棉摘みツアーコンペ
製品を販売するにあたってどう企業が市場に向き合うか、という経営学の基本、マーケットコンセプトについて話をした。
まず第一が「生産指向マーケティング」。需要にあわせて生産、販売を行う。製品の数量だけあればいいという考えでソ連時代の生活物資の供給はこれに当たる。
二番目が「製品指向マーケティング」。これは高品質、低価格、安全性など製品の魅力度を上げることにより、市場を取ろうというもの。
三番目が「販売指向マーケティング」、製品の良さを知らせる強力な宣伝、プロモーション活動で市場確保を狙うものである。
四番目が「顧客指向マーケティング」、顧客のニーズ、嗜好を調査し、顧客が、これが欲しかったという製品を開発、販売するものである。1から3までが企業から顧客への一方的な情報、製品の流れで、どちらかといえば企業の都合、思い込みでマーケティングが行われるのに対して、顧客指向マーケティングでは企業と顧客の間に双方向の流れがあり、市場、製品を両者の共同作業で作り上げていくという違いがある。
更に五番目として「社会指向マーケティング」というものがある。ハイブリッドカー、リサイクル可能電化製品など環境、社会に配慮し、公共的観点でマーケティングをしていくというものだ。もちろん、先進国で顧客指向、社会指向のマーケティングが主流である。
こういった説明のあと、先日、ザイニディン学長と棉摘みに行った話をした。その話を聞いた日本人で自分も棉摘みを体験したいという人が何人もいた。こちらの人にとっては日常的な何の変哲もないことでも外国人にとっては得がたい経験になることがある、と生徒に話す。ここで口調を改め、「ニッチではあるが、ここにマーケットとニーズがある。それは日本人に棉摘み体験をしてもらうというツアーである」。
ビジネスは相手がお金を持っていないと成り立たない。政府や地方公共団体から補助金をもらうためには膨大な申請書類を書かなければならない。この申請書作成、手続き代講業務のビジネスを考えた人がいた。ニーズはあり、仕事も忙しかったが、いかんせん顧客が補助金をもらうような貧乏団体ばかりでお金の回収ができず、ビジネスとしては成り立たなかった。
しかし、ウ国にいる日本人は楽しいツアーに払うくらいのお金は持っているだろう。ビジネスはお金を持っている人を相手にしてこそ成り立つ
「どうかな、日本人と行く綿摘みツアーを企画してみないかな?」
見積り、スケジュール、単なる棉摘みでなく何か喜んでもらえるアイデア、例えば、綿摘み競争、収穫センター見学、棉摘みセットのお土産などを考えてこのクラス、オリジナルのツアープランを考えることができるか、と聞いてみた。見積りの説明の中で間接費(儲け)の話を入れたせいだろうか、クラス中が騒然として、口々にやります、やりますの大合唱だ。皆、興奮して授業にならない。私、バス会社に知り合いがいる、俺の兄弟がXXの棉畑にいるからすぐ聞いてみる、先生、みんなで相談するので、今日はこれで授業を打ち切ってもらえませんか、などという生徒まで現れる。わいわいやっている割にはちゃんと仕切り屋の生徒が出てきて、ちょっと静かに、まず日にちはxx日だから、などと始めている。
そこで少し静かになったなと思ったら、先生、日曜は都合がよくないから火曜にしましょう、などと言いだす。今、説明したように顧客の要望が第一なんだ、自分の都合で市場を取ろうとすると失敗するよ、と多少脱力しながらも再度、マーケットコンセプトのおさらいをする。君たち、これで大もうけしようと思ってはいけない。クラス対抗だから、見積りが高ければ当然採用されない。クラス対抗と聞いて生徒のボルテージは一段と上がる。通常、カスタマーは商品・サービスに満足すればリピーターになってくれる。リピーターがさらに満足すればサポーターとなって他のカスタマーを紹介してくれるようになる。君たち、ウズベクのホスピタリティで日本人を一挙にウ国のサポーターにすることができるぞ、などとたきつける。
どうしてこんなにのってしまうんだろうかと思うくらい、生徒一同大興奮の渦になり、どのクラスも30分ほど早く授業を切り上げざるを得なかった。
どんなプランが出てくるのか、心配でもあり、楽しみでもある。
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