チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

気分昂揚の非日常

我が家のバナナ

ブアさんちのバナナ

我が家のオクラの花

結構おかずになる

我が家のパパイヤの花

パパイヤ、もうすぐ食べられる

 

 

気分昂揚の非日常

■頂き女子

頂き女子とは、出会い系アプリやSNSで男性に接近し、恋愛感情を刺激してお金を〝頂く〟女性のことだという。頂き女子りりちゃんという25歳の女性が逮捕され、11月初めに初公判が開かれた。彼女は熟年男性から総額3億円ほどだまし取った詐欺罪、並びに騙しのテクニックを書いた恋愛マニュアルを販売した詐欺ほう助罪で起訴されている。暇なのでSNSで彼女が男性にかけた電話の音声を聞いてみた。「いまメンタルやられすぎてていつも〇〇くんの優しい温かい言葉に支えられてて、それでがんばれてるからそれ伝えたくて、衝動的に電話かけちゃって今トイレにいるんだけど……」 と甘えながらも切羽詰まったようなテンションで相手に電話をかけている。

これを聞いて俺が何とかしなければ、と思った男性が少なからずいたということだろう。心優しいというか下心があるというか、よくわからない。でも日本の熟年男性て、結構お金持っているんだなあ、と思う。いくらSNSの女性に貢ぐにしても自分の生活費も含めて一切合切を送金するということはない。自分の自由になる範囲のお金が何千万円もあるということだろう。こういった詐欺に引っかかる男性は人に比べて高収入というわけではなく、どちらかというと真面目にコツコツと働いてお金を貯めてきた人が多いという。もちろん女性との交際経験は少ない。女性にほとんど縁がなく、実直に年金をコツコツとためてチェンライに家を建ててしまった自分も被害者予備軍だ。

頂き女子は日本に限ったことではなく、タイには頂き女子がそこら中にいる。「バイク事故にあって病院の支払いが・・」、「妹の学校の制服が買えない」から始まって、田舎の両親に家を建ててあげたいまで、結構の数の邦人男性がタイ女性にお金を巻き上げられている。でも被害男性には、おかしいなと思っても俺が助けてやらねば誰が助けるのか、という秘かなヒーロー意識があるのではないか。いいことをしている、と気分も昂揚したことだろう。

タイの場合、女性に渡ったお金は多くの場合、貧困家庭への仕送りとなる。先進国から中進国への所得移転、真水の貧困支援となることが多い。でも頂きりりちゃんの場合、騙し取った金はホストに渡っていたという。お金が回るという意味では日本のGDP 拡大に役立った、と言えなくもないが、これでは被害男性も浮かばれない。

 

オレオレ詐欺

オレオレ詐欺にあったおばあさんは、孫や息子が事故や女性問題で大変な状況になっている、何とか私が助けてやらねば、といった善意の老婆心を発揮したため、お金を騙し取られる。でも被害者が犯人を憎むより「私があの子を助けようとした一心は純粋なものだった」と自分を慰めるという。そういった人を思いやる優しい心を逆手に取る特殊詐欺は本当に許せない。

本年6月に102歳の長寿を全うした文化勲章受章者の洋画家、野見山 暁治さんもこの特殊詐欺に引っかかったことがある。ある日、東京美術学校の同級生(と称する男)から電話がかかってきて、弟子の女性を孕ませてしまった、産婦人科に行くのだが金がない、という。おかしいな、と思って電話を切った。あいつの奥さんはうるさい人だから、困っているのだろうか、と思っているところに再度、電話がかかってきて、ウーウーと電話口で唸っている。わかった、すぐ100万送る。送金が済んで、更に追加送金をしようとしているところへ野見山さんの女性秘書が出勤してきて「先生、それ詐欺と違いますか?」。

結局、特殊詐欺と分かったのだが、この時、野見山さんは87歳(確か)、ということは同級生も同じ年だ。それで若い女性を孕ませるということは常識的にはあり得ない、と気づくはずだが、野見山さんは、彼も男だからつい若い女に目がくらんだのだろう、と電話を疑いもしなかったようだ。以上は彼の随筆で読んだ。野見山画伯の人となりが伝わってくるいい文章だった。

 

■掛け子も相手にしてくれない

感染症騒ぎの日本から戻って約2年経った。ずっと週5日のテニスを中心に落ち着いた日々を送っている。こういった刺激のない毎日だと、何かドラマチックなことを期待する気持ちが心の奥で湧いてくる。ヤキモチ焼きの奥さんを持つ友人から「女の子を孕ませた、助けてくれ」という電話があれば、勇躍、義侠心を発揮する心づもりはあるが、フィリピンやカンボジアにいる「掛け子」は北タイの退職老人を相手にしないようだ。

ここ2年一度帰国しただけで長期の旅には出ていない。日常打破は自分から動かなくては。久しぶりに外国に出かけてみるか、考えることはそれくらい。