チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

授業開始狂躁曲(2)

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授業開始狂躁曲 その2

時間割のことがよくわからんとお叱りを受けた。朝8時に1時限が始まり、18時10分に7時限目が終わる。すべて80分授業だ。基本的に1,2年生は午前中の授業、3年生は4時限以降の午後授業になっている。生徒数に比べて教室の数が少ないので実質的な2部授業となっている。カレッジは授業料無料である。仕事もないティーンエージャーをほっぽらかしておくとロクなことにはならないというので、とにかく学校に入れてしまう。ある地方に医療カレッジが2校あったのだが1校増設され3校になった。教育機材は既設の2校から3分の1ずつ分けてもらったという。教育の質よりも量を重んじている。学齢人口は増えるばかりなのだから仕方がない。バンクカレッジも年々定員を増やしている。

去年は授業で手一杯で、個々の生徒をよく観察する機会がなかった。そこで今年はまず出席を自分でとることにした。生徒名簿のプリントを事務室に貰いにいくがそういうものはない。厚い名簿を借りてきて、それを先生が自分のノートに写し取るのだという。いくらウズの学校だってパソコンはある。生徒名簿くらいパソコンからプリントアウトしてくれても良さそうなものだが他の先生も手書きですという。

ナフォサットが研究室で手書きの名簿を作りかけていたのでパソコンに入力させた。そして名前をカタカナで入力しプリントアウトした。これで安心と思ったらそうでもないことがあとで分かる。

最初の授業では、ベンチャーとは相手の心を読んで製品サービスを売るということに尽きる、相手の心を読むということについては恋愛と全く同じ、だから自分の講義をまじめに聞くとガールフレンドやボーイフレンドが1ダースくらい持てるようになる、などとかなりいい加減な話をした。そして生徒一人一人からこのクラスのいいと思うところを1つ挙げてもらい、隣の席の人を紹介(他己紹介)してもらった。これで教室内の緊張がほぐれ、もしかするとこの授業は面白いかも、と生徒に期待を持たせることができたようだった。

授業は3クラスそれぞれ週3時間である。2回目の授業から名前を読み上げて出席を取る。
ダミノバ、ケンジャイェバ、クシャコバ、ラヒモバとか「バ」で終わるのが女子、ブラノフ、イルヤソフ、カリモフとか「フ」で終わるのが男子である。すべて姓ではなく名で呼ぶのが普通。日本であったら「花子、和子、恵子、鶴太郎、平次郎、亀三郎・・」といった感じだろうか。こちらの発音がおかしいのか名前を読み上げると生徒が笑う。名前を呼ばれた生徒は立ち上がって返事をする。そのとき時間が少しかかるわけだが生徒の目を見てにっこりする。そして名簿に素早く、ビ、アジ、チ、ノ、デとか書き入れる。ビは美人(その後◎,○の区別をつけた)、アジはアジア系の顔立ち、というものだ。チ、ノ、デは差別語になるから書けない。遊びでやっているわけではなく生徒の名前を早く覚えようという健気な努力の表れであるから余り非難しないで下さい。

ところが名前を読み上げると級長(優秀な女子が多い)が「その人はもういません」などという。2年生まではいたが成績不良で退学、あるいは自分から学校を辞めた、あるいは去年2年終了時に1年の停学を食らった、とかの理由でもう学校には来ないのだという。全員読み上げたと思ったら「僕、まだ呼ばれていません」という生徒もいる。1年の停学期間が終了して今日からこのクラスです、とか言う。こういったクラス名簿の変更が度々あり、最大限一クラス6名の出入りが起こった。事務室でこういった変更を予め確認して原簿を渡して欲しいものだ。

更に授業をやっていると突然、学部長が教室に入ってくる。去年もそうだったが、学期初めの授業査察みたいなものだ。学部長が入ってくると生徒は緊張の面持ちで一斉に起立し、胸に手を当てて「サラマレコン」と挨拶をする。せっかく授業が佳境に入るところを中断されてと少々憮然とする。生徒に向かって何か高圧的にまくし立てる。ナフォサットに聞いてみると「まじめに出席してこの外人教師にご迷惑をかけないように」といったことを訓示しているらしい。貴方の闖入がよっぽど迷惑です、と言いたいところだがこれもウズの親切と思ってあきらめる。

今日も教室に学部長が男子生徒を二人連れて闖入してきた。今日からこのクラスに入ることになったという。双子の男子生徒だ。ウズベクでは双子の名前は100%分かる。ハッサンとフサン、そう名づけることに決まっているからだ。理由はともあれ生徒は増えたのはいいがまた名簿を修正しなければならない。何時になったら生徒の出入りが止まるのだろうか。