チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

大葬まで政治休戦

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大葬まで政治休戦

■年末風景
12月も下旬、日本の街角では山下達郎の「クリスマス・イブ」とか稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」といった曲が流れているのではないか。

兄が今年のクリスマスは盛り上がってないな、という。例年チェンライのショッピングセンター、ビッグCやセンタンでは大きなクリスマスツリーが飾られる。一般家庭でも庭木にLEDの点滅電飾を巻き付かせてクリスマス気分を盛り上げる。ところが今年は街にクリスマスを祝う飾りが全くない。その代りに白黒の幔幕に囲まれたプミポン国王の肖像写真が至る所に安置されている。

服喪期間は1年ということだから、西欧風の祝い事は慎むということなのだろう。北タイはランナー王国というプミポン国王チャクリー朝とは文字も言語も違う国だった。ランナー王国は13世紀の成立。チャクリー朝が興ったはの1782年。北タイのランナー人からみれば、俺たちのほうが長い歴史があるもんね、という自負がある。今回の崩御に関してもバンコク周辺とは少し悲しみの表し方が慎ましい、というか抑え気味。市内の黒服着用者は半分くらいに減っているが、基本的にはお上の服喪指示に従っている。

■新国王即位
国王即位の時期を遅らせていたワチラロンコン皇太子が12月1日、タイ・チャクリ王朝の第10代国王に即位した。戴冠式は約1年後とみられるプミポン国王の火葬式後に行われる見通し。
国王即位で嬉しくない?とブアさんに聞いたら答えは「タマダー(普通)」。そして国王の肖像が印刷されている100B札を見ながら、「この顔が替わるといやね」と言った。彼女もやはりランナー人か。

第10代国王の即位は淡々と国民に迎えられているが、今後どうなるのか。産経新聞12月2日付に「タイ、ワチラロンコン新国王即位 なおくすぶる混乱の火種」
という記事が掲載された。よくまとまっている。

(引用開始)
バンコク=吉村英輝】在位70年に及んだプミポン前国王の後継者として、長男のワチラロンコン新国王が即位し、「元首不在」の長期化は回避された。軍主導の暫定政権は、これからも強権姿勢で政治対立を押さえ込みながら、民政移管を進めるとみられる。

●安堵感漂う経済界
国王不在は「タイ最大の不安定要因」(外交筋)と見られていたため、経済界には安堵感が漂う。
バンコク日系企業関係者は、「懸念された政治や社会の混乱は起きなかった。ぜいたく品などの購入自粛はあるが消費も堅調。経済への影響は限定的だ」と語る。成長を続ける東南アジア市場で、製造業を中心にした日系企業は、タイを拠点に投資を続けてきた。タイの混乱は、日本経済も直撃する。

プラユット首相は、プミポン前国王死去後に間髪を入れず、ワチラロンコン新国王(当時は皇太子)が後継者として指名されていたことを表明。国民不安につけ込んだ治安悪化を警戒した。店舗や金融市場などは通常営業を続けるよう促した。
10月中にも実施するとしていた議会(非民選)の新国王承認手続きは大幅に遅れた。ワチラロンコン新国王自身が「私と国民の悲しみが癒えるのを待ちたい」と即位の先延ばしを表明したとされる。

新国王にとって、最大の課題は国民の信頼を集めることだ。外国生活が長く、国民との接点が少なかった。国民の敬愛を集めた父の威光を引き継ぐことは難しい。プミポン前国王の側近を長年務め、死去後は暫定摂政についたプレム前枢密院議長(96)は、素行などを問題視して後継に難色を示したとされる。国民の人気が高い前国王の次女シリントン王女(61)を推す声もあり、円滑な王位継承が危ぶまれたほどだ。

●ネットで取り締まり
当局はインターネットで不適切な投稿をした人を逮捕し、王室批判の取り締まりを強化した。ワチラロンコン新国王の皇太子時代の素行を取り上げたウェブサイトなどが取り締まりの対象となったとみられる。
プミポン前国王死去に伴う服喪期間は1年間で、政治集会なども自粛が求められる。暫定政権は今後も前国王の威光を利用しながら治安を維持し、民政移管に向けた総選挙を有利に進める狙いとみられる。来年2月までに新憲法を公布し、来年末に総選挙を行う予定で、新国王が公布に伴う署名を行うことになる。

ただ、既得権益層と地方の貧困層という政治対立は解決されず、国内には火種が残されたままだ。暫定政権から圧力を受けるタクシン元首相派は復権を虎視眈々と狙っている。新国王が求心力を持てなければ、混乱が広がる可能性も捨てきれない。(引用終わり)

何度か書いているがタイはまだ民主主義が根付いてない国だ。吉村記者の「政治的対立と混乱の拡大」という懸念は現実となる予感がする。




写真は市内のプミポン国王写真、100B札、ラーマ10世ワチラロンコン国王