チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

令和六年正月

例年通り、市内の花祭りから

アルバイトの高校生、頼むと一緒に写真を撮ってくれる

花祭りから

ゲート、蘭で一杯

同じ場所を望遠で

チューリップも定番

 

令和六年正月

明けましておめでとうございます。令和六年が皆様にとりましてよき年となりますようお祈りいたしております。また本年もよろしくご教導下さいますようお願い申し上げます。

■正月

日本の年の暮れは何かと気ぜわしい。正月準備として松飾りを用意したり、ごみ捨ての曜日を確かめたり、日頃手を抜いていた窓や桟、水回りなどの掃除も念入りに行う。スーパーや商店は正月食材で溢れかえる。切り餅や日本酒は勿論、紅白の蒲鉾、伊達巻、黒豆などおせち料理の定番を買わないと、という強迫観念に駆られる。

チェンライでも日本の吟醸酒が手に入るし、暮れの日本人会で搗いた餅を中心に新年を寿いだ。出汁巻き卵、黒豆代わりタイの金時豆(トゥア・デーン)、鯛代わりのプラニンの塩焼き、北京ダック、野菜の煮物などが元旦の祝膳。兄がいればもっと料理を作るのであるが今は一人暮らし、作ったら一人で全部食べることになる。異国の空の下で形ばかりであってもおせち料理らしきものを用意するのは、昔、おせち料理を若かった父母と兄弟3人、一家5人で囲んだ思い出があるからだろう。母が毎年定番で作っていたおせちは「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の5つの分類にきっちり合っていたことをネットで再確認した。作り方、味付けは弟の嫁さんが母から指導を受け、今は甥っ子の嫁さんに引き継がれているらしい。ささやかではあるが文化の継承とはこういうものかもしれない。

おせち料理は、節(せち)、すなわち節句、季節の変わり目ごとに食べた料理のことだが、今は正月料理の代名詞となっている。おせち料理は神様へのおもてなしのためにお供えするもので、お供えが終わったものを人間がいただく。これは、神様からのお下がりをいただくことで、神様からのご利益に与るといった理由があるとのこと。神様がチェンライに来て下さるとは思っていなかったのでお供えを忘れてしまったが、お下がりを頂いたという気持ちでご利益に与りたいものだ。

 

■抗齢者

チェンライの元旦の天気は雲一つない快晴、最低気温15度、最高気温30度であった。風はなく湿度も低く爽やかな乾季の1日であった。毎年「何となく 今年はよい事あるごとし 元日の朝 晴れて風無し」という啄木の歌を思い出す。青く澄んだチェンライの空の下、今年はよい事あるごとし、と思ってもいいのだが、実際のところは今年も何とか逃げおおせるか、という気持ちが強い。友人には「高貴幸齢者として今年も楽しく暮らしたい」などとメールを送ったが、テニスやツーリングができるのはいつまでか、じたばたせずに年貢の納め時を迎えられるかという感慨に囚われることが多くなった。

テニスは楽しいので週5日のベースで続けているが、「抗齢者」としてムリしてやっているのではないかと反省することがある。6ゲーム先取のダブルスを2セット、勝ったり負けたりで、あいつと組むと大抵負けるからなあ、と疎んじられてはいないと思うが、あと半歩でボールに追いつけない、反射神経が鈍っていて、ボールへの反応が0.2秒ほど遅れる。いつの間にか自分より年配のコート仲間はいなくなった。

最近、コートに韓国人が多くなった。彼らとゲームの合間に話すことがある。マウントを取ろうとするのか韓国人はよく年齢を聞いてくる。正直に答えると、いやに丁寧な態度になったり、褒めてくれたりする。チェ、年寄り扱いしてるな、と感じるが、これも年齢からくる僻み根性の表れではないかと思う。テニスはいつまでできるかなあ。岸田さんに限らず、人間の退き時はむつかしいものだ。

 

■朝酒

正月3ガ日は朝から日本酒を飲む。これは数十年来、ほぼ変わらない習慣だ。従って今年も飲んだ。日頃は日本人会の忘年会であっても飲まない。警察に捕まる可能性はほぼゼロではあるが飲酒運転で帰宅するしかないからだ。というより日中酒を飲むと、その日1日がダラダラと終ってしまう。残り少ない人生、朝から酒を飲んで自堕落に過ごす日々も悪くはないと思う。アルコールはマリファナよりも依存性が強いし、酒の旨さも多少はわかる。でも人間、他の人がやるのは反対しないけれども自分がやるのはどうかという自制心がある。ヘベレケに飲んだことはここ40年ないのではないか。

朝酒に酔って、1時間ほどうたた寝をする。目覚めて狭い我が庭を歩く。新築祝いに友人のくれた10本のバナナのうち4本に花芽が出てきて、実が生っている。鳥が飛んできてつつき始めたら実が熟れた証拠だ。テニスができなくてもヨレヨレと庭を歩き、鳥とバナナの取り合いをする。こういった晩年も悪くないのではないか。

I hope you have a relaxing and peaceful New Year’s holiday too! (令和六年元旦記)

これを書いた後、能登沖でマグニチュード7.6の大地震がありました。亡くなられた方々のご冥福を、また被災された皆様にお見舞いを申し上げます。