チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ウズベクと日本の違い

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ウズベクと日本の違い

帰国して1月が過ぎた。マグロぶつ切りを入れた発泡スチロール容器に被せてあるサランラップをきれいにはがして、再利用できないか、と考えたり、スーパーでくれるポリ袋の丈夫さに感激し、こういうものがウズベクにいるとき欲しかったんだよなー、とつぶやく時期は過ぎたように思う。

ウズベクで一般の店でくれるポリ袋は黒くて薄く、いつ裂けるかと油断がならない。何度街中でニンジンやタマネギをぶちまけたことか。
プルサーという1,5リットルのポリビン入りのビールがあった。1本2000スム(170円)前後と安く、味もそこそこだったのでよく飲んだ。SVの歓送迎会では会費を安くするためにこのビールを幹事が手分けしてレストランに持ち込んだものだ。一度このビールを数本持ち込んだとき、少し丈夫なビール用ポリ袋であったがやっぱり破れてプルサーが道に転げ落ちた。ポリビンだから割れないで済んだけれど。

プルサーはサマルカンド製の国産ビールである。飲むときはプラスチック製のキャップをとるのであるが、いくら手で回しても、大型ペンチで挟んで回してもキャップが開かず、ナイフでフタに穴を開けて飲んだことがある。また、ビンを冷蔵庫に寝かしておいたらビールが漏れ出して飲む前に3分の2くらいに減っていたこともある。もちろん気が抜けていて、味もおかしかったが、それでも結局飲んでしまったのは物資の乏しいウズベクならでは、であろう。
日本ではポリ袋にせよ、ビールにせよ品質管理が行き届いていて、安心、安全が当たり前、飲み会の約束でも約束した人が約束した時間に現われて、滞りなく物事が進んでいく。

ウズベクではカウンターパートを始め、約束してくれたことがそのとおりに運ぶとは限らない。「落胆したくなければ決して期待してはいけない」という古謬があるが、ウズベクでは、期待しないという癖がついていたので、日本はこんなに思ったとおりに(当たり前に)物事が進んでいくことに感激したものだ。
外国で暮らすといかに日本が徳義大国であるか、ということに思い当たる。徳義というより、人の努力、能力に対してそれだけの報酬がある。ワイロやコネがその人の能力に優先するといった度合いは少ないようだ。
ウズベクではすべてにおいてお金とコネが優先する。

自分の派遣されていたカレッジでは授業に出なくても成績はお金で買える。先生も5段階評価で4や3評価の生徒に対してお金で成績をあげる。例えば成績3や4の生徒が5が欲しいとする。生徒は先生に1段階上げる毎に2000スム(170円)ほど先生に包む。たったそれだけで?いじましいと思われるかもしれないが月給100ドルに満たない教師にとってその数が50人、100人となればばかにならない金額だ。
中西先生のいいところは賄賂を受け取らないことです、と生徒に言われたことがある。俺のいいところはそれだけかよ、とがっかりしたのだが、袖の下で成績を上げることは高校、大学では当然のことである。入試の合否も金次第だ。卒業すれば裁判官や弁護士の資格の取れる法科大学やウズベクの東大といわれる世界経済外交大学に入るには2万ドル払えば入学できる。

バンク・カレッジは500ドル、看護カレッジは300ドル出せば入試の成績に関わらず入学できるらしい。司法試験や国家公務員試験、あるいは国立大学の入試に際して、受験する前から誰にワイロを払えば合格できるかと走り回る人は日本ではまず皆無と言ってもいいだろう。

日本の居酒屋でサラリーマンが議論している。その内容に耳を傾けてみると「会社は俺の能力を正当に評価していない」に集約される。俺の家柄を、袖の下を評価していない、と言っている人はみたことがない。しかし、世界では家柄や命の次に大事な金の力が能力に優先されるということがグローバルスタンダードだろう。それは過去のことではなく現在もそうなのだ。

いい物を作ることによって、消費者に喜んでもらう、また、ものに対して厳しい目を持った消費者がいる。これはポリ袋やビールだけでなく、優れた製品を作る原動力になる。人間に対しても、いくら家柄がよくてもお金があっても、その人に優れた能力が備わってなくては尊敬を勝ち取ることは日本の社会では難しい。しかし本人の頑張りで何とかなるという意味では公平であり、世の中をよりよく発展させうる社会といえる。

なぜ発展途上国は援助と技術協力を受けながら発展しないのか、開発経済の問題点はこんなところにもあるような気がする。

画像はサムサというパン(中は羊肉と玉ねぎがギッシリ、皮はパリパリ。)