チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

首都封鎖その後

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首都封鎖その後 

■7万人のデモ
黄シャツ党による反政府デモは当初、100万人を動員し、首都機能をマヒさせると豪語していた。でも実際の動員数は警察の調べで7万人。友人夫婦もバンコクの空港からスムーズにチェンライへ到着した。それでも13日は首都7カ所の交差点が土嚢で封鎖され、日本人学校は休校、財務省労働省などの政府機関が閉鎖され、銀行も123店が臨時休業、交通量も人通りも少なかったという。

2月2日に総選挙が予定されているが、地方では立候補者が選管に登録できず、予定通り選挙が行われるか不明である。
与野党の歩み寄りは見られず、インラック首相が話し合いを呼び掛けても、野党は応じない。これからどうなるか、これは有名なタイ式解決法があるから、多分それに従う、ということになるのだろう。

虚構新聞
バンコクで発行されている邦人向けフリーペーパー「ダコ」に「虚構新聞バンコク版」というコラムがある。エイプリルフールの日、新聞にユーモアのあるウソ記事が載る。「ゴーン氏、日本に帰化」とか「ロンドン、ビッグ・ベンの鐘がデジタル化」とか他愛の無いものが多い。
この虚構新聞もそれに似たものだ。「招きシャム猫がタイで大ブーム」、「ワット・ポーの涅槃仏が寝返り」といった怪しい記事で笑わせてくれる。

ダコの1月5日版虚構新聞バンコク版「タイから飛び火 日本でも首相退陣を求める大規模デモ」より。

「安倍首相が議員食堂で漬物とご飯を頬張りながら発した『これこそ日本の味』という何げない一言が、国論を二分する事態に発展した。国会周辺に各種漬物市民団体、韓国からもキムチ派が応援に駆け付け、首相の退陣と解散総選挙を求めるデモ行進が連日行われている。首相支持派もカウンターデモを開始。国会前はタクアン派と反タクアン派が衝突、負傷者も出た。事態の収拾を図りたい安倍首相はテレビで美味しそうに梅干を食べる様子を放映したが、撮影終了後に顔をしかめて梅干を吐き出すシーンが間違って画面にでたため、反タクアン派の怒りが再燃。「もはや首相は国外に逃亡する以外にないのでは」との声が政府関係者の中からも上がっている」。

タクシン派をタクアン派と言い換えて、タイの政治情勢をパロっている。記事はタマサート大学政治学部の助教授のコメントで締めくくられているがこれが傑作。
「タイでもデモは日常茶飯事だが、最後は国王のご意向によって円満に解決する場合がほとんど。日本もタイを見習ったほうがよい」。

■バイトデモ
死傷者も出ているし、タイの政治混乱は笑いごとではないのだが、何度もありのタイ、自分としては脱力してしまうことがある。
日本の新聞は「デモ隊は都市の財閥に雇われた地方農民という説を流す人もいて、云々..]となにか奥歯に挟まったような書き方をしているが、バンコクのデモ隊はアルバイトというのがタイ人の常識だ。

ウチの女中さんも、近所の市場にバスが人を集めに来るという。バスに乗ってバンコクのデモに行くのだが1日500Bくれる、老人には700B出る、とのこと。自分も行きたいが老人で日本人だから1000Bくれないだろうか、と聞くと、真剣な顔で、危ないから行かないで下さい、という。

100万人デモ前日、12日に商用で中部ウタラディットに行った友人は日曜なのに人通りが少ないのにびっくりした。聞いて見ると、たくさんの人がバンコク封鎖デモのため1日500Bで雇われていったという。選挙になれば、もっとお金をくれるタクシン派に投票するとのこと。

黄シャツ党のデモが盛り上がれば、対抗上赤シャツ党もデモを行う。でも両軍とも主体はアルバイトの地方農民。きのう勤王、あしたは佐幕、その日その日のギャラ次第。信念、信条を持って活動しているわけではない。これだけは確かだ。

■格差
混乱の原因、タイの富裕層と貧困層の格差は、日本人にはなかなか理解しにくいのではないか。タイの金持ちは子供の時から運転手付きの車に乗り、外国で教育を受ける。タイ一般層とは生活、思考の接点はない。バスに乗ったり、屋台で食べることはない。政治家はほとんどが富裕層の出身だ。

新年の産経新聞に安倍首相とAKB48生みの親である秋元康氏の対談が載っていた。
子供の時、米国の家族ドラマをよく見た。子供が大型冷蔵庫から生ジュースの大瓶を出して自由に飲んでいた、実に羨ましいと思いました、と首相は述懐する。更に、安倍さんは、私なんか粉末ジュースで、それも1日1回と決められていた、と嬉しそうに言っている。自分も「渡辺のジュースの素」を思い出した。

庶民とは全く縁のない政治家と、粉末ジュースを喜んでいた政治家とどっちがいいのだろうか。同質社会も悪くないと思うのだが。

写真は今回のデモの様子。