チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイの政治混乱に思うこと

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タイの政治混乱に思うこと

バンコクのデモは日常化
昨年11月以来、タイでは反政府勢力によるデモが続いている。
反政府デモは反タクシン元首相派の野党民主党が主導し、民主党の地盤で、タイ国内で所得や教育水準が比較的高いバンコクと南部で起きている。

デモの目的はタクシン元首相の汚職利権構造の排除、タクシン派インラク政権の打倒、総選挙の阻止、反タクシン派主導の暫定政府「人民評議会」の設置や、民選の国民議会(下院)の廃止、選挙によらない「人民議会」の設置など。デモ隊はバンコクの主要交差点を占拠したり、政府庁舎を封鎖するなど、非合法、非民主的な手法、主張が目立つ。

インラック首相は連帯と和解、法の順守を呼びかけ、「政府は警察や治安当局に対し、国際的な慣行に基づく穏当な対応を指示した」とする声明を発表した。更に会期途中でありながら、譲歩して解散総選挙を提案したが、民主党は、野党が過半数を制することが難しいとみて選挙をボイコットしている。

野党による議会制民主主義の放棄である。どう見ても法と秩序を遵守せよというインラック首相の言い分が正しいと思うのだが、タイではそうではない。

■タイ式民主主義
与党政権を倒すための手段が、選挙ではなく街頭での「民衆によるクーデタ作戦」だ。タイは日本と同じく立憲制議会民主主義の国ではあるが、こういった野党の無法をバンコクの中、上流層、一流国立大学の教員の大半など、インテリ層が支持していることがタイの特徴だ。

 デモ隊側の法治、民主主義に対する意識は総じて低く、政治改革の具体的な内容や達成方法もあいまいなまま。選挙の阻止や非民主的な政権発足を掲げるデモに対し、欧米メディアの多くは批判的だ。タイの有名大学教授らデモの支持者はこうした報道に対し、「タイと外国は違う」「外国人はタイのことをわかっていない」などと反発している。

 こうした現象は、インテリ層の間でタイ王室への敬愛が強く、王室に敵対するとされるタクシン元首相の排除に一種の宗教的情熱が沸き上がっていることが原因とみられる。また、タイが植民地支配を免れた結果、前近代的な制度、意識が残り、タクシン派と反タクシン派の政争や、非理性的、非論理的な「インテリ層」を生む原因となったという見方も浮上している。(以上、タイニュースクリップから)

日本だって植民地支配を免れたけれど、そのせいで前近代的な制度、意識が残っているか。民度の差と言えばそれまでだが、タイ式民主主義とはこういうものだと開き直られれば、いくら他国が民主主義の原理と合致しないと非難しても始まらない。

■大衆とエリート
デモの参加者の多くは日当目当ての北部、東北部の農民という。都市のインテリは農民を見下しながら、彼らを利用している。
農村と都市の1票が同じということは不合理だ。農民の票は金次第で転ぶ、だから無知蒙昧な大衆に政権の帰趨を委ねるのは間違いだ、とタイのインテリ層は言う。こういった考えを一笑に付す日本人は少なくないだろう。でも自分はタイのインテリの気持ちがわからないではない。大衆とは金だけではなく、その時々の空気によってどうにでも動く。決して理性的なものではないからだ。

2009年9月、民主党でなければ国民の暮らしは良くならないと言って、国民の70%以上が鳩山政権を支持したではないか。今、原発即時廃止を訴えている小泉さん、細川さんも政権発足時、70%を越える国民の支持を得ていた。1995年に青島幸男都知事に当選させたのは誰だったか。横山ノック東国原英夫を知事に選んだのは誰だったか。
今、安倍首相を支持している保守と呼ばれる人達が、3年後に民主党に投票しても自分は決して不思議だとは思わない。

スペインの思想家、オルテガ・イ・ガセットは「大衆の反逆」の中で大衆が政治に参加するとロクなことにならないと述べている。彼の定義によれば、大衆とは、「ただ欲求のみを持っており、自分には権利だけあると考え、義務を持っているなどとは考えもしない」、つまり、「みずからに義務を課す高貴さを欠いた人間である」という。要するに大衆はバカだ、ということだ。

偉そうなことを言っているが、自分だって母に言われるままに美濃部亮吉に投票したし、世田谷に住んでいた時は民主党小宮山洋子さんに投票したこともある。小宮山さんが政治家としてあんなに無能だとは知らなかった。

自分も大衆の一員に間違いないが、一方ではガセットやタイのインテリが言うように大衆を排したエリートによる政治もありなのかな、とも感じている。


写真はバンコクのデモ隊の様子とオルテガ・イ・ガセット氏