チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ5年2カ月

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介護ロングステイ5年2カ月

■山焼きの季節
研究員時代の出来事や国柄を考えているうちに3月も下旬となった。ここチェンライでは3カ月ほど雨が降っていない。今は山焼き、野焼きの真っ盛りである。山の下草や笹は枯れていて、よく燃えるだろう。山焼きが始まると煙害で視界が悪くなる。遠くがぼんやり霞んで鬱陶しい。大気中の浮遊微粒塵の割合を図るPM10という尺度があって、安全基準値が120となっている。この120を超える日でも、呼吸をやめるわけにもいかず、対策はせいぜいマスクをする程度。タイにも中国からPM2.5の汚れた空気が吹き寄せてくる。チェンライは大きな工場がないし、車も少ないから空気がきれいです、とはこの季節、とても言えない。

テニスコートには黒い燃え滓がちらちらと降ってくる。真新しいボールがすぐ薄汚れて、黒ずんでくる。でもまだ息ができればいいかもしれない。3、4年前であったが、コートのあちこちでプレー中の人たちが咳き込み始めた。と同時に自分ものどが急にいがらっぽくなって咳が出た。西部戦線ホスゲンガスの攻撃を受けたフランス兵もかくやと思わせる世界。

幸いこの毒ガスは一過性のもので、その場に倒れるほどではなかったが、これが自宅にいる母を襲ったら、と思うと言い知れぬ恐怖を感じたものだ。

乾季のチェンライは、ほとんど風が吹かない。風がないから山焼きの煙が滞留するわけだが、風がないせいで家の中に燃え滓や煤が侵入してくることはない。母は注射器から水を飲む時に咽ることはあるが、煙害のせいでゲホゲホすることはないようだ。でも88歳であるし、何が原因で気管支炎や肺炎にかかるとも限らない。雨季になれば降りすぎだよ、と思うのだが、今は早く雨が降って煙害が収まることを願うばかりだ。

■ニイさん休暇
今月は2週間ほど、女中のニイさんが休んだ。というのは、ニイさんの14歳になる息子が、眼病で失明の危機にあったからだ。川遊びをしているときに目の中に寄生虫が入って、片目、もしくは両眼が失明するという。それを知った時、ニイさんは泣いていた。医者に見せるにも先立つものがない。原則、給料の前借には応じない方針であったが、全盲になるかどうかの瀬戸際、と聞けば仕方がない。ブアさんもお金を貸し、我々も他にいくばくかのタンブンに応じた。

チェンライの病院では処置が受けられず、チェンマイの病院に行け、という。おそらくラオス国籍の貧乏人など診ても仕方ないということではなかったか。チェンマイの大病院に行ったニイさんから、あと2万B貸してもらえないか、手術をすれば目が見えるようになるかもしれないという電話があった。こちらの庶民は非常時の出費のために貯金をするという習慣はあまりない。どうしてもお金が必要になると高利の金を借りて首が回らなくなる。

眼球を取り出して水晶体を取り換えるという手術であったが、何とか成功した。片目は従来通り、もう一つの目も9割程度の視力回復が期待できるという。というわけで、女中さん2名体制に戻り、我々もほっとした次第。

ネットで調べると有鉤嚢虫とか広東住血線虫とかの寄生虫が目に入って失明するということは東南アジアではよくあるようだ。メコンの舟遊びで水飛沫をたっぷり顔に浴びている。目に異常を感じたらすぐ病院に駆け込もうと思っている。

■タンブン
ニイさんのいない間、家にビアンカロンの坊さんが3人来た。ビアンカロンはブアさんが長年修行していたお寺だ。坊さんたちは長いお経を唱えて母の健康長寿を祈ってくれた。自宅にわざわざ来てくれたのだから、応分のタンブンを出した。坊さんたちは我が家から車で5分ほどの距離にある個人の家に宿泊した。お坊さんにタンブンを捧げる善男善女の送迎、食事運びに駆り出された。我が団地には邦人が十数名いるが、タンブンや宗教行事へ積極的に参加するのは自分だけとのこと。町内では信仰の厚い感心な日本人ということで通っているらしい。

しかし、これは自分が信心深いからではなく、ブアさんの「ママさんに何かあった時は、ご町内の皆さんにお世話になるのだから」という半ば脅しに屈している面がある。それよりもタンブンはそれほど費用がかかるものではない、これで女中さんが明るく、気持ちよく働けるのであれば安いものだと思っている。

ともあれ、女中さんをめぐってはいろいろなことがあるのだが、母はそれを知ってか知らずか、毎日、よくご飯を食べ、穏やかに寝ている。母さえのんびり過ごしてくれていれば何も言うことはない。




昨、23日、雹を伴ったスコールがありました。これで乾季は終わり、ソンクランに向けて一年で一番暑い時期がやってきます。
写真は団地のタンブンと家に来てくれた坊さんです。