があったそうだ。

こちらでは1キロ離れていれば片方は雨、片方は晴れ、ということがある。ワイパーを最高速にして土砂降りの中を2,3分ほど走りつづけると、突然、乾燥した道路に出て、キツネにつままれたような気になる。オートバイに乗っているタイ人は、どうせ10分も待てば陽が差す、と踏んで、木陰で雨宿りしている。もちろんいつも短時間で上がるとは限らない。雨が長く続くときにはライダーはバイクを停めて荷台から雨具を引っ張り出している。雨宿りが多い時は、雨はすぐ上がる、カッパを着たオートバイが走っているときは1時間以上雨が続く、と判断できるようになった。

それにしても午前中、夜が明けていないのかと思うくらい暗い空から雨が降っていると、ああ、今日は1日中雨か、と日本風に気分が落ち込むのであるが、それが1時間ほどすると雲が切れ、陽が差してくる。この急激な変化にはまだついていけない。
中学生のとき、音楽の授業でベートーベンの交響曲第6番田園を聞いた。大嵐が過ぎると陽が差して辺りには小鳥たちがさえずり始めるのです、と先生が教えてくれたが、そんなにすぐ天気がよくなるものか、と疑問に思ったものだ。でもチェンライでは良くも悪くも天候は劇的に変化する。これが世界の天気の標準なのだろうか。
そういえばソフトの練習に行かなかった日も午後にはコートでテニスボールを追っかけていた。

■コメ作りの違い
自宅からテニスコートまでは10キロほどの距離だ。信号がなく、時間的に早く着くので田んぼの中の裏道を通る。中進国であるから田舎道であっても、一応舗装されている。道の両側に水田が広がって、遠くに山が見える。この道を走るのは気分がいい。雨季で田の水量が安定してきたのだろう、7月の末になって田植えをするところが増えてきた。トラクターで土を起こし、代?きをして、苗代を作る。田植えは、田植え機を使用する場合もあるが、通常は家族、あるいは近所の人10人くらいで人力の昔ながらの田植えをする。お母さんの手伝いをしている10歳位の女の子が、畔にある大きなやかんから水を飲んでいる姿などは、なにか郷愁を誘う。

特定の時期に一斉に田植えをするわけではない。5月、6月に田植えをして7月には30センチ以上の青田になっているところもあるし、8月にまだ苗代作りをしている田もある。考えてみれば2毛作、3毛作が可能な土地柄であるから、いつでも田植えができる。

稲の生育には、気温、風速、降水量、日照時間の4つが重要である。日照時間は積算で800時間は必要だ。日本では低温障害、台風の心配があるので、早春の植え付けや初冬の刈り入れはまず無理だ。稲の生育期間が限られており、日本のコメの出来は7、8月の日照時間に大きく左右される。

その点、チェンライは、稲が倒伏するような強風は吹かないし、雨季であっても気温は高く日照時間は充分ある。秋に台風が来るわけでもなく、霜がおりる心配もない。
日本では各農家がそれぞれトラクター、田植え機、コンバインを所持しているが、こちらでは各農家で農機一式をそろえる必要はなく、使い回しが可能で、稼働時間が長い。刈り入れは運転手つきコンバインを雇うことが多い。

暦にせかされるようにほぼ日割りでコメ作りにいそしむ日本と、何時でも田植えができ、そのまま放置しても、そこそこ収量のあるタイ、自然条件が国民性に反映するという和辻哲郎の「風土」を改めて思い起こす。


画像一番上が「スコール」他は田植えの様子。