チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

格言以前の問題

近くのサンサーイ市場から

 

花屋さん

上海カニを売っていた。高級品で高価

鮮魚はプラニン一択

土日出店の店

同上、手編みの竹かご、ざる

 

格言以前の問題

■文化と格言

タイにも格言がある。ネットにはタイ語とそのカタカナ読み、並びに訳が載っている。ある程度タイ語が話せる人ならば、書いて覚えてタイ人との会話を豊かにできるだろう。でも自分は日常の最低必要会話しかできないから、「相手を笑顔にしたいならまず自分から笑顔になること」とか「 あなたが出来ると思えば必ずできる」といったタイ語格言は中々覚えられない。それでも「自分の行いの報いを自分が受ける」という意味の「タムディー ダイディー・ タムシュア ダイシュア」は口調がいいので覚えたけれど、使う機会がない。

タイならではの格言もある。たとえば「水牛を殺して唐辛子を惜しむな」、「砂を寺院に運ぶ」、「新しい米、魚の脂」、「ヤシの殻に水を汲んで影を覗き見る」。この4つがわかる人はタイ語上級だろう。水牛を、は大きなことをするのに小さなこと拘るな、つまり大事の前の小事という意味か。砂を寺院に、は自分のことだけを考えるのではなく全体を考えて善行を積むという意味だ。タイ正月にブアさんと一緒にバケツの砂をお寺にタンブンしたことがあるので、これは自分も理解できた。「新しい米、魚の脂」、これは新婚ほやほやの意味だそうだ。新しい米はわかるが魚の脂が新婚さんとどういう関係があるのかわからない。ヤシの殻に、の格言は「身の程をわきまえよ」という意味という。言われればそうかと思うけれど、ヤシの殻に何か寓意があるのだろうか、と謎は深まる。

言葉を覚えるには丸かじり、一々、理屈を考えていては読み・書き・喋りはできるようにならないという。格言を覚えるうちに自然と文化的背景も理解でき、自在にタイ語が使えるようになるのかもしれない。

 

■コートでタイ語

テニスコートに集まる仲間の半分はタイ人だし、外人もタイ語が分かる人が多いから、ゲーム中、ネットをかすってボールが相手コートに落ちた時など「チョークディー(運がいい)」、相棒が失敗しても「マイペンライ(大丈夫)」、簡単なスマッシュをネットに引っ掛けた時は「アローイ・クンパイ(おいしすぎた)」といった短いタイ語が飛び交う。

コートで一番よく使われる単語はカウント数字を別にすれば、やはり「マイペンライ」だろう。旅行者がすぐ覚えるタイ語としてコップクンカップ(ありがとう)、サワディカップ(こんにちは)とともにマイペンライがある。OK、気にしない、構いませんよというこの単語はコートに限らずどこでも使われる。

このマイペンライを北タイでは「ボーペンヤン」ということを知った。ブアさんが買い物をしている間、車中で待っていたのだが座席の背もたれに「旅の指さし会話帳」が入っているのに気付いた。14年前、チェンライに来た頃はお世話になったが、携帯の翻訳機能を知ってからは手に取ることもなく。背もたれに入っていることさえ忘れていた。

ページをめくってみると北タイのページに「牛肉カレーかけ揚げ麺(カオソーイ)」などと並んで「どういたしまして、平気です(ボーペンヤン)」が出ていた。

ブアさんにボーペンヤンと言ってみると大喜び。発音も直してくれた。それで翌日、コートでトスの返球が少しそれた時、相手が「ソ-リー」と言ったのを見逃さず、「ボーペンヤン」と返した。この時のダブルスの相手は二人とも偶々、バンコクから来ていたタイ人だったが、ダニエル・カールが狛江のコートで突然、東北言葉を発したかのような驚き様だった。駆け寄ってきて「どこで覚えたの?誰が教えてくれたの?」と質問攻め。そんなに方言が珍しかったのか。一人は中流以上と見える中年女性だったが、ボーペンヤンよりマイペンライを使うほうがいいでしょう、と遠回しに忠告してくれた。

 

■ランナー訛り

北タイはその昔、ランナー王国という国が栄えていて、タイ語とは違うランナー語、ランナー文字が使われていた。チェンライの田舎でしゃべるタイ語はこの訛りが残っていて、ブアさんが村でしゃべる言葉はほとんど理解できない。ランナー語でしゃべっているからとブアさんは言っている。北タイ訛りの一つはプアン(友人)がピアン、ドゥアン(月)がディアンのようにウ音がイ音に変わることだ。タイ語のジアップ先生の前で、ついピアンと言って笑われたことがある。笑われるくらいならいいが、バンコクでは北タイ出身者はその訛りによって差別を受けるらしい。テニス仲間の忠告もそういった背景があってのことだろう。格言を暗唱する前にタイについて理解すべきことが多々ありそうだ。