チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ7年11カ月

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

介護ロングステイ7年11カ月

■変わらぬ日々
寒いと言っても日中は30度くらいに温度の上がるチェンライ、北風が吹かないせいか師走気分を感じないままに開戦記念日も、赤穂浪士討ち入りの日も、冬至も、天皇陛下のお誕生日も過ぎていった。クリスマス気分は盛り上がらず、例年華々しく行われるチェンライのカウントダウンも今年はどうなるのか。もちろん国王陛下への服喪の影響である。黒服製造関係者と看板屋は儲かったと思うが、これだけ沈滞ムードだとタイのGDPもいくらかは下がってしまうのではないか。

ともあれ、世の出来事とは全く無関係に母の日常は過ぎていく。今年も無事に過ぎそうだ。トイレ、シャワー、それに朝夕の食事の時だけベッドから起き上がる。と言っても介助がないと上半身を起こすこともできない。横たわったまま、食事をしたり、水を飲むこともある。いつも噎せないか、誤飲しないかと心配になるが、コホンと咳をするくらいで、誤飲でゲホゲホ苦しむようなことはまだない。

食べるものはここ何年か変わらない。卵、野菜入りお粥、フリカケ少々、それに3本のバナナ。バナナを1日9本食べる。バナナは体にいいみたいだ。バナナがなければとっくに亡くなっているのではないか。自分ももっとバナナを食べるように、とブアさんに毎日のように言われている。まあ、今食べなくても、ゆくゆくは毎日9本食べる生活に入るかもしれない。

■心配するだけ無駄
認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されている。厚生労働省は2015年に全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。約10年で1.5倍にも増える見通しだ。多いようではあるが65歳以上の5人に1人、イチローの打率より低い。母、それに我々兄弟3人と弟の嫁さんを加え、65歳以上の5人の中で一人だけ認知症、確率的には自分の意思でバナナを食べる人生を全うできそうだ。

認知症を治す薬はまだ無いし、発生の原因さえはっきりわかっていない。認知症の予防に効く食べ物を検索するとある、ある、EPADHAを含んだイワシ、アジといった青魚、ビタミンC、Eを含む野菜、果物、大豆、シイタケ、ナッツ、ゴマ、ベリー、緑茶、珈琲、ワイン、卵、レバー、ワカメ、芋類、果てはウコンの豊富なカレー、銀杏葉エキスなど。これに対し、認知症になりやすい食べ物はうどん、ラーメン、肉、アルコールというのだがホントかね。うどん県で知られる香川県認知症患者が多いとは聞いたことがない。

認知症にかかりやすい職業、性格という研究成果?もあるから、いくら食生活に気を付けていても認知症になる人はなるし、ならない人はならない。心配するだけ免疫力が低下して早死にする。

■我が家の味
食生活と言えば、ここ2ヶ月、弟の嫁さんのお陰で認知症予防に最適と言われている和食を満喫することができた。時折、これはお母さんから教わったという料理が出てくる。オリーブ油で2儚僂棒擇辰真パンと椎茸、大蒜の炒め物が出た。半世紀も前、スペインから帰った自分から聞いて母が作ったもの、という。人から聞いたり、自分で食べたものを母はよく再現して見せた。評判のいい料理は何度も食卓に上った。そのいくつかを母は弟の嫁さんに伝授していたらしい。これはインドネシアで食べたシュウマイを再現したもの、これはすぐできるから、と言って教えてくれたジャガイモの炒め物・・・。そう言えば、お袋がこれ、よく作ってくれたよなあ、と台所で立ち働いていた若いころの母を思い起こし、しんみりとした気持ちになる。
認知症の兆候が出始めたころでも、これが今年で最後になるかもしれないから、と暮になるとおせち料理を作っていた。煮しめ、叩きゴボウ、黒豆、酢バス、田づくり・・・・。田づくりは小さくても尾頭付き、などと毎年聞かされたような気がする。

弟夫婦は今月19日に高松に帰った。正月は3人の孫も揃ってにぎやかなことだろう。食卓には母から教わったという料理がいくつか並ぶはずだ。「これが中西の味なんで」と言って甥の嫁さんたちにも母の料理を伝授し、受け継ぐよう指導しているという。有り難いことだ。

お母さん、そうなんだって、よかったね。反応ははかばかしくないが耳元でそっと言ってみる。来年も頑張ってね。


今年も押し迫りました。ブログは新年のお休みを頂きまして1月5日より再配信の予定です。本年はいろいろとお世話になりありがとうございました。来年が皆様にとりましてよき年となりますよう、チェンライの片隅からお祈り致しております。