チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

写真一枚が命取り?

フエの王城午門

カメラを向けたらマスクで隠す

王城前で、望遠で撮った

ウズベクの子供、17年前の写真

シンガポールカップル、ミーソン遺跡で

ミーソン遺跡

 

写真一枚が命取り?

■写真

11月のベトナム旅行では写真を撮りまくった。デジカメであるからフィルムの枚数を心配することはない。半世紀も前、36枚撮りフィルムの残りを数えながら一写入魂、ぶれないように構図を決めてシャッターを切っていたころが懐かしい。フィルム装着に失敗して現像してみたら何も映っていなかったこともある。デジカメは電池と記憶媒体の容量に気を付けていれば、何百枚でも写真撮影が可能だ。

数えてみたら700枚以上の写真を撮っていた。自分のブログは週2回アップであるから年間約100本となる。ブログひとつに6枚の写真を添付するので、1年分の写真が確保できた。日頃、近くのサンサーイ市場、月に1回ほど市内の土曜市で撮影するくらいなので、ブログ用写真が払底していた。チェンライ花祭りと合わせ、写真のストックは2年分ある。

グループであればお互いの写真を取り合うし、自撮り棒で自分中心に写真を撮る人も少なくない。でも700枚の写真のうち、自分が写っている写真はない。ミーソン遺跡見学の時に、ガイドが「あんたの写真も撮ってあげるよ」と我が83倍望遠のカメラを指差した。「いいよ」、「どうして?」、「I do not like myself」。このやり取りを聞いていたシンガポールカップルが笑っていた。これから見合いをするわけでもないし、強いてあげれば葬式用ということになろうが、葬式には会葬者が失笑するくらい若いときの写真を用意している。後期高齢者、ヨレヨレ爺さんの写真を見ても誰も面白くない。一生に一度のお弔いであるから少しは皆さんに楽しんでほしいものだ。

 

■文化の違い

チェンライでは子供にカメラを向けると、Vサインをしたり、撮って、撮って、と集まってきたりする。撮られるのが好きなようだ。邦人旅行者がチェンライの名門女子高、ダムロン高の近くのカフェから女子高生の写真をこっそり撮っていた。するとカメラに気づいた彼女たちが笑顔でポーズを取ってくれたとか。彼がチェンライの大ファンになったことは言うまでもない。

ベトナム、フエの王城午門で遠足に来た女子高生の一団が入場を待っていた。自分を見て何国人だろうと噂しているようだった。各国音声ガイドの看板があったので日の丸を指さした。へー、あー、そうなんだ。可愛いなと思ってレンズカバーを外し、彼女たちのほうを見たら、瞬時にマスクで顔を隠していた。横を向いている子もいる。ああ、ベトナムの子は写真を撮られるのが嫌なんだな、と気づいた。

2年ほど暮らしたウズベキスタンは、タイと同じで撮影を嫌がらない。嫌がらないどころか、市場などで変なおばさんが私を撮れ、と命令する。撮影した画面を見せると「クラシーバヤ(美しい)」などと呟いている。子供たちにカメラを向けると駆け寄ってきて「写してー」と自分を取り囲む。でもウズベクのお隣、カザフスタンでは撮影を嫌う。特に子供を撮っていけない。写真に魂を吸い取られるからだそうだ。元々、騎馬民族の国だから馬を写してもいけない。

 

■撮影禁止

ウズベクでも軍事施設は勿論、空港や鉄道駅での写真撮影は厳禁だった。JICAの仲間の帰国を見送りに空港へ行き、チェックイン前に集合写真を撮っていたら、兵士が飛んできて撮影を制止された。中国なら何を撮っても「スパイ罪」で拘束される恐れがある。今は大丈夫かもしれないが50年近く前、台北の下町で相棒の写真を撮ったら背景に警察署があったとかで変なおじさんに叱責されたことがある。

最近はスマホでの写真撮影が当たり前になった。何時でも何処でも誰でも何でも撮影可能だ。でも場所によっては写真撮影が命取りになる、と外務省海外安全ホームページで警告している。

【場所】
・軍事施設、警察、政府庁舎などの機密施設
・立ち入り禁止地域(軍事・機密施設)
・空港
・博物館、美術館
・デパート、スーパーマーケット
・一部教会、寺院
・銀行
・その他、鉄道の駅舎や列車、橋なども、軍事機密になっていることがある

【対象】
・許可なしでのイヌイットエスキモー)、マサイ族などの撮影
イスラム教の現地の女性
・兵士
・宗教的な儀式

禁則に触れると、罰金、禁固、フィルム・カメラ没収などになる場合があるので、注意が必要。(引用終わり)

昨今、欧米並みのポリコレ旋風で、性的関心がなくても、風景を撮ったつもりでも「私を撮ってたよね」と腕を掴まれかねない。スマホ全盛の時代、83倍超望遠のニコンP900を持ち歩く自分はそれだけで変質者と見做されているのだろう。そのうち捕まるかもしれない。