何のコスプレか
肥満と健康
■疑似寝たきりとなる
7月末から8月初にかけてチェンライの天気予報は「激しい雷雨」のオンパレードだった。チェンライ県は広いから県内のどこかで降っていても自分の居住地域では降らないこともある、とタカをくくっていた。でも先週は朝に雨が降っていたため1日しかテニスができなかった。テニスを休む土日も早朝から豪雨、いつもの朝市には行けなかった。テニスにも買いものにも行かないということはほとんど体を動かさないということだ。パソコンをちょっと眺めて、飽きるとベッドに横たわる。これでは結核療養者の生活だ。このまま認知症が進めば寝たきりとなるが、まだ早い。
まだ健康である証拠には食欲はある。概ね自分で簡単な料理を作る。夕食にはビール、ラオカオを少量飲む。食べる量に気を付けているのでそれほど体重は増えないと思っていた。でも実際の体重は増加傾向だ。その理由は果物だ。隣家からブアさんがマンゴーを持ってくる。出身村のロンブーの親戚、友人からも届く。時には美味しそうで、1個5B(20円)だったからとマンゴーを買う。それで食後にいつも1,2個のマンゴーが供される。
今はラムヤイが盛りとなっている。直径2,3センチの小さい実であるが殻を割ると半透明の甘い果肉が現れる。食べ始めるといつの間にか、殻で丼が一杯となってしまう。これ一つで終わりにしよう、と思いながら、次が最後の一つ、と手が伸びる。結果として本当の最後の1個を食べ終えた後は、満腹の蛇のごとくベッドで丸くなっている。要するに太るのは果物のせいである。
マンゴー、ラムヤイに限らず、マンゴスチン、ドリアンなど、あの甘い誘惑は妙齢の美女の魅力をはるかに凌駕する。もう色気より食い気の年なのだろう。
■肥満=貧困
戦前の共産党のアジビラを見ると、労働者階級はガリガリに痩せていて、資本家はデブとなっている。肥満は富の象徴であった。しかしながら米国では所得の低い層、特に黒人に肥満傾向が顕著という。お金持ちはスリムで貧乏人はデブ、は米国だけではない。
厚労省による調査「国民健康・栄養調査結果」によると、明確に「所得が低い人ほど肥満の割合が高い」という結果が出ている。所得が600万円以上の世帯に比べて、200万円未満世帯の人は、肥満の割合が高いのだ。食費に困る人ほど、「お腹を満たす」食事をしている傾向が高い。お腹を満たす食事とは。
・そばやインスタント麺をよく食べる
・鶏肉と豚肉どちらをよく食べるといえば、豚肉
・お菓子は和菓子よりも洋菓子
・ウイスキーやワインではなく日本酒やビール
・マヨネーズや味噌の調味料をよく使う
我が所得は200万円未満であるし、食事にも思い当たるフシはある。そうか、肥満は運命的条件であったか。決してありがたいとは思わないが、大好きな和菓子や日本酒が手に入らないだけ、健康な食生活と言えるかもしれない。
■痩せればいいかというと
肥満度を測る指標としてBMIがある。BMIは(体重㎏÷身長mの2乗)でこの指標が18.5-25を普通体重としている。肥満は35以上、拒食症は17.5以下からとか。
自分のBMIは26弱で普通体重に近い肥満である。冠動脈を手術してくれた医師からあと6キロ体重を減らせ、と言われたがそんなに減ったら「あんたガンじゃない?」とか「クスリやってるの」と言われるのがオチだ。それに老人の体重減少は筋肉量だけ落ちて内臓脂肪はあまり減らないので、痩せることが健康や生活レベル維持にいい結果をもたらすとは限らない。
文部科学省の研究班が65~79歳の高齢者を11年間調査した研究では、「男性はBMI27.5~29.9、女性はBMI23.0~24.9のとき、いちばん死亡リスクが低い」という結果が出ている。また、この研究では、高齢者では太っていると死亡リスクが低くなり、やせていると死亡リスクが高くなるという傾向も明らかになっている。
老人の体重減少は認知症のリスクを高めるというし、自分ももう少し体重が増加しても大丈夫と気が楽になった。鶴のように痩せた知人がいたが、糖尿病であっけなく逝ってしまった。医療関係の知人は、糖尿病は体から養分が流れ出ていく病気だから多少太っていて、いわゆる「痩せ代」があれば長引く闘病生活を乗り切れたかもしれない、と言っていた。
ともあれ、肥満も痩せすぎも体に良くない、また一見、普通体重であっても筋肉量、脂肪量によっては健康と言えない場合もある。
バランスの良い食事をして、適度な運動をして、ストレスを避ける、これが健康な晩年を送るコツのようだ。体重の増減で一喜一憂するようなストレスのある暮らしでは長生きできない。当たり前だがこれが結論か。