チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

家を建てた(3)

僧侶入場

家の4隅に穴を掘って小石を埋める儀式

部屋に戻ってお経

唱和役のおじさんと補佐役のぶあさん、正座は勘弁してもらった

お布施を渡す

部屋の外でお経に唱和


家を建てた(3)

■工期は3カ月

兄が日本の家を建て替えた時期と自分がチェンライに家を建てた時期は重なるが、やはり日本のほうが工期は掛かる。家の取り壊しから数えると日本の方は完工までに6カ月以上かかった。チェンライの家は実質3カ月で出来上がったから工期は半分くらいである。

タイでは個人が家を建てることは稀ではない。別に建築申請等の手続きは要らないみたいだ。農民が田んぼの中に自分の家を建てることがある。農地法はないのだろう。セメントや建材を自分で買ってきて工事をする。電気、水道の工事も自分でやる。村人の協力を仰ぐこともあるのだろうが、なんとか住める家を自分で建てるはタイ庶民なら普通のことのように思える。

工期が短い理由としては、ブロックを積み上げるだけで壁を作るから、と思う。壁の鉄筋の量は日本のブロック塀より少ない。ブロックの最上部とコンクリート支柱を配筋施工していたからこれで強度を持たせるらしい。ともあれ、機械的に積み上げて壁は数日で出来上がった。壁ができたたら化粧用コンクリートを塗って、乾いたらペンキ塗りだ。同時に種や天井も出来上がる。その間に電気屋さんが来て何処にコンセントをいくつつけるか、テレビ、クーラーの位置などを聞いて配線工事をする。

電気会社に行って家に電線を引き込む必要がある。水道もそうであるが半ば公的な機関との交渉は自分では何もできず、みなブアさんにやってもらった。自分は彼女の運転手を務めただけ。建築、電気、配管の知識はゼロの自分は完全な無能力者、タイの人々の助けなしには何もできなかった。

 

■ロンブー村後援

日本で家を新築するとなると資金対策はもちろん、建築会社といろいろ打ち合わせがあり、また監督官庁、電力、ガス会社への届け出、申請など大変だと思う。チェンライで家を建てた、と書いたら友人各位から、素晴らしい、年を取っても前向き、根拠地ができれば落ちつくよ、着々とゴールをイメージした準備を進めている、といった感想を貰ったが、自分としては別に凄いことでも、思い切ってやったという感じもない。ブアさん始めロンブー村の皆さんのお陰です、という気持ちだ。支給品購入で忙しかったなどとぼやいているが、カーテン、タイル、ドア、ドアノブ、その他もろもろ、施主の支給品はブアさんが選んでくれたようなもので、自分は運転手として建材店に同行したに過ぎない。

100坪ほどの狭い土地であるが、土地の売買には売り主がブアさんの家に来て、現金と引き換えに土地譲渡証書を呉れた。当事者ばかりでなくブアさんの村から来たブアさんのお姉さん、友人が契約書に添え書きサインをしていた。工事業者は2ヵ所から見積もりを取ったが、お姉さんの強力な推薦でブアさんの村の大工さんに決まった。

 

■バーンマイ

4月半ばに家も敷地を囲む塀も門扉も出来上がっていたが、「バーンマイ」という家開きの儀式はお坊さんの都合に合わせ4月29日に決まっていた。引っ越しはその儀式が済んでからという。団地から新宅まで2キロ足らず、本格的な引っ越しの前に少し身の回りの品など運び込んでおこうと書籍を持ち込んだら、ブアさんからバーンマイ前に荷物を運びこむとは何事か、と烈火のごとく怒られた。バーンマイにはロンブーからお坊さんが5人来て、参会者も村から20人は来るとのこと。参会者、お坊さんには食事が振舞われる。

結婚式、葬式、バーンマイのタイにおける3大儀式の共通点は関係者並びに関係者でなくても多くの人に酒食が無料で供されるということである。我がバーンマイでもかなり豪華なタイ料理が用意されたが、これはお姉さん始め、ロンブー村婦人部の共同炊飯によるものだった。自分は言われるままにビールを6ダース用意しただけ。これだけのビール、冷やすのはどうするのだろうと心配していたが、何処からか大型保管箱が来てその中にビールが氷漬けになっていた。

29日の10時過ぎに坊さん5人が現れた。坊さんは家の4隅に穴を掘り、用意してきた白い石を埋めながら5分ほどのお経を唱えた。そのあと仏像を備えた部屋でお経が始まる。その間、自分は手を合わせ、頭を下げている。お坊さんの他に世話役のおじさんがいて坊さんと掛け合いでお経を唱える。時には参会者全員が唱和する。唱和することで徳(タンブン)が受けられる。

自分は、坊さんに封筒を渡したり、繻子から撒かれる水滴を受けたり、と言われるままに施主の役目をこなした。タイで暮らす以上、タイの風習に馴染んで、地元の人と仲良くやっていかなければならない。頭がびしょ濡れになるくらいは我慢しなければ。