チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライの上下水道

マンゴーの花

シャワー室排水管

キッチン排水管

我が家のバナナ

同上

これはブアさんちのバナナ

 

チェンライの上下水道

■下水処理

昨年の4月末に引っ越したので、新居に住んで10カ月経ったことになる。トイレ・シャワー付きの部屋2つにリビング、キッチンのそれ程大きな家ではないので、建築に要した期間は4か月足らずだった。始めブルドーザーで穴を掘って、基礎となるコンクリートを流し込んだ。ついでに大きな穴を掘って浄化槽を埋め込んだ。タイで家を建てる場合、建築資材は基本的に施主の支給となる。建築業者は支給された部材や水回り用品、屋根、床材をはめ込んでいくだけ。浄化槽は多彩な支給品購入作業の嚆矢というべきものだった。

チェンライ郊外には建築資材、タイルなど家の建築、増改築に必要な品を売っている店がいくつもある。そういった店の敷地内には背丈ほどの大きな球形あるいは円筒形のプラスチック成型品が積み重なっている一角がある。これが浄化槽だ。

チェンライには下水道設備はない。市内でも汚水は近くの川に流れていく仕組みだ。アセアンのマーケティング情報サイト、アセアン・ジャパンによると、タイ王国では下水道の普及率は極めてひくい。上水道の普及率、81.9% に比べ、下水道の普及率は僅か9.6%(2010年度のMWA数字データ)だ。(因みに日本の下水道普及率は80.6%)それでも首都バンコクは2010年度の下水道普及率は60%弱となっているが地方都市はまだまだ。

チェンライはもちろんチェンマイでも生活排水が流れ込むいわゆるドブ川があちこちに流れている。どうせ雨季になればドーッと汚水はメコンチャオプラヤーに流れていくと達観しているのだろう。確かに雨季には小汚かったドブ川に滔々と水が流れていく。その濁流に乗って魚が飛び跳ねる。さすが「水に魚あり 田には米あり」の国ではある。

 

■浄化槽

下水処理施設も下水道もないから、チェンライでは市内から山岳民族の山の中までどこの家にも浄化槽が設置されている。この浄化槽は世界に誇る日本の発明品という。浄化槽はいくつかの層に分かれていて汚水を好気性、嫌気性微生物を利用して浄化する。現在、より簡易な構造の嫌気性処理のみで汚水を浄化する単独浄化槽が世界の主流となっている。日本では2001年から単独浄化槽の新規設置は禁止されている。

我が家の浄化槽にはトイレからの排水のみが流れ込む仕組みだから、世界主流の単独浄化槽だ。入った量だけ出ていき、出てきた水は土中に染み込んでいく。出てくる水は汚いんじゃないの?匂わないの?と心配される向きもあるかもしれないが、浄化作用は下水処理工場と変わりないというし、庭土が湿っていることもない。浄化槽を埋設してある付近に生えているバナナは育ちがいいような気がするがこれは気のせいだろう。

シャワー室や台所、洗濯機からの排水はどうなのかというと家の外に塩ビ配管が伸びていて、そこから庭の溝に流れていく。溝に一瞬溜まるがそのまま土に染み込んでいく。敷地外に水が流れていくことはない。時折、お勝手からソーメンの切れはしや野菜屑などが配管を通して溝に溜まることがあるが、自分が寝ているときに野鳥が飛んできてめぼしいものを啄んでいく。従ってここも水気や臭いはない。逆に散水の必要がないと思っているのか溝にブアさんが里芋系の観葉植物を植えている。

 

■水道とゴミ捨て

タイの上水道普及率は80%を越えているが、タイ人でも水道の水を飲む人は稀だろう。各戸にポリ瓶入りの水を配達する水屋さんが走り回っているし、食堂でも配達された水が供される。タイの生水は一切口にしないという邦人もいるが、自分は料理や珈琲、紅茶には水道水を使用している。但し、水道水は時折断水するし、水圧が一定ではない。チョロチョロとなるとストレスが嵩じる。そこで我が家では2立米ほどの貯水タンクとモータを設置している。停電、断水が同時に起こらない限り、水の心配はない。

ゴミの収集は週1回である。収集に合わせて部屋のゴミをブアさんが片付けに来るので、東京にいた時のようにゴミの分別、収集日時の確認などの煩わしさからは解放されている。缶、瓶、プラ類は回収業者が引き取ってくれる。魚、鶏骨はブアさんが野良猫にやっている。出入りの猫がバイクのシートにマーキングをしたことがあり猫を敵視していたが、庭に侵入してくる蛇を猫が取っていることを最近知った。庭にはガマ蛙がいるから蛇もいる。こちらの蛇は無毒とは限らない。魚の骨くらいで蛇退治をしてくれるなら感謝すべきかもしれない。なお野菜や果物の生ゴミは木の根元に撒いておくと野鳥が食べに来てあとは肥料となる。案外、日本にいた時よりもエコな生活をしているかもしれない。