チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ8年8ヵ月

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介護ロングステイ8年8ヵ月

■バナナがいいかも
チェンライに来て8年8ヶ月経った。母は今月で92歳になった。日本で医師にお母様は83でお亡くなりになります、と言われて9年経つ。何故83かというと点滴になって、3ヶ月で点滴が効かなくなるから、という理由だった。タイに来てからは入院中の2,3日を除き、点滴とは縁がない生活をしている。口から食物が摂れるということは栄養学的にも大切なことなのだろう。歯が全くないものだから、お粥とバナナが主食、タンパク質はお粥に入っている卵だが、1日に1個もいかない量である。やはり毎食3本、1日に9本食べるバナナが健康にいいのだろう。高齢者に不足しがちな栄養素として次の4つがあげられる。即ち、たんぱく質、ミネラル、食物繊維、それにビタミン。たんぱく質と食物繊維は卵、野菜入りお粥、バナナから、ビタミン、ミネラルはバナナとフリカケから摂れているのだろう。
毎食、ほぼ同じ食事内容で申し訳ない、という気はする。それで日本から持ってきた噛まないで食べられるパウチ食、牛乳のムース、ドリアン等を食べさせるのだが、ブアさんがママさんの体調が変る、と機嫌が悪くなる。ママさんがいつもと違うものを食べた、と分かるらしい。食事関係はブアさんが取り仕切っているし、ここ数年、ほぼ同じ食事で体調が悪くなる、ということもないのでブアさんの意見を尊重している。

最近、長生きしたかったらママさんのようにバナナを食べろ、とブアさんに言われる。将来、年金が無くなってもその辺に生えているバナナだけで生活できるようにという親切心のようだ。肉やエビも食えず、酒も飲めず、バナナだけで生きるくらいなら死んだほうがマシだ、と思っていたが、自分も老境に差し掛かっている。テニスもあと一歩の足が出ない。母より先に逝ったら大変だ。ブアさんの指示に従って努めてバナナを食べるようになった。

■抗認知症
チェンライに来てすぐに英文診断書を病院に持参して、日本と同じ薬を処方して貰った。その後も、その時々で一番効果があるという抗認知症薬を服用していた。あまり効果はなかった、というより、もっと早くから飲んでいればよかったのかも、というくらい。処方された薬は飲んでいれば認知症が治るというわけではなく発症を半年ほど遅らせることができる(らしい)という程度の薬である。これから高齢者5人に1人が罹患するという認知症を治す薬はないのだろうか。

もし、認知症治療薬が開発されたら、製薬会社は莫大な利益を上げることができる。高齢化社会を迎え、患者の数も増えこそすれ減ることはない。だから世界中の製薬会社は認知症治療薬の開発に莫大な金額と長年の歳月を費やしてきた。
しかし最近の週刊現代によると、そういった製薬会社の努力は次々に失敗しているという。米国の大手製薬会社、リーライリリー社はアルツハイマーの根本治療薬開発のために25年以上の時間と30億ドル以上の投資を行ってきたが、この度、研究開発に携わってきた研究者を数百人解雇して事業を縮小した。リリー社の株価は実験失敗直後に11%以上も下落した。

■アンチャンのほうが
アルツハイマー患者の脳には、アミロイドβ(Aβ)という物質、タウタンパクという物質が溜まっていることが明らかになっている。病気の大元の原因にはAβが関係していて、途中からタウが溜まり、それらが神経細胞を破壊すると考えられている。世界中の製薬会社で治験が進められている治療薬の多くは、Aβを標的としている。リリー社の期待の星だった治療薬ソラネズマブはAβに対する抗体を投与する抗体療法の一つだった。ソラネズマブを服用するとAβができにくくなり、結果として認知症の発症を防げる、遅らせるというものだ。
ソラネズマブは、当局への申請まであと一歩となる、臨床試験の「第3相試験」の段階に進んだ。これはアルツハイマー患者の半数にソラネズマブを投与、残りにはプラシーボ(偽薬)を入れ、認知テストを行いつつ、経過を18ヵ月間追うという内容だったが、結果には顕著な差はなかったという。

アルツハイマーが発症する時にはAβやタウが脳にたんまり溜まっているわけで、Aβができにくくなる薬を飲んでもすでに遅く、病気が治るわけではない。認知症になる30年も前から抗認知症薬を飲むのも20%という罹患率を考えればばからしい。

それならばアンチエイジングに効果あるアントシアニンを含むアンチャンを飲んでいるほうがずっといいのではないか。でも92歳になる母に今更アンチエイジングでもないし、飲ませたらまたブアさんに怒られそうだ。