チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

初めての宿泊者

家の正面

側面、バナナを植えただけ

台所の排水

シャワー室の排水

玄関の鉄格子

部屋の鉄格子




初めての宿泊者

■息子がやってきた

5月中旬に息子が日本からやってきた。これまでに数回チェンライに来ているが、新しい家は初めて、シャワートイレ付個室に彼も満足したようだった。天井が高いね、という。確かにタイの家は天井が高い。それは暑さを考慮したもので、窓も小さい。体温より気温の方が高くなるから、なるべく家の中の低温を逃がさない、外気温や日射熱の侵入を防ぐために高天井、小窓になったのだろう。

ソファや本棚などの家具はまだ購入していない。また白いだけの壁は殺風景である。友人宅には壁にさりげなく絵が飾られていたり、棚の上に古色蒼然とした仏頭が置いてあったりと住む人の美的センスが感じられる。自分も何か額縁の絵と気の利いた木彫りを置いて部屋にアクセントをつけたいと思っている。でも元来、美的センスに乏しいし、どうしてもなくては暮らせないというものでもないので、引っ越し荷物がまあ片付きました、という状態で室内は推移している。

一人で暮らしていると、外に出ることが億劫になって、自炊が多くなる。自炊と言っても昼食にラーメンとか日本蕎麦をゆでる程度。こちらには中華の細麺、太麺が揃っている。ネギ、卵、豚肉、他にスープに入れる野菜があれば言うことはない。豚肉は胡椒と大量の塩をかけて冷蔵庫に保存してある塩豚だ。蕎麦はオーストラリアから輸入した蕎麦粉を原料にした乾麺である。製造販売の工場がチェンマイにある。日本食材専門店には日本の乾麺も売っているが、日本産よりチェンマイ産の蕎麦の方が美味しいと思う。

息子が年休を貯めてやっとチェンライに来てくれたのにラーメンや蕎麦では可哀そうという気もあって、カオマンガイ、カオソイ、クイッティオなどタイ飯店に案内する。彼も前より高くなった、あそこの店の方が美味しい、などとチェンライ・タイ飯評論を述べる。日頃、日本語を聞く機会がない。だから相手の言うことがほぼ100%理解でき、またこちらの発言を理解してもらえるとそれだけで気分が良くなる。お父さん、人間が丸くなったね。まあ始めだけ、慣れたら小言の一つも言うよ。

■排水問題

日本の下水道普及率は約80%だが東京など都市圏は100%近い。タイの下水道普及率はまだ20%。チェンライ、下水道で検索すると何も出てこないから、チェンライにはまだ下水道が普及していないようだ。我が家の排水はどうなるのかと思っていたが、小さな気球ほどの大きさの丸いプラスチック製品をブアさんと一緒に買いに行った。これは浄化槽だ。かさばって展示に場所を取るので通常、建材店の店外に山積みになっている。庭に深い穴を掘ってこの球体を埋めた。トイレから出る水は浄化槽に入る。浄化槽には嫌気性微生物が住み着いて固形物を分解浄化する。浄化された上澄み液は地中に吸い込まれる仕組み。浄化槽はほぼ全世帯に普及している。

浄化槽は日本の発明品ということを初めて知った。東南アジアは気温が高いので微生物が活躍しやすいより効率的な浄化槽が開発されているとか。

洗濯機、台所、シャワー室の排水も浄化槽に導かれるのかと思っていたが、トイレ以外の排水は庭に掘った穴にそのまま流れる。穴と言っても直径30センチ、深さ20センチほどの穴であるが溢れているところを見たことがないから、敷地内で排水処理が完結する。排水管の内径は7,8センチあるし、曲がり角も少ないので詰まる心配はなさそうだ。

■静かな環境

天井が高く、窓が小さいと書いたが、窓は小さいうえに内側から鉄格子が入っている。鉄格子は要らないんじゃない、とブアさんに言ったが、なければ泥棒に入られると押し切られてしまった。窓に頑丈な鉄格子が入っていると刑務所の独房という感じがしないでもない。火事になったら窓や玄関の鉄格子が邪魔になって脱出できずに焼死するか、と危ぶんだが、床はタイルだし、壁はブロックだから燃えるものがない。火事より泥棒の方を心配すべき、ということか。

敷地の周囲は刑務所ほどではないが鉄板でできた塀に囲まれ、スライド式の門は通常、鍵がかかっている。通りを隔てた前の家は犬がいる。子犬が数匹生まれたが、そのまま飼っている。犬は道に寝そべったり、家の前を闊歩している。門扉を開けたままにしておくと喜んで敷地内に入ってくるから、犬除けのためにも門扉はいつも閉じている。放し飼いでストレスがないのか啼くこともなく穏やかな犬ばかりだ。旧宅に比べ人通りが少ない分、静かな環境となっている。息子も休暇が取れたら来年もよろしく、と言って帰っていった。