チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

そうだ、アンコールワットに行ってみよう

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そうだ、アンコールワットに行ってみよう

■バス旅行の始まり
ひょいと思いついてカンボジアアンコールワットに行くことにした。常識的にはチェンライ、バンコクシェムリアップと飛行機を乗り継いでいくのだが、ネットを見ると陸路で行けるらしい。時間は掛かるがバスで行けば交通費は安い。
ブログ原稿を2週間分書いた日の翌日にバンコク行きのVIPバスに乗った。全24席で座席がフルリクライニングになる。一等バスだと運賃は500バーツを切るが、VIPバスは912バーツ、このくらいの贅沢は許されるだろう。
19時にチェンライ出発、11時間後の翌朝6時バンコクに着く予定。タイの長距離バスの問題点は2つある。ひとつはバスに備え付けのテレビで、タイ活劇のビデオやカラオケを大音量で延々と流すこと。もうひとつは冷房が強すぎること。今回のバスこれまでで一番の寒さだった。こんなこともあろうかと、長袖のジャンパーを着用し、更に車掌さんから毛布をもらって膝にかけていたのだが、何度か寒さで目が覚めた。
長距離バスは夜食付きだ。深夜12時前後にドライブインに停車する。食堂にひしゃくを持ったお姉さんがいて、大鍋からお玉一杯のお粥をすくってお皿に入れてくれる。VIPバスの乗客は並んでお皿を受け取る。VIPどころか、まるでお救い小屋で炊き出しを恵んでもらう被災民のようだ。

バンコクから国境へ
バスは5時半にバンコク、モーチットバスターミナルに着いた。ネット情報によると、このバスターミナルからタイ、カンボジアの国境の街、アランヤプラテートへ行くバスが、30分から1時間おきに出ているという。丁度、6時発の便があり、それに飛び乗った。代金は150バーツほど。バンコクからアランヤプラテートまで約300キロ、東に向かって走ること4時間半、バスはアランヤプラテートのロンクルア市場に着いた。バスを降りるとワッと人に囲まれる。イミグレはあっちだ、トゥクトゥクはどうだ、50バーツ、いや40バーツ、と大騒ぎ。ちょっと市場を回るから、とイミグレとは反対方向に歩き出した。朝から何も食べていないので食堂を探したのだが、行けども行けども生活用品や家具などを商っている店が連なっている。いつもなら市場を歩き回って目新しいものは、と探すのだが、何分にも広すぎる。暑さと疲れで、まあいいや、と国境の方へくるりと頭を向けた。

■アランヤプラテート
アランヤプラテートはタイの最東部の街、タイ語で「僻地」という意味らしい。カンボジアのポイペトと国境を接している。
ポルポト全盛の頃、クメールルージュに追われたカンボジア難民がタイに逃れようとこの街に押し寄せた。困ったタイ政府はここに難民キャンプを作った。その当時、アランヤプラテートには国連関係者、各国の報道関係者、NGONGOもどき、何か一発当てようと流れ込んできた商人たちで大いに賑わったという。
池澤夏樹の書いた「タマリンドの木」という小説がある。ここアランヤプラテートが舞台となっている。難民キャンプに働く女性と重電機器メーカーのエンジニアが恋に落ちるというストーリーだ。
難民がいなくなった現在は、静かな街になっているが、陸路カンボジアに抜けようというバックパッカーには人気のところらしい。また、バンコクから一番近い国境、ということでビザ延長のため、貧乏旅行者が出入国を繰り返す場所でもあった。

■タイからカンボジア領へ
カンボジアビザ取得代行という旅行代理店窓口で1200バーツ払って書類を作ってもらう。店のお兄ちゃんが国境のバス乗り場まで案内してくれるという。出入国窓口にもお兄ちゃんが付いてきて、いろいろ日本語で指示してくれる。おかげで問題なく国境を越えることが出来た。カンボジア領に入ると道の両側に豪壮なホテルが立ち並んでいる。これはみなカジノだ。タイでは賭博は禁止されている(その割には毎晩サッカー賭博で大騒ぎだが)ので、タイのお金持ちがここへ遊びに来るのだ。ルーレットのチップをある金額以上購入すると、ホテルの宿泊費、飲食費がタダになるとお兄ちゃんが教えてくれた。
お兄ちゃんはバックパッカー達が集まってくるのを待って、バスで15分ほどのところにあるシェムリアップ行きバスの出るバスターミナルまで連れて行ってくれた。ジーパン、Tシャツ、野球帽の自分を彼はずっと「オニーサン」と呼んでくれていたが、バスターミナルで人の顔をマジマジとみて、「オトーサン、ここで両替できます」と呼び方を変えた。正直なところが気に入って、自分としては珍しく50バーツもチップをやってしまった。

画像上がカンボジアから見た国境ゲート、下はバスターミナル