チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ9年3カ月

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介護ロングステイ9年3カ月

■長く続いている
メバーンのブアさんは10年目、ニイさんも母の世話を始めて5年目になる。タイの田舎でも所得向上、高学歴化が進んでいるので中々メバーンのなり手がない。ましてや介護中心ということになると更に希望者は少なくなる。そんな中でブアさん、ニイさんがずっと働き続けてくれて本当に感謝している。介護ロングステイなどと言っても実際の作業は二人にお願いしているのが実情だ。どちらか、あるいは2人が辞めてしまったら、親子3人の生活は行き詰まる。兄と自分でできないことはないと思うが、文字通り老々介護、日本と違って公的な援助は得られないからかなり厳しいと思う。テニスや旅行、外食も諦めなければならないだろう。

もしそうなったらそうなった時に考えればいいわけだが、今のところブアさん、ニイさんは辞める気配はない。ニイさんはラオスにお母さんがいて、ゆくゆくラオスに帰って農業をやると言っていた。ニイさんにはタイ人のフェーン(愛人)との間にナームちゃんという女の子がいる。初めて見た時は小学校の2年か3年だったがその頃から利発そうな子だった。やはり成績は抜群で昨年、チェンライで一流と言われている中高一貫校に合格した。娘にはちゃんとした教育を受けさせたい、とニイさんは言っている。そのためにはちゃんとした収入が必要、それで最近はラオスに帰る話はしなくなった。ニイさんの月給を毎年上げてきたので、他所のお宅のラオス人メバーンに比べて多少給料がいいようだ。タイではミャンマー人、ラオス人はタイ人よりも待遇が悪いのが普通、もちろん差別もある。ニイさんの持っているパスポートではチェンライ県の外には行けない。タイ政府が他国からの「出稼ぎ」を厳しく取り締まることになったら、ニイさんが働き続けることができるかどうかわからない。でもタイではどこかに抜け道があるから何とかなるだろう。

■ブアさんの将来計画
ニイさんは家族がいるから将来の心配はなさそうだが、ブアさんは独身、ママさんが亡くなったらどうするのか。うちで働く前はお寺の住職のお父さんの介護をやっていた。介護経験と同じくお寺での修行期間も長いから、いざとなったらお寺に戻ってそこで暮らす手もある。でもブアさんは住み込みで衣食住にほとんどお金がかからないことから、タンブンに励む一方で、100坪ほどの土地を購入し、土地を担保に銀行から借金して家を建てた。5年前のことであるからとっくに借金は返し終わっている。今、この土地付き一戸建てを売れば100万Bにはなると言っているが、実際に掛かった費用は50万B以下だろう。家の敷地にはマンゴーの木やバナナが生い茂り、菜っ葉やインゲン豆も生えている。彼女の家でとれた野菜や果物が食卓に上がることも珍しくはない。お寺時代の友人やお坊さんが何度か宿泊したことがあるが、夜中は母の世話があるのでまだブアさんはこの家に泊まったことはない。週に1、2回、庭仕事や家に風を入れに行く程度。

更にブアさんは姉さんから田んぼを1ライ(約1ヘクタール)5万Bで購入し、米を作ってもらっている。1ライの田からは大人1年分の量の米が収穫できるそうだ。また村に戻るたびに小学生の女の子3人にお菓子や小遣いをやっている。寺参りにも連れ出している。将来、3人のうちから1人選んで老後の面倒を見させる算段という。うまくいくかは別にして着々と将来計画を推進しているように思える。
ブアさんは現在45歳であるが、「ファランは不器量なタイ女性が好きだから、私にもチャンスがある」と外人のフェーンにおさまる希望も捨ててはいない。ミー・クワームスーク・ナ(幸せでいいね)、と冷やかすのであるが本人は至って真面目。実務家なのか夢想家なのかよくわからない。

■協力作業
二人とも表面上仲良くやっている。トイレや清拭、朝夕30分ほど長椅子に腰かけさせる時は二人で協力してやるが、基本的には昼はニイさん、夜はブアさんが分担して母の面倒を見ている。あまり顔を合わせないのがうまくいく理由か。

母が咳き込んだり、熱を出したりすることがある。そんなときはブアさん、ニイさんが相談して薬を飲ませるか、様子を見るかを決めている。この状態が続くなら入院させたほうがいいといった進言も二人揃ったところで行う。介護の一義的責任はメバーンにあると思っているようだ。ママさんの健康を祈ってタンブンをしているから100歳までは大丈夫、とブアさんは言う。そうなると介護ロングステイ18年か。すやすや眠っている母をみるとブアさんの予言は当たるかも、という気になってくる。