チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

今年も、棉摘みツアー(3)

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今年もやります、棉摘みツアー その3

教えている3クラスの内、BI3とBI9の二クラスは秀才クラス、カレッジの中でも成績のいい生徒ばかりで構成されている。女子生徒が多く、それも美人が多い。男子生徒もお金持ち風が多く、海外にいましたとかいってやたら英語が上手い子がいる。英語ができる子はこちらと英語で話したがって大変具合が悪い。余りにも流暢なので何を言っているのかわからないことがあるのだ。もう少し分かりやすい英語で話すようにと言って変な顔をされた。とにかく秀才2クラスは明るくて活発で、生気に溢れている。

ところがMA2クラスは女子生徒が少なく、何となくクラスのムードが沈滞している。初めての授業の時、「このクラスのいいところを1つ上げて、それから隣にいる生徒の紹介をして下さい」と言ってアイスブレーキングをはかったのであるが、「このクラスのいいところはもう他の人が言ったことと同じです。隣のソディコフ君は親切でいい人です、終わり」といった調子。セリフがほとんど同じで面白みに欠ける。秀才クラスは「このクラスのいいところは団結心が強いことです。全員で授業をサボろうとすぐ相談がまとまります。隣のカミロフ君は先生がいなくなると静かになる人です」とか笑いを取るし、発言にバリエーションがある。最初の授業ですっかり打ち解けて、いいムードだ。いい意味で秀才クラスは自信に溢れている。

通訳のナフォサットに言わせるとMA2はこれまで先生方から「お前たちはできない、クズだ」と言われ続けているので自信がなくなっているのでしょうとのことだ。それはひどい、精神的にビール瓶で殴られ続けるようなものではないか。こちらの先生も苛めを「可愛がる」と誤解しているのではないか。

MA2 の生徒が最初に提出したレポートに8割以上「エクサレント」の印をつけて返した。あとは「グッド」。皆、「アッ、エクサレントだ」と目を輝かしている。これまでそういう経験がなかったらしい。授業で、起業には学歴は必要ない、というより、学校のテストで測れる人間の能力は記憶力、計算能力、応用力など限られた能力だけで、能力全体の15%くらいだ。苦しい時にもう一度頑張ろうと立ち上がる気力、困った人に手を差し伸べる、といったことは人間として重要な要素、能力だと思うが、それを測ることのできるテストは存在しない、そんな話をしたら、生徒の目が輝きだした。授業の終わる前にレポートを書かせるのであるが、室内を回るナフォサットに多くの生徒が書き方の質問をしている。少しやる気がわいてきたのか。

さて、棉摘みツアーの見積もりであるが、見積もりを出す前から秀才クラスは自信満々で当然自分たちがツアーにいけるものだと信じこんでいる様子だった。MA2は何となくノリが悪い。ナフォサットはこのクラスは見積もりを出さないと思います、などという。

あれだけ見積提出期限を月曜の12時としつこく言っておいたのに、BA3が見積をもってきたのは12時15分、MA2は12時30分、BA9は持ってくるのを忘れたとのことで翌日の13時頃だった。
価格はMA2が他のクラスより2,3割安かった。昼食価格もプロフの材料の数量、金額を積算して見積もっている。バス価格は後で知ったが、クラスのアディロバの家の隣に住んでいるのおじさんが小さいバス会社をやっていて特別価格を交渉したらしい。ということでサクサクと選定理由書、見積価格比較表を作って研究室のドアに貼り付ける。
MA2は丁度、授業があったので、そこで君たちがウィナーだ、おめでとうと発表する。いっせいに拍手と歓声が沸きあがる。まさか、MA2がBI2やBI9の秀才クラスに勝てるとは思ってもいなかったようだ。

このツアーは日本人30名が参加する国際企画だ。君たちはバンク・カレッジの代表であるばかりでなく、タシケントの、いやウズベキスタンの代表でもある、などとアジ演説をぶつ。我ながらよくない性格だと思う。これはザイニディン学長も絡んでいるから、棉畑の場所、スケジュールなどよく学長と相談するように、また級長任せにするのではなく、クラス全員で協力してやるように、まあ、とにかくみんなで楽しく一日を過ごそうじゃないか、などと話を盛り上げる。

MA2って、こんなに快活な少年少女たちの集まりであったのかと思うくらい、クラス全員嬉しそうに自分の話に聞き入っている。その中で、見積もりを持ってきた級長のラティポバだけが、一人ニコリともせず、緊張した面持ちであったことが印象に残った。 

(画像は昨年のツアー)