チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

フアヒン一人旅(3)

フアヒンの馬

海岸へ続く土産物店、人が少ない

フアヒン、海の家

波打ち際で遊ぶ子供

同上、もちろん望遠撮影

フアヒン夕暮れ、波は静か


フアヒン一人旅(3)

■フアヒンの思い出

フアヒンには1度来たことがある。8年前の2014年5月20日だ。どうして日付を覚えているかというと、丁度この日に、タイ王国陸軍が政治的混乱の収拾、平和と秩序の維持を名目として全土に戒厳を発令したからだ。プラユット陸軍総司令官によるクーデタである。

戒厳令が出ているなどとつゆ知らず、チェンライからフアヒンまで1200キロ、タイを南下していた。国道沿いにやたら兵隊さんが出ているなあ、とは思ったがチェックもなく、スムーズにフアヒンに到着した。これがタイで19回目のクーデタだったそうだから、国民もクーデタ慣れしていたのだろう。それでも22時半以降の外出禁止、テレビ放送中止など戒厳令発令下らしい感じがしたものだが、感染症による娯楽施設や飲食店閉鎖に比べれば可愛いものだったように思う。少なくともクーデタによる経済的打撃は感染症よりは小さかったと思う。

クーデタ以来、プラユット氏が政権を掌握して8年以上経つ。安倍元総理並みの長期政権だ。タイの憲法では首相任期は8年を越えてはならないとされている。それで憲法裁判所の裁定により、8月にプラユット首相は首相の座を陸軍時代の上官だったプラウィット第一首相に代行させているが、国防相のポストは保持している。プラユット氏の首相在任期間の数え方には複数意見があり、9月末に下される憲法裁判所の最終判断によっては、更に首相を続けると言われている。

クーデタ以来、タイは長期「軍事政権」が続いているが、プラユット首相の人気は今一つ。今年6月にタイ国立開発行政研究院が行った政党支持率調査によると、野党タクシン派のプアタイ党が36%で第1位、与党第1党で軍の支持を受ける「パランプラチャーラット党」は7%で3位となっている。政党支持率から見ると野党が優勢であるが、いろいろカラクリがあって総選挙があっても軍政が続く仕組みになっている。

強圧的な軍事政権と言われようとここ8年、国を2分する政争はなく、穏やかな暮しが続いている。それまでは赤シャツ、黄シャツと反目しあって、デモを繰り返し、お互いに死者が出た。日本のジャーナリストもデモのさなか銃弾に倒れた。空港がデモ隊に占拠され、国際便の発着が停止したこともある。あの大混乱に比べれば、世界の民主国家が「タイは軍政で怪しからん」といっても、人が死なないだけ軍事政権のほうがマシ、と個人的には思っている。

 

■静かな海と乗馬

8年前はプミポン前国王がフアヒンでご静養中だった。王様を警護するためかフアヒンの沖合に灰色の軍艦が停泊していた。現ワチラロンコン国王はフアヒンではなく、ドイツにご滞在、という日々が多いと聞いている。

フアヒンは王室の静養地であるから、騒音をまき散らすモーターボートやジェットスキーは禁止されている。高速艇に引かれて空に舞い上がるパラセイリングもない。マリンスポーツができない代わりにフアヒンでは乗馬ができる。浜に行くと馬が10頭くらいいた。ネットには60頭くらいいるとあるが、少ないのはやはり感染症の影響であろうか。馬子が危なくないから是非、と乗馬を勧めてくる。子供が安心して乗れるポニーもいる。乗馬時間によって値段が違うが20分で400Bが高いのか安いのかよくわからない。

人は動物に乗りたがる人とそうでない人に分けられる。息子はタイで馬、象、ダチョウに乗っている。携帯の待ち受け画面にダチョウにしがみついている写真を暫く使っていた。自分は乗馬や象乗りに全く興味はない。

 

■英国女王の国葬

フアヒン滞在中にエリザベス2世の国葬があった。1回目のフアヒンはクーデタ、2回目は英国女王の国葬と共に記憶に残ることだろう。ウェストミンスター寺院での葬儀には、世界中の約200の国・地域の元首・首脳が集った。その内訳は天皇陛下を始め、国王などの君主が18人、大統領が55人、首相が25人で、国連加盟国193か国のうち167か国が代表を派遣した。

この世紀の大葬儀に当然、参列すべき国王が一人欠けていた。ラーマ10世、タイのワチラロンコン国王である。エリザベス女王は1975年に一度だけ日本を訪問されているが、タイには1972年、1996年と2回訪問されている。

ワチラロンコン国王はロンドンから1000キロも離れていない独バイエルン州の豪華ホテルにいたので行けないことはない。結局、タイは王族ではなく、駐英タイ大使の参列にとどまった。タイ国王と何十人もの愛人との放蕩三昧スキャンダルはよく知られている。でもヘンリー王子、アンドリュー王子も式典に参列したのだからワチラロンコン国王も胸を張って参列すべきだった、と自分は思っている。