チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

プーチーファーに登る

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プーチーファーに登る

■研修遠足
チェンライ日本人会の会報に「第4回研修遠足、少し歩いてみませんか?プーチーファー~パータン」という案内があった。チェンライ県は山に囲まれている。トレッキングが目的でやってくる外人観光客も多い。チェンライに住んでいるのだから山に行くのもいいのではないか。日本人会会員で旅行会社を経営しているYさんの企画。プーチーファー以外にタイ・ラオス国境の観光名所を回ることになっている。
当日は17人の参加者、2台のミニバスに分乗してチェンライから130キロほど東に位置するプーチーファーに向かう。プーチーファーと聞いて、ああ、あのご来光で有名な、とわかる人はかなりの北タイオタクであろう。プーチーファーは「天空の山」を意味する。標高1628メートル。断崖絶壁の山で崖の下はラオス領となっている。正月にはバンコクからも多くの観光客がつめかける。雲海からの初日の出を拝むためだ。シーズンはやはり11月から2月にかけての乾季であるが、6月7月の雨季は空気が澄んでいて、遠くラオス領を流れるメコン川の眺望できてそれなりに美しい。

■タクシン追放の影響
途中、国境に近いチェンカムのお寺に寄る。このあたりはラオスから渡ってきたタイルー族の住む地区だ。3、4年前は境内で多くの女性が手機(てばた)でタイルー特有の布を織っていた。当時はタクシン首相の主導するOTOP(一村一品運動)が盛んで、織物の品評会、展示会が盛んに開かれた。展示会に出品するため、女性たちは競って高級且つ芸術性の高い布地を織っていた。糸も草木染めで味わい深いものが多かったという。良いもの、本物の布を求めて、国内外から人が集まった。高く売れるから村の人も一生懸命織った。しかし、タクシン失脚後、展示会は開かれなくなり、布地を求めてくる人もすっかり減った。売れなければ、織る意欲も無くなる。染めや機織技術を持つ女性たちは機織りよりお金になる農業に精出すことになった。
タイルー族の高床式住居が近くにあり、その家の下に3台ほど手機を置いておばあさん達が布を織っていた。絹や手染め木綿の高級品は売れないので、化繊の布が主体とのこと。化繊をこちらでは「トーレ」と言う。「東レ」のことだろう。1.2x2メートルほどの布が100Bというので2枚ほど買った。タイルーのデザインであるが糸は東レである。

■プーサン滝からプーチーファーへ
チェンカムからプーサン滝へ行く。プーサン滝(写真上)はお湯が流れる滝としてタイ観光庁のHPにも登場している。滝の上流に温泉があってその温水が落差30メートルの岩を迸り落ちる。気温の下がる乾季には滝は湯気に包まれるという。一帯は国立公園となっており、源泉を巡る1キロほどの木製遊歩道が整備されている。ジャングル森林浴といった感じの散策は爽快だ。源泉は半径数メートルの池であるが、手を入れてみるとそれほどの熱さではない。日本であればすぐ露天風呂が出来ているだろう。
プーサン滝を後にして、右に左にモン族の集落を見ながらミニバスは山道を登る。プーチーファーの駐車場に着く。富士山の5合目の駐車場、槍ヶ岳の沢渡駐車場といったところか。駐車場は土産店の茅葺き長屋に囲まれているが、ローシーズンということで一軒も営業していなかった。観光名所といっても年間訪問者数は20万ほど、うち外国人観光客は約1万人だという。この日はタイ人観光客がちらほら。

■素晴らしい山頂からの眺め(写真中、下)
駐車場から800メートルほど山道を登る。昼食の時、飲んだビールが効いて、足取りは重く、アゴが出る。(昼から飲める「研修」遠足とはいいものだ)。さすが標高1600、亜熱帯のチェンライとはいえ、空気は冷たく爽やかだ。山頂まで400メートルとか書いてある看板に励まされて、何とか頂上へ。丁度。雲も切れ、眼下にラオス領が大きく広がり、遠くにメコンの流れが光って見える。山は切り立った崖となっている。2008年1月にバンコクから来た27歳の看護師さんがここから200メートル滑落して亡くなっている。2004年には日本人が落ちて死んでいるそうだ。一応、柵があるが50センチくらいの高さだから、タイ人は柵を乗り越えて崖の先端まで行っていた。これではまた誰か落ちるのではないか。
山頂から見る風景と涼風を満喫して山を降りる。モンシロチョウより少し小ぶりの黄色い蝶が何十匹も下山を遮るかのように山道に舞っていた。羽の先に黒のアクセントが付いている。可憐な蝶に囲まれて、山登りもそれほど悪くないか、と初めて思った。
第2のプーチーファーと呼ばれるパータン(タイ語で切り立った岩の意味)にも登ったが、ここの紹介はまた今度。