チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

最後の授業

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最後の授業

自宅で、一人で仕事をして、うんと稼いで暮らせたらラクでいいな、と考える人がいるかもしれません。しかしながらこれは不可能です。なぜなら、人は「人と出会うことで成長する」ようにプログラムされているからです。

多くの人と出会い、刺激し合い、お互いの無いものを吸収しあうことで、成長していきます。更に言うなら「より対極にある人」に出会うほど人は成長します。異性や外国人、異業種、異文化の人に出うことなども人を成長させます。これは人類普遍の原理原則です。

一人で仕事をして儲けることもある程度は可能でしょう。しかしそれには限界があります。まず、一人でやることは楽しくない。カードゲームでもすごろくでも一人でやっても面白くない。みんなでやるから楽しいのです。ですからビジネスをやるときにもみんなを巻き込んで楽しくビジネスをやることを心がけてください。そうすることによって人は無限に成長していきます。

皆さんはこれからカレッジを卒業して、新しい人と出会うことになるでしょう。卒業は英語でコメンスメントと言って始まりという意味があります。卒業は決して終わりではなく新しいことの始まりなのです。新しい出発と新たな出会いを楽しんで、無限に成長していって欲しいと思います。
この一年、皆さんを教えて、本当に楽しいときを過ごすことができました。

私はウズベク語ができないからナフォサットに通訳をしてもらいました。ですからボリュームからいったらウズベクの先生の半分の量しか講義できなかったと思う。申し訳ないと思います。通常、日本語から英語など翻訳をしていくと内容の3割が失われるという。私の英語言い換えで3割減った内容をここにいるナフォサットがウズベク語に直すときに5割ほど補足してくれました。名通訳ナフォサットにここで感謝したいと思います。

皆さんはいつもポジティブでチアフルだった。いつも明るく前向きに、これを忘れなければあなたたちの将来は明るい。そしてきっとできる、できるはずだ、と決意を自分にい聞かせてください。がんばっていればいつか出来る。ああ、もうできないと自分が思ったとき、本当にできなくなるのです。人はどんな高いところでも登ることができる。しかし、それには決意と自信がなけばならぬ、とアンデルセンは言っている。

また、フランスの哲学者ヴォルテールはこのように言っています。
人生が自分に配ったカードは、ただ受け入れるしかない。しかし、手元に来たカードの使い方を決め、勝機をつかむのは自分自身である。

皆さんはウズベキスタンの、今の家庭に生まれた、それは変えようが無い。しかし、その後は皆さんの心がけ、やり方で変わっていくのです。私はまだカリモフ大統領に会ったことがないけれども、もし会ったら、彼はこういうでしょう。「孤児院で育ったけれども、そのお陰で頑張ることができた」と。

アップルの創立者スティーブ・ジョブズは、生まれてすぐ労働者階級の家に養子に出され、大学はドロップアウト、その上、アップル社からは放逐される、でも彼はいつもそのお陰でこういうことができたのだとポジティブに考えました。あなたたちも何が起こっても、そのお陰でこういうことができた、というジョブズの前向きな姿勢を忘れないでください。決して、XXのせいでできなかった、と愚痴らないように。残念ながら皆さんの卒業式には出られないけれど、皆さんの明るい将来を信じています。さようなら。

ティーチャー、サンキュー・フォー・ユア・ノーリッジなどとカタコトの英語で感謝の言葉を述べながら生徒が教室から出て行く。アディロバが席で泣いている。この授業が終わるのが悲しいのだそうだ。細かく肩を震わせる少女を見ているとちょっと切なくなる。

彼女は大使館の若手外交官Sさんに思いを寄せたことがあった。もちろん実らなかったけれど。生きている限り、人には様々な出会いと別れがある。出会いばかりではなく別れも人を成長させる。アディロバにも自分にも、お互いに更なる成長に向けて旅立つ別れのときが来たようだ。