チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライの市場

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チェンライの市場

チェンライには生鮮食料品の市場があちこちにある。規模の大小はともかく、売られているものはどこもほぼ同じで値段もさほど変わりはない。食料品ばかりでなく、日用品も一通り揃う。

タシケントにはチョルス、ヤンギオボド、クイルック、ファルファッド、アライスキーなど特色あるバザールがあった。大豆、醤油、冷凍魚、豚肉など邦人が必要とする食材は一部のバザールにしかなく、それもいつでも買えるとは限らない。食用酢、牛乳など日常的な食料品でも昨日あったのに今日行ったらない、といった経験をしたものだ。デモノがあったときは行列してでも買っておく、まさに旧ソ連での生活そのままだった。

バザールでは、ゾロリとした民族衣装にスカーフのおばさんやデュッペというイスラム帽を被ったおじさんが行きかって、売り子は大声でお客に呼びかける。いかにもイスラムのバザールらしい雰囲気と活気があった。ウズベキスタンで活気があったのはバザールぐらいではなかったか。

バザールでの買い物にはいつも緊張感が伴った。一物一価の原理が存在しない。相手によって定価が変わるのだ。外国人には吹っかける、値札が付いていても、「今、値上がりした」などと平気で値段を吊り上げる、お釣りを渡そうとしない、更には、タマネギを1キロ買ったはずなのに、袋には2,3個しか入っていなかった、などなど。常に値段交渉と購入品の検品が必要だった。コーランには異教徒からはいくらでもぼったくってよい、と書いてあるそうだ。だから我々外人にだけ厳しいのかと思っていたがそうではない。バザールの出入り口に大きな秤(はかり)がおいてある。不審に思ったらここで計量してみて、バザール内にいる限りクレームを申し立てることができる。ウズベク人のおばさんが、よく大きな袋を秤に載せて重量を確認していたものだ。

ウズベクではバザールに行くということは戦いであり、探検であり、文化摩擦修行でもあった。制限時間一杯、立会いに臨む高見盛のように体をパンパンと叩いて、さて、今日は買出しだ、と気合を高めてバザールに出かけていた日々が今となっては懐かしい。

タイで暮らしてみると如何にタイが文明国であるか、ということに思いいたる。市場に行っても外人だから吹っかけてやろう、などという売り子はみたことがない。それに豊富な品数に圧倒される。冬場、タシケントのバザールにある野菜といったらジャガイモ、ニンジン、タマネギの3つだけであったが、こちらでは菜っ葉だけでも10種類くらいある。キュウリ、ナス、インゲン豆などいつ行っても買える。

女中にはおかず代として毎日200バーツ(560円)手渡す。邦人の中には200バーツは多すぎる、100バーツで充分、という人もいる。女中はバイクで午後にその日の夜と翌日の朝、昼に食べる食材を買ってくる。たくさん買って、冷蔵庫に保管するという考えは余りない。基本的に買ってきたものは1日以内に消費する。

時折、車で女中と一緒に家から10キロほど離れたモイサックの市場に行く。半径10キロ以内には大小いくつかの生鮮食料市場があるが、モイサックが女中のお勧めで、安くて規模も大きい。野菜、果物、肉類、魚介類、調理済みのおかずなど食べるものは一応揃う。

チンゲン菜、豆苗、アブラ菜、空芯菜など菜っ葉類は一束5バーツ、キャベツ、白菜などは小ぶりのもの2,3個で10バーツ、ナス、キュウリ、インゲン、ネギ、サツマイモ、ハヤトウリ、キノコ各種、概ね一皿5‐20バーツといったところ。30センチほどの鯰の丸焼き25バーツ、豚肉は1キロ100バーツ、卵は10個30バーツ、卵は他の食材に比べて少し高いように思う。豚肉はロースもバラも同じ値段だ。適当にここ切って、と言って塊で買う。このほかに歯のない母のために、マンゴーやドリアン、マンゴスチン、バナナなど柔らかい南国の果物をどっさり買う。

ウズベクではバザールから帰ると、買ってきたもの戦利品のようにならべ、今日は勝った、負けたと激しい交渉経過を反芻したものだが、チェンライの市場では買い物はほとんど女中任せ、気負いなどほとんどない。気楽なものだ。やはりウズベクで生活するよりもタイで暮らすほうが人格は円満になっていくような気がする。