一時帰国
■帰国理由
このブログがアップされる頃は日本に滞在している。異国にあれば故国への憧憬が募る、というほどのこともないが、外国人が和食に舌鼓を打つといったビデオを視聴していると、刺身に冷酒なんていいよね、としみじみ思う。
昔、シンクタンクで国際化に関する勉強会の事務方を務めていた。そのメンバーの一人、日経の論説副主幹だったKさんが発言した。「外交官だって、駐在員だって早く日本に戻って温泉につかって刺身と熱燗で一杯やりたいと思ってるんだ、そんな国で何が国際化だ」。その時はみんなで大笑いしたものだが、今となっては卓見だったかもと思う。英国が世界に雄飛できたのはイギリス料理がまずかったせいだという説がある。
一時帰国する理由はどうしても刺身が食べたいから、というわけではない。住民票は日本に残してあるから国民健康保険の加入者でもある。海外で支払った医療費に関して、一定の手続きを取れば8割の還付が受けられる。タイに戻ってから歯科治療を受けた。自由診療であるから治療費はかなりの高額になった。還付手続きは支払の時から2年以内に行う必要がある。還付予想金額は渡航費を大きく上回る。
もう一つの理由は、４年前、感染症が蔓延し始めたころ、バンコク戻りの格安航空券の予約、キャンセルを繰り返していた。正規運賃ではないからキャンセル分は返ってこないものとあきらめていた。いくらソンしたかも覚えていない。ところが今年になって、旅行代理店から航空運賃でお預かりした金額が4万円ほどあります、航空券を買えば相殺できますし、銀行口座へのお振り込みもできます、という連絡があった。突然、4万円が空から降ってきたようなものだ。タイのことだから銀行振込などいつになるかわからないし、そのまま消えてしまう恐れもある。そこで、アジアエアのバンコクー成田往復の航空券を購入した。実質2万円だ。エアアジアに限らず、ナショナルフラッグのタイ国際航空でもキャンセル航空券の払い戻しがあって、それで一時帰国する友人が何人かいる。
■久しぶりのラウンジ
年間1万円の費用は掛かるが、あるカード会社から空港のビジネスラウンジが利用できるカードを発行してもらっている。2021年11月にタイに戻ったのであるが、その折、羽田の全日空のラウンジを利用した。あの時の感激は忘れられない。詳しくブログに書いたくらいだ。各航空会社のラウンジ巡りが大好きという人もいる。でもそれほど飲み食いできるわけでもない。静かに珈琲をすすりながらゆったりとしたソファに座ってパソコン画面を眺める、これだけでも1万円の価値はある。
チェンライの空港は今でこそ海外便の離発着はないが、以前は香港、昆明行きの便が飛んでいた国際空港である。しょぼい空港であるがラウンジがあるという。初めて利用してみた。韓国人夫婦が1組いるだけ、ジュース、珈琲、紅茶のほかクロワッサン、ケーキ、果物など、店頭で見かける冷凍庫があってガラス越しにステッィクやコーンのアイスクリームが見えた。シンプルなラウンジであるが、残念なことにコンセントがなかったのでリュックからPCを取り出すには至らなかった。
バンコクのスワンナプーム国際空港に到着したのは6時前であったが、成田行きのエアアジアの出発時間23時50分、チェックインの受付は20時から始まったが、長蛇の列で時間がかかる。やっとのことでエミレーツ航空のラウンジにたどり着いたのは21時近かった。さすがチェンライのラウンジとは格が違う。カオマンガイとビールで一息つく。ウィスキーはもちろんカンパリ、ブランデー、ジン、ウォッカと酒は豊富にあった。飲み過ぎると機内でつらい思いをするから、酒はかなり自重した。
■第2ターミナル到着
成田行きエアアジアはほぼ満席だった。韓、台、中に続いてタイからの訪日客が多いという。満席は格安だからというだけではなく、タイ人観光客数が順調に伸びているのだろう。
エアアジアは成田空港の第2ターミナルに着いた。空港出口まではちょっとしたウォーキングとなる。40くらいのタイ女性がやっと着いたね、と話しかけてくる。タイ語で疲れたよね。えー、タイ語ができるの、オジサン。ウン、チェンライに住んでるんよ、え、ワタシ、チェンマイ，オクさんいるの？ 愛人も妾もいないよ、独り身が一番。俄然、おばさんは積極的になって「ライン、交換しましょ」。ウーン、ちょっと電源切れてるんよ。それじゃチョークディーナ (気を付けてね)。
袖すり合うも他生の縁、ライン交換すればいいことあったかな。
