アンチャン再び
■タンブン
ブアさんに連れられてお寺に行くことがある。彼女に言われて、いくらかはタンブンを出す。週に2回、近くのお寺から我が家の庭先までお坊さんが来る。洗剤、果物などをタンブンし、お経を詠んでもらう。先日、買い物に出かけたら、突如、豪雨となって、スーパーの室内駐車場は入口に向かって車の長い列ができた。駐車スペースを探すのは大変だな、と思っていたら、我々を待っていたように1台の車が出ていく。おお、これはラッキー、日頃のタンブンの成果か、今度お寺に行った時にはタンブンしなければ、と思った。いいことがあればタンブンのお陰、悪いことがあればタンブンが足りないせい、と自分も考え方がかなりタイ化しているようだ。
でもいくらタイ化したからと言って、テニスのショットが決まらないのはタンブンが足りないからだとは思わない。少年時代のタイガー・ウッズが、練習場で球を打ったところ、大きくスライスした。コーチである父親が「タイガーよ、どうして曲がったのかわかるかい」と尋ねたところ、ウッズ少年は「私の練習が足りなかったからです」と答えた。同じようにテニスが下手なのは自分の努力が足りないからです、といいたいところであるが、年を取って瞬発力も判断力も鈍ってきたからです、が正直なところだろう。
■目がよくなったかも
9月に入っても雨の日が多く、週に3度コートに立てればいいほうだった。そんなある朝、兄と組んで結構強力な相手とダブルスの試合をやった。テニスに関しては兄弟間の信頼関係は高くない。相手が相手だし、2-6くらいで負けるかな、まあ勝負より健康第一、運動のためだと思って試合に臨んだが、意外にも6-4で勝ってしまった。同じメンバーでもう一試合という。今度は本気を出してくるからやられるな、と思っていたが、結果は6-5で2試合連続で中西兄弟の勝ち。相手チームの失敗はあったが、失敗を誘うためにはこっちがしっかり打ち返していく必要がある。しっかり打ち返すにはボールがちゃんと見えてなければ。そうすると以前より、ボールがよく見えるようになったのではないか。
それならば心当たりがある。アンチエイジングに効くと言われて、毎日アンチャンを飲んでいる。アンチャンに豊富に含まれるアントシアニンには、ロドプシンの再合成を促進し、眼精疲労を回復し、視力を改善する働きがあるとされている。アントシアニンは網膜に張り巡らされた毛細血管の保護・強化作用、血液循環を向上させる効果や、角膜・水晶体などに含まれるコラーゲンを安定させる作用もある。もしかしたら、いや、確かにアンチャンのアントシアニン効果がダブルスの勝利に寄与したのだろう。
■広がる人気
アントシアニンはブルーベリーに含まれているが、果肉の酸と反応してアントシアニンの効果が減ってしまうという。アンチャンのアントシアニンは安定していてブルーベリーの4倍以上の効果があるらしい。アンチャンはお茶のように熱湯で淹れたり、水に浸して飲むが、ほとんど味がないので、レモンや蜂蜜を入れたり、サイダーで割って飲む。自分はウィスキーやラオカオで割って飲む。生花をサラダに入れたり、てんぷらにしてもおいしい。アカ族のフードフェスティバルでもアンチャンの花が供されていたことを思い出す。
健康食品であるブルーベリーは大変高価だ。同量のアントシアニンを摂るならアンチャンのほうが格段に安い。日本ではアンチャンを使った青森の青いリンゴシャムが評判だそうだ。またあるラーメン店では青いラーメンを出す。麺もスープも青い。店の人はこの青さは企業秘密です、と言っているがこれはアンチャンにほぼ間違いない。安価だし、味がないし、自然由来で健康的だし、食品添加物として問題ない。
■副作用
アンチャンに副作用はないのかというと、効果と裏腹ではあるが、飲まないほうが、という人もいる。
アンチャンには、抗血栓、血栓溶解をする成分が含まれていて血小板機能を抑制する。そこで血液がサラサラになって困る人、生理中の女性、また妊娠中の女性は飲まないほうがいいと言われている。男性は髪の毛が黒くなったり、生えてくるという効果が期待できる。毛細血管が元気になるかららしい。
アンチャンは日本では蝶豆、英語ではバタフライピー(Butterfly Pea)と呼ばれる。学名はClitoria ternatea(クリトリア・テルナテア)である。クリトリアはギリシャ語由来で花の形から来ているそうだが、我が拙い川柳、「なるほどと眺め入るなりアンチャンに」でご想像願いたい。
なお花を見てムラムラする人は元気だからアンチャンを飲む必要はないでしょう。