チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

待望の雨

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待望の雨

■煙害の季節終わる
1週間前の3月23日に待望の雨があった。ほぼ4カ月ぶり、雷を伴い、一晩で20-30mm降ったようだ。晴れが続けば雨を願い、長雨が続けば、スカッと晴れないかな、と人間勝手なものであるが、乾季の終りを告げるこの日の雨は嬉しかった。というのは3月に入って、北タイは煙害に悩まされていた。例年のこととは言え、山焼き、野焼きの煤塵が襲う。政府では罰金を科して野焼き、山焼きを禁止しているのだが、この定めが守られた試しはない。また、煙は国境を越えてミャンマーの山岳地帯からも流れてくる。チェンマイ空港では煙害により航空機の発着に影響が出た。

タイ政府では大気中の直径10μm以下の粒子状物質PM10の24時間基準値を測定している。1㎥当たり120μgを越えると健康に支障があるとされている。チェンライではPM10値が300を越える日が続いた。喉が痛み、咳が出る。風邪から肺炎、腎不全併発、は老人によくあるご臨終パターンであって、自分も危ない年代に差し掛かっている。
母は3月初めに風邪で入院したが1日だけで退院できた。しかし退院後もPM10値は健康基準をはるかに超える日があったので、また風邪をひくことがあっては、と心配していた。
テニスはわずかに残された楽しみの一つ、煙害に霞むコートに行くのだが、相手のタイ人やファランが来ない。考えてみれば健康を害する恐れのある環境で無理にテニスをする必要はない。

タイ政府も3,4機の消火ヘリを出動させ、15万枚のマスクを無料配布したが、根本的な解決にはならない。毎年の煙害にタイ政府がしっかりした対策を講じないのは、時期が来れば煙害問題は解決するとタカをくくっているからではないか。解決手段はズバリ「雨」。

23日の降雨により、母が風邪をひく心配が薄らいだ、それよりもどんよりしていた空気が澄んで、遠くの山並みが見え、心まで洗い流された気分。大きく深呼吸したくなる。庭の草木もいっぺんに元気を取り戻した。植物ばかりではなく、女中のブアさんも元気になり、緊急の場合、ニイさんも泊まり込むと約束してくれた、と言って女中3人態勢の話が沙汰やみになった。

■断酒9週間
1月の末にフォルツァでドイ・フア・メ―カムまでツーリングをした。1日の走行距離は約250キロ、平地走行であればそれほど問題はないのだが、カーブ、アップダウンのきつい山道走行、未舗装のでこぼこ道や陥没個所もある。4月にラオスツーリングの計画があり、ラオスの道路を想定しての訓練ツーリングであった。前をよく見て、スピードは控えめに。まずは無難にツーリングを終えた。問題は帰宅してからの晩酌である。通常、ビールまたはラオカオを少々たしなむのであるが、その日のラオカオのアルコール濃度が50%といつもより濃いことを忘れていた。今日は疲れているし、もうやめようかな、と思った時、炭酸水がまだ半分近く残っていることに気付いた。炭酸水に合わせて更に飲んだ。それからは記憶がない。

朝起きてみると左背中が紫色に変色していて痛い。ブアさんの話だと、酔っ払って階段を仰向けに転げ落ちたのだという。不覚である。年と共に酒に弱くなるとは言うが、記憶が無くなるということは尋常でない。自らを深く恥じて、打撲傷が癒えるまでは酒を断とうと決めた。チェンライに来て1,2日、飲まない日はあったが、ほぼ毎日飲み続けだった。それが、その日を境に一滴も酒を飲まない日が2カ月以上続いている。

■最長断酒記録の終焉?
18歳の時から、酒を飲み始めた。以来、約半世紀、酒が切れたことはない。社会人の時は仕事が終わると仲間と飲み屋に繰り出した。家でも飲んだ。9週間も飲まずにいられる今の自分から見ると、どうしてあの頃あんなに酒を欲していたのか不思議に思う。おそらく、諸々のストレスが酒に向かわせたのではないか。自分はアル中ではないか、という不安にかられ、定期健康診断の前、1週間はいつも酒を断った。そして健診が終わると安心して飲み始めた。

チェンライ空港近くのオランダ風の野外ビアホールに行った。兄はオランダの生ビール、運転手の自分は水。暮れなずむ空に雀の大群が飛んでいく。雨上がりに紫の山並みが映える、風は爽やか。数日前の煙害がウソのようだ。ジョッキを重ねる兄を見ていたら、何処からともなく「助さん、格さん、もういいでしょう」という声が聞こえた(ような)。

水を飲みながらソーセージやポテトフライを食べて何がウマいか。残り少ない人生、飲みたければ飲めばいい。雨は煤塵と共に、自分のつまらぬ痩せ我慢も洗い流してくれたようだ。




写真は煙害の時と降雨のあと、川べりのテニスコートからの写真