チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイの総選挙

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タイの総選挙

■クーデタから4年半
2014年5月22日午前3時にタイで軍事クーデタがおこった。午前3時と時間まで覚えているのは、丁度、その日の午前3時に、海の魚を食べにチェンライを出て、ホアヒンに出発したからである。午前8時ごろ、サービスエリアで一休みしていた時に、日本にいる弟からの電話でクーデタ勃発を知った。軍事政権成立からX年と聞く度にホアヒン旅行を思い出す。

確か、軍事政権は2015年には総選挙を行って民政移管すると言っていたが、何度も延期され、漸く今年の3月24日に総選挙が実施されることになった。2月4日からは立候補受け付けも始まっている。クーデタの前は北部の庶民層をバックとするタクシン派の赤シャツ党と都市中間層に支持された黄シャツ党が反目し合って流血の抗争を繰り返していた。今、世界に2つだけ軍事政権と呼べる国がある。一つは北朝鮮、2つ目がタイのプラユット政権である。でもいくら民主主義とはいえ与党、野党の支持者が殺し合いを続ける混乱政治よりも、秩序を保ち、国民が争うことなく暮らせる軍事政権下での政治のほうが個人的にはいいと思う。
選挙で多数から支持された人が政権を担う、これが民主主義と米国はナイーブに信じているかもしれない。でも選挙で大統領を選んでいるお隣、韓国が民主主義の国と思う人はどれだけいるか。民主主義はところによって様々だ。

首班指名
タイでは3月に総選挙が実施され、下院議員500名が選出される。首班指名は下院の500名と上院議員250名、合計750名の投票によって行われる。但し、上院の250名は軍事政権の指名によって選ばれている。4年以上政権の座にあるプラユット首相は総選挙後、首班指名に立つ。下院で126票を取れれば上院の固定票250と合わせて、プラユット氏は過半数を制し、民政下で引き続き政権を担うことができる。

実を言うと、軍政下で弾圧を受け続けているが、タクシン派はいまだ健在だ。まともに選挙したら赤シャツ党が勝つことは目に見えている。これまで赤シャツが勝つたびにクーデタが起こってきた。黄シャツは選挙で勝てないからクーデタで政権をひっくり返す。都市部の中間層にとっては高学歴の俺の1票と東北部の農民の1票が同じということが許せない。こういう考え方だと民主主義は成立しないと思うのだが、まあタイ式の妥協で総選挙と上院票の下駄をはかせた首班指名方法がとられたということではなかろうか。

■王女擁立
というわけで、欧米諸国から何度も勧告を受けた総選挙、民政移管の運びとなった。軍政支持の政党もあり、プラユット首相続投は間違いないとみられていたが、ここで思いがけないことが起こる。

2月8日付、ロイター電から。
3月24日に予定されるタイ総選挙に向け、タクシン元首相派のタイ国家維持党がワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女(67)を首相候補に擁立することが、選挙管理委員会への届出で明らかになった。
 タイ王室の関係者が政治に関与するのは異例で、政治の構図を大きく変える可能性がある。
 チュラロンコン大学の政治アナリストはロイターに対し「選挙前と選挙後の双方でタイ政治のあり方に影響する意味深い展開だ。タイ国家維持党は有力な存在になった」と語った。タイ国家維持党はタクシン派の中核政党であるタイ貢献党の分党。
 軍事政権のプラユット暫定首相もこの日、親軍政政党の国民国家の力党による首相候補指名を受け入れると表明した。
 ウボンラット王女の出馬がワチラロンコン国王の承認を得ているのか、現時点では不明。
 タイ国家維持党のプリチャーポン党首は、選挙管理委で記者団に対して「党は唯一の候補として王女を指名した」と説明。「王女は知識が豊富で、非常に適任。王女の出馬に法的な問題はないと信じているが、選挙管理委が立候補を承認するのを待たなければならない」と述べた。
一方、軍事政権寄りの小政党、人民改革党は選挙管理委に対して、王女の立候補が法律に抵触するかどうか検討するよう申し入れた。

例えてみれば、悠仁親王殿下が天皇陛下となられたあと、眞子内親王殿下が自民党総裁となって首相を目指すようなものだ。
ウボンラット王女は外国人と結婚して王室の籍から離れたが、離婚してタイに戻った後は王室メンバーとしての扱いを受けている。最近ではAKB48のタイの姉妹グループBNK48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」を歌い踊る動画が話題になった。

王女の踊り、歌はなかなかのもの。歌って踊れる首相の誕生となるかもしれない。


タイ王女が披露した「恋するフォーチュンクッキー」はこちらから
http://news.livedoor.com/article/detail/15010410/

と、書いてきたところ、9日になって下記のニュースが。プラユット首相を脅かす存在だっただけにちょっと残念だ。

首相候補のタイ国王姉、国王が政界入り禁止>
 ワチラロンコン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)が3月の議会下院(定数500)総選挙で政党の首相候補となったことについて、8日夜、ウボンラット王女が政治職につくことを禁じる国王の命令が官報に記載され、地上波テレビ局全局で一斉に放送された。
 国王は、ウボンラット王女は王族籍を離れたとはいえ王室の一員であり、王族が政治に関与するのは憲法立憲君主制の伝統に反すると指摘した。


写真はスリランカ旅行から