チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ゲイは身を助ける

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ゲイは身を助ける

性同一性障害
男であるのに自分は女と思う、女として生まれたのに心は男という障害を持つ人がいる。性同一性障害は心と体の性別が一致しない障害で、その原因は解明されていない。日本では男性は3万人に1人、女性では10万人1人の割合で患者がいるという。産経新聞では「性を越える日本人」というシリーズでこの病気を紹介している。3年かけて会社の上司、同僚、部下を説得し、女に性別変更したホンダの研究所員のレポートがあった。包容力のある会社だからよかったものの、一般には就職もままならない人が多い。岡山大学病院の患者への調査ではこの障害を持つ人の6割は自殺を考えたことがあるという。障害を持つ人に対する偏見、差別が日本ではことのほか強いからだろう。

ところでタイには性同一性障害という病名はないのではないか。スーパーに行けば店員の何人かは女装男性だ。お客の中にもお化粧をし、髪の長い男性を見かける。メーサイのイミグレにも美しい「男性」がいる。タイ語で女装男性をゲェーという。時折、チェンライの大通りを高校生がパレードするが、その中に何人もの「ゲェー」がいる。誰も変に思わない。ゲイが市民権を得ているようだ。聞くとゲイの男子生徒は女子トイレで、女子と一緒にお化粧をしているという。いくらゲイでも男子生徒が女子トイレに入っているのはまずい、さりとて女装した男子が男子トイレを使うのも、というのでゲイ専用のトイレを持つ高校がある。トイレ入り口にはズボンをはいた男子の半身とスカートをはいた女子の半身が一つになったイラストがある。

アメリカの調査では男性の9割が程度の差はあるものの潜在的に同性愛の趣向を持っているという。社会的な抑圧がなければ自分に素直に生きたいという人は多い。タイではゲイでもニューハーフでも社会的に受容されているので、自分の性趣向に気付いた時には自分の気持ちに素直に従う、ということになる
パタヤバンコクでは例年ゲイ・パレードが華やかに行われ、ゲイバーは何処にでもある。
ということで世界中からゲイやニューハーフと仲良くなりたい外人がタイに来る。日本からもこの手のツアーがあるようだ。観光立国タイの一翼を担う立派な仕事、まさにゲイは身を助ける、だ。

■去勢、性転換手術
バンコク・ポストやネーションといったタイの英字新聞には日本の新聞には絶対見られない広告が載っている。美容整形の広告ではあるが「豊胸手術」、「脂肪吸引手術」と並んで「性転換手術」、「睾丸摘出手術(Orchiectomy)」がある。
日本では「性同一性障害特例法」により戸籍を男性から女性に変えることができるが、その場合「性別適合手術(性転換手術)」済みという要件が必要だ。通常、性転換手術に先立って睾丸摘出手術を行うのであるが、病院によっては2年ほど女性ホルモンを投与したあとでなければ、手術をしてくれない。費用は麻酔も含めて25万円ほどかかる。
新聞広告によるとタイで行われる睾丸摘出手術の代金はすべてコミで125ドル(約1万円)ぽっきりだ。それは安い、おれもやってみよう、という方もおられるかもしれない(いないかもしれない)。日本での手術件数は年間1700件くらいという。まれに精巣ガンに罹ってやむなく玉抜きをする人もいる。ほおっておくとガン細胞がリンパ腺に転移して取り返しのつかないことになる。タマがテニスボールくらいある人はすぐに泌尿器科の窓口に行き、そのあと是非タイに来て頂きたい。

因みに性転換手術は1625ドル(約12万円)、タイ人でも外国人でも同料金です、と広告にはある。日本ではこの手術の費用は300万円から500万円とのこと。
保険がほとんど効かないので、最近は海外に渡って性転換手術を受ける人が多いようだ。自分の年代だとニューハーフの代表として、カルーセル・麻紀の名前を思い浮かべる。彼(彼女)は1973年にモロッコに渡り、ジョルジュ・ブロー博士の執刀で性転換手術を受けた。

タイでは法律上、戸籍を男性から女性に変えることはできない。男子は21歳になるとくじを引いてあたると兵役につくという「くじ式徴兵制」がある。当たった人がゲイやニューハーフだった場合はどうするか。この場合、「30日以内に完治しない病にかかっている人は兵役免除」という規定を拡大解釈して、不合格となるそうだ。
この国ではこのくじに当たると、どうして自分が、と泣き崩れる青年もいるというから、ここでも「ゲイは身を助ける」といえるのではないか。


画像上から「観光庁の協賛で豪州に派遣されるニューハーフ軍団」、「料金表(新聞広告)」、「トイレの表示」