チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

民政復帰に向けて

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民政復帰に向けて

■鼓腹撃壌の毎日
軍事政権になって、タイのメディアから政治報道が殆ど無くなった。タイの新聞をつぶさに読んで、主だった記事をメール配信していた友人がいたが、政治記事がさっぱりなくなったので、配信をストップしてしまった。日本と違って、タイのメディアは政治圧力によって文字通り、「萎縮」している。

タイの片田舎に侘び住まいをしているせいもあって、タイの政治の話はほとんど聞かない。一昨年、バンコクではデモ隊に治安当局が発砲し、90人の死者が出たが、チェンライは至って平穏だった。大体、2014年5月20日にクーデタに先立って戒厳令が発令されたが、そんなことは露知らず、その日に友人たちとホアヒンに海の魚でも食いに行こうや、とドライブに出かけていた。ナコンサワンあたりで休憩を取っているときに、日本からの電話で戒厳令発令を知ったが、2日後のクーデタも含め、泊りがけ遠足は支障なく終わった。差し迫った時期にのんびり旅行できたくらいだから、その後もチェンライに逼塞している限りは、軍事政権の影響はほとんど感じない。

ネットをつぶさに見れば軍政の問題点を理解できるのかもしれないが、情報のないチェンライに暮らす自分より、却って日本にいる人のほうがタイの政治に詳しいと思う。

■軍政支持率99%
昨年12月23日のNHK報道。
タイ国の軍主導の暫定政権は、世論調査の結果として、政権の仕事ぶりに満足と答えた人が99%に上ったと発表した。
それによると、政権の仕事ぶりに満足していると答えた人は99.3%、福祉や治安などの対応に満足という答えも90%以上に達したとしている。

これについて、地元の新聞は調査結果を一面で報じる一方、調査結果は全く信用できないとか、軍主導の政権を長く維持しようという動きではないかという批判の声を伝えている。また、ソーシャルメディアでも「北朝鮮で行われる調査結果に近い」などと厳しい批判の声が目立っている。
タイのプラユット暫定首相は23日、首相府で演説し「私は、民主主義ということばを拒んでいるわけではなく、選挙が必要ならばやる。メディアは世論をあおるようなことはやめてほしい」と述べたが、民政復帰の時期が大幅に遅れているだけに、タイ国内では軍主導の政権への不信感が強まっている。

99%の支持率は素晴らしい、と思うか、これじゃ北朝鮮よりひどいじゃん、と思うかは別として、タイに民主主義が根付くかどうか疑問を持つ向きは多いだろう。

■民主主義が機能するか
昨年、プラユット首相と会談した米国ラッセル国務次官補は早期の民政復帰を強く要求したが、首相は、総選挙だけが民主主義ではない、と反論した。確かにタイの民主主義は総選挙と多数党による議院内閣制が行われることではない。
先ず、都市部インテリは「一人一票」を認めない。学歴も低く、貧乏な北タイの農民と都市部のエリートたる自分が同じ一票では不公平、貧乏人や山岳民族など、土方か女中、運転手をやってればいい、エリートの払う税金を低所得者の医療福祉に使うなど言語同断、と本気で思っている。農民は総選挙と多数決こそ民主主義と譲らない。日本と同じ総選挙を実施すれば、間違いなく赤シャツのタクシン派が勝つ。選挙結果を認めない反タクシン派はデモで反撃、流血の惨事、事態収拾のため、また軍事クーデタ。タイの政治はこの繰り返し。

軍政は今年1月、民政移管の前提となる新憲法の草案を発表した。
先ず、下院(定数500)の選挙制度は、中小政党の乱立を招きやすい修正が加えられた。大政党による単独過半数獲得を難しくするとともに、軍関係者が政党を作って連立政権に加わりやすくすることを狙ったとの見方がある。さらに、公選と任命が半々だった上院(定数200)は、公選を廃止し、職業別団体による間接選挙となる。

また、旧憲法では首相は下院議員でなければならないとされていたが、草案はこうした要件を外した。議員でない軍出身者も首相になることができる。さらに、憲法裁判所が政治危機などの混乱に介入できるようにした。憲法裁判所はこれまでタクシン派に不利な判決を何回も出して、インラック氏ら計3人のタクシン派首相を失職に追い込んできた。

この憲法草案では、貧困層に支持基盤を持つタクシン派が政権を取ることはほぼ不可能。取ったにしても憲法裁判所で覆される。
憲法草案は国民投票にかけられ、早ければ2017年後半にも総選挙が実施されるが、草案が国民に支持される見込みは薄く、そうなると更に軍政が続く。

対立と流血の惨事を避けるためには軍政が民主主義に勝る政体ということになるのだろうか。




写真は団地、土曜日のタンブン。この日は遠くのお寺から小坊主が一杯来ました。