チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

曲り角に来た

チェンライの花祭りから

同上

チューリップ

ラベンダーか

写生をする人

必ずポーズをとる

 

曲り角に来た

中国経済終了

日課のテニスから帰宅してシャワーを浴びると10時近くになる。6ゲーム先取のダブルスの試合を普通は2つ、3人しかいないのでもうひと試合と頼まれれば3つやる。真面目に3試合走り回ると疲れが出てそのままベッドにひっくり返って休むこともある。寄る年並だ、無理はするまい、いや、まだ体が動くうちがハナ、もう暫くしたら足も動かなくなる、などと取りとめもないことを考える。そしてやおら身を起こし、PCに向かう。時事問題解説のユーチューブを視聴する。中国経済がガタガタだ、という声が大きくなっている。

いわゆる「ゼロ・コロナ政策」解禁されて、中国経済は2023年に急速に回復し、世界成長の原動力としての役割を再び果たすと予想されていた。2003年の経済成長率は目標の5.2%を達成したと喧伝しているが、まともな経済学者でこの数字を信じている人はいない。3月5日に開幕した全人代全国人民代表大会)で、李強首相は、2024年の経済成長率の目標を5%前後にすると表明した。しかし、GDPの3分の1を占める不動産市場は不動産開発大手、中国恒大集団の破綻、碧桂園(カントリー・ガーデン)の債務不履行懸念等で冷え込んでいる。不動産バブルの崩壊だ。投資目的のマンションは値下がりどころか建設中止で支払った金はパアという事態も生じている。

経済不振は海外旅行に出かける中国人の激減にも表れている。2019年にタイを訪れた中国人観光客は約1千万人、それが2023年には約350万人と約3分の1に減っている。訪日中国人観光客も2019年の約960万人から2023年は262万人と約4分の1だ。

 

■でたらめの数字

GDPの伸びと国の輸入額の伸びは相関関係があるが、2023年の中国の貿易輸入額は前年比10%減という。相手国があるから貿易額は正確だ。だから中国のGDPはマイナスだという話も納得できる。また2023年の中国の失業率は5.2%となっているが、7月に発表を停止した若者の失業率が20%前後だったことを考えてもこの数字は怪しい。因みに日本の2023年の失業率は2.45%となっている。

欧米へ留学した中国人の帰国が相次いでいるという。大金持ちはともかく、不動産で潤った小金持ちの子弟は、親の経済苦境のため学費、生活費は払えなくなっている。米国は中国人留学生へのビザを厳格化しているのでその影響もあるかもしれない。

中国は「中所得国の罠」に陥ったといエコノミストは少なくない。中所得国の罠とは多くの途上国が経済発展により一人当たり国内総生産GDP)が中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下したり、長期に低迷したりすることを指す。中国を巡っては、ここ数年の成長率の低下と、一人当たり1万ドルといった高度成長経路の区切りから、まさに経済の転換期を迎えている。これまで「曲がり角にきた日本経済」という話を散々聞かされてきたが、とうとうお隣、中国に曲がり角が来たわけだ。

半世紀ほど前、東京外国語大学の学長、中嶋嶺雄先生の講演を聞いたことがある。中国が改革開放路線に大きく舵を切っていた時代だったが、先生は「社会主義的資本主義っておかしくないですか?丸い三角というようなものです」と中国経済の将来に疑問を持たれていた。資本主義は自由が原則だ。中国は民間を抑えて国有企業優先、民間でも自由な活動はできない。先生の指摘は25年経って正しいことが証明されようとしている。

 

■ホンネは経済なんかどうでもいい

前駐中国日本大使、垂水秀夫氏へのインタビュー記事が産経新聞にあった。垂水氏は中国が経済よりも国家の安全を重視し始めたという。

「われわれの論理からすれば外交面で、中国はどんどん独善的に変わってきているということだろう。改革開放政策を進めた鄧小平時代の中国は経済発展が最優先で、比較的平和で安定した国際環境を必要としていた。ところが今の中国は経済発展以上に、国家の安全を重視している。あるいは習近平国家主席自身が中国共産党の正統性のために、中国を強くするとか、中華民族の偉大な復興だとか、人民を鼓舞するようなことばかり言っている。それが行き過ぎた結果が(高圧的な)『戦狼外交』だ」

「一方で中国の地方政府は、投資を呼び込もうと日本企業に盛んに働きかけている。でも、日本企業関係者が中国に行こうかと思っても、ビザ取得のためにそれだけ煩雑な手続きを強いられる。矛盾しているでしょう。なぜかというと中国にとって国家の安全が最重要とされるからだ。経済発展と国家の安全が衝突した場合は、後者が優先される」(引用終わり)

国家の安全イコール習近平の安全だ。人民もいい迷惑だ、と思うのだが。