チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

観光に行けない国

メーサイ、建物の向こうがミャンマー

奥のゲートの向こうがミャンマー

ラオス、ルアンプラバンのメコン

同上、夕暮

船でルアンプラバンに到着したファラン 望遠で

今は中国人ばかりでこういった雰囲気はないそうです。




観光に行けない国

■ビザランとメーサイ

日本人の場合、タイ入国に関してノービザで30日の滞在が認められる。一般的な観光や親族訪問であれば30日あれば十分だ。30日を越えて滞在したいときには有償ではあるがタイの入管事務所に行って観光ビザを取得する、あるいは空路で一度外国へ出てタイに再入国すればさらに30日の滞在が認められる。タイで出入国を繰り返して滞在期間を延ばす方法はビザランと言われ、昔はバンコクカオサン通り近辺の安宿街に沈没するバックパッカーに人気のあった方法だ。バンコクからカンボジアに日帰りで往復するバスも走っていた。でもタイ政府のルールが厳しくなり、現在、ノービザ入国の場合、観光ビザ、ビザランを含め、年間120日以上のタイ国内の滞在は認められていない。

チェンライなど北タイに滞在する旅行者は最北端のメーサイからミャンマーのタチレクに渡り、ビザランをしたものであるがそれが空路なら30日だがタチレクは陸路だからと延長日数が15日に短縮された。更に現在はタチレク経由でのミャンマー入国ができなくなっているので、メーサイに行く観光客やビザラン目的の外国人は激減している。

メーサイには中国製の物資が溢れ、ミャンマーやタイの買い物客で商店街は賑わっていた。でも今は人通りも少なく、道路際に並んでいた屋台も姿を消してしまった。メーサイには「ここがタイの最北端」と書かれた看板のあるテラスがあり、渋谷のハチ公前ほどではないがここで記念写真を撮る観光客で賑わっていた。ヤミ煙草や偽バイアグラを売る人が出没し、うるさいくらいに付きまとってきたものだが、今は人影もない。

 

■ビザのルールはコロコロ変わる

2022年10月から翌年の3月末までの期間限定で、日本人はビザなしで45日滞在できた。日本人だけでなく世界52ヵ国が対象だった。最近、中国とタイは相互に30日のノービザ滞在を認めるというニュースがあったところを見ると、これまで中国人はビザを取ってタイに来ていたようだ。2023年にタイを訪れた中国人は350万人であるが、コロナ騒ぎ以前の2019年の1100万人に比べ、3分の1に減っている。観光客を増やしたいタイ政府の気持ちが見て取れる。

また、タイ政府は2023年11月から今年の4月末までの期間限定であるがロシア人に対して90日のノービザ滞在を認めている。プーケットはホテル代や飲食代が滅茶苦茶高いと聞くが、ロシア人で溢れかえっているという。戦争に行く人たちとは別の階層(または階級)の人たちなのだろう。観光収入がGDPの10%以上を占めるタイにとっては外人観光客の落とす金は無視できない。タイ観光庁は欧米各国からの観光客に対しても90日のノービザ滞在を認めるよう政府に働きかけているという。日本人観光客に対しては同様の対策の働きかけはまだない。ノービザ滞在延長で邦人訪タイ客の増加は期待できないと思われているのだろう。

昨年、2023年にタイを訪れた日本人は約81万人、2019年の181万人に比べ激減している。これは円安のせいで海外旅行が割高になり、それなら国内の温泉にでも、という人が増えたせいだろう。なお2023年に日本を訪れたタイ人観光客数は100万人である。人口比が日タイで約2対1であることを考えると、タイ人が日本に押し寄せている、といってもいいのではないか。

 

ミャンマーに行ってみたいが

ビザランの必要はないが泰緬国境のタチレクには行ってみたい。タチレク経由で空路マンダレーに行ったこともあるし、ランナー王国の古都、チェントンにもタチレクからバスで行った。3年前にミャンマーで軍事クーデタが起き、現在も戒厳令が敷かれている。

ミャンマー軍部はタイでずっとプラユットの軍政が続き、国際的にも認知されていることから、我々も、と思っていたらしいが、タイと違って民主化のシンボル、スー・チーがいたため軍事政権は悪の烙印を押されてしまう。ミャンマー国軍は少数民族と国内で戦っている。昨年10月に国軍が北部シャン州で少数民族連合軍と戦って敗走した。ミャンマーは徴兵制で43万といわれるが実態は15万人で士気は低い。

チェントンまでのバスの道すがら、あちこちで国軍の駐屯地を見たが、こんな山の中ではゲリラの討伐はムリと素人目にもわかった。評論家の宮崎正弘氏もこの地域の治安の安定はあり得ないと言う。西側の経済制裁の陰で中国がミャンマー政府に肩入れしている。しかし中国は少数民族にも武器を売っているし、資金源である覚醒剤製造にも関与している。武器、弾薬が手に入るのだから内戦状態はしばらく続く。観光どころではない、がミャンマーの現状だ。

(尚、この2月に陸路でラオスに1日で入出国し、30日延長のタイビザが貰えたという情報があります。)