チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ウズベキスタン高校生気質

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ウズベキスタン高校生気質

先日、2年のシニアボランティアの任期を終えて帰国するSさんの歓送会があった。
60代の小柄で穏やかな女性だ。タシケント国立東洋学大学付属高校で日本語教育に携わっていた。付属高校は2校ある。付属高校では日本語をはじめとして、朝鮮語、中国語、トルコ語など7カ国のアジア系言語を教えている。一番の人気はやはり日本語、常に3,4倍の狭き門とか。1校に3,4人のウズベク日本語教師がいるのだが、その先生たちの指導、助言を行いながら、2校掛け持ちで80分授業を週17コマもこなしてきたという。

現地の先生の月給は30ドルととても安い。
授業のコマ数を増やせば多少、給料が上がるがそれでも50ドルくらいだ。日本人観光客のガイドをすれば100ドルにはなるので、観光シーズンになると先生は学校には来なくなる。先生が来ないというので連絡を取ってみると、「今、サマルカンドで、ガイドをしているので学校には行けません。」と悪びれず言うそうだ。生徒も学校に来ても先生がいないことがある。逆にSさんが学校に行ってみると、何とかの記念日やら掃除の日(と言うのがあるらしい)で授業はなしということが、その日にわかる。卒業式や試験の日取りも当日行ってみないとわからない。いったい教務主任は何をしているのだー、と普通は切れるところである。しかし、人格円満のSさんはどんなことがあっても決して笑みを絶やさない。

Sさんは生徒がかわいくて仕方がなく、また生徒もSさんを慕っていたようだ。
「教科書にライスカレーとかてんぷらと言う食物が出てきますが、レシピを教えてください。」と聞かれた。そこで彼女は毎週末に10人前後ずつ生徒を家に呼んで、延べ200食以上のライスカレーやてんぷらを振舞った。ウズベクの女子高校生は食事が終わると一斉に洗い物、片づけを始め、彼女たちが来たより台所がきれいになってしまうのにはSさんも感心したという。また、なぜ日本の女性は着物をあまり着ないのですか、と聞かれ、浴衣ではない正式な着物を着せ、帯を締めてあげて「結構苦しいものでしょう」という体験もさせた。

Sさんは日本の高校で英語教師をしていた。その体験からウズベクと日本の高校生の気質の違いを以下のように説明してくれた。

ウズベクの生徒は教師のために生徒がドアを開けてくれる、毎日、校門で生徒が待っていてかばんを教室まで持ってくれる、これは雨の日も雪の日も変わることはなかった。黒板を進んで拭いてくれる、授業中、活発に意見を言う、授業中寝ない、電車では99%の生徒が年寄りに席を譲るといったところ。この逆が日本の高校生と言っていいようだ。コーランの影響か、先生は父親よりも偉いというふうに教えられているらしい。一度、私語が多いので叱ったところ、その子の親が校長に呼び出され、厳重に注意されたと後で聞いたとか。ただし、ウズベクの高校生はテストをするとカンニングする、論理的思考が出来ない生徒が多い、%を出すような簡単な計算ができない、授業中あるいは弁論大会などで私語が多いといった日本の高校生より悪い点もある。

ウズベクで教師経験のある人の話や本を見聞きすると、学生がカンニングをするのが当たり前という現実に皆、怒ったり、落胆している。ODAウズベクから早稲田大学のアジア太平洋センター(大学院)に留学生が数名派遣されている。大学で試験をしたら早速ウズベク人だけ集まってカンニングを始めたそうだ。それもウズベク語で傍若無人にわあわあやっていたので、試験監督の職員が怒り狂って大変だった、などと早稲田大学の先生が言うのを聞いて、「そりゃ、先生、怒るほうがまずいですよ、カンニングウズベクの文化なんですから。」などといったことがある。社会主義国ではカンニングを防ぐために、テストは口頭試問が普通と聞く。手間はかかるがこれなら確実である。
ただし、これはウズベク語が相当堪能でないとこちらの日本人教師には無理である。

それでもSさんは2年のSV派遣期間中、八面六臂の活躍をし、へとへとになるまで働きながらも、ここ3ヶ月、「帰りたくない症候群」に罹っていたという。彼女が担当したクラスは確実に日本語能力が向上し、日本語能力試験の合格率も高まった。今、ウズベクにいるSVの方やJICAの関係者も何かとSさんのお世話になり、SさんこそSVの鑑と尊敬していたようだ。日本に戻り、また高校で英語を教えるというSさんのますますのご健勝、ご活躍を祈ってやまない。

タシケントにて
中西英樹

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