チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ロングステイのリスク

花祭りから

同上

同上

同上

シクラメン

ボートで乗り付ける人も

 

 

ロングステイのリスク
■日本人会
先頃、チェンライ日本人会の新年会が空港近くの日本レストランで開かれた。会員、家族合わせて30-40名、昨年の忘年会以来、久しぶりにお目にかかるという会員も多い。自分はチェンライに来てすぐ日本人会に加入した。今年で14年目になるが、半分近くの会員の名前と顔が一致しない。古い人が帰国したり、亡くなったりして、代わりに新人が増えているということだろう。新しい会員との会話は、こちらに来てどれくらいですか、お住まいは、ご出身は、と当り障りない話題から始まる。

旧日本軍では1日でも早く入隊した兵士のほうが偉い。これは曹洞宗の1日でも早く永平寺に入門した僧のほうが偉いという風習が軍隊に引き継がれたからという。この風習は学校の部活にまで及んでいる。別に長く日本人会にいるからと言って先輩風を吹かせる気は無いが、何か新人に助言できることがあれば、という気持ちはある。自分だってチェンライに来た当初は多くの邦人にお世話になったし。

でも最近、この会話の流れがスムーズにいかないケースが増えてきた。というのは日本人会に入会したが、それまで20年以上、タイに在住しておりまして、という方が何人かおられるからだ。将棋クラブに有段者の新人が入ってきたという感じか。20年もタイに在住しているのだから、年齢は自分より上、どうしてこれまでの場所からチェンライに移られたのですか、どちらが過ごしやすいですか、とか、こちらが教えを乞う形で勉強させてもらう。

国保は安心の源
今回、入会希望の日本人夫婦はご主人が81歳、奥さまが78歳、チェンマイに20年お住まいだったそうだ。ご夫婦でタイ滞在20年以上は珍しい。チェンマイには日本人会がいくつもあるし、日本の友人も多かったそうであるが、息子さんがパヤオの大学の先生になっているので、チェンライの隣県、パヤオに住まいを移されたとのことだった。

パヤオにはパヤオ湖があり、風光明媚なところであるが、周りに邦人がいなくて寂しいとのこと。お二人ともお元気そうであったが、健康に不安を感じられたら帰国されるのではないかと思った。自分の知っている邦人夫婦は殆どが帰国されている。

年を取れば友人、知人が少なくなり、寂しさを感じる。これはタイにいても日本にいても同じだろう。でも体に不調が生じた場合、日本にいたら助かったのに、というケースはある。治療を受けるにしてもタイ語や通訳の説明では心もとない。「シクシク痛むんですが」を携帯でタイ語翻訳すると「鈍痛がある」のタイ語になる。こんなやり取りをタイの医者と繰り返すのではストレスで病状が悪化してしまう。

それに健康でなければロングステイも海外旅行もあったものではない。もし病気になったら納得のいく治療を日本で受けたい、はタイに限らず、欧米在住邦人にも広がっている共通認識だ。もちろん、これは治療費の問題もある。国保制度は国民の安心の源泉と言える。

■リスクもいろいろ
海外に住むリスクの第一は健康である。死ぬまで健康であるという保証はないのだから、いざとなったら帰国できる手立てを取っておく必要がある。海外に住みたい、という人への助言の第一は、日本の家を処分しないこと、必ず帰って住む家を確保しておくこと、である。

人生何が起こるかわからない。リスクは健康ばかりではない。タイに来て初めて結婚できた、相手は自分より40歳も年下、気立ての優しいタイ女性、車も買ったし、家も建てた、老後は彼女に見てもらおう。ところがその若い奥さんが急死する。財産はすべて奥さん名義、奥さんの親族がこの家から出て行け、車もこっちのものだ。こうなるとタイ人は親族、村人、役所すべて結束する。幸せもつかの間、豪邸を追い出され、アパートの一室で細々、年金暮し、帰るにも日本の家はない。こういったケースは稀ではない。

先般、20年以上、チェンライに暮らしていた邦人が急死した。付き合いは殆ど無く、葬儀に参加した邦人は2,3名とのこと。奥さんは日本語が話せない。地元で葬儀、荼毘は済ませたが、総領事館に死亡連絡をしたのかどうか誰も知らない。正式な婚姻であれば配偶者に年金の半額が支給されるが、奥さんはそれを知らないだろうし、手続きを手伝う友人もいない。「自分が死ぬ」は当然の理でリスクではない。でも残された人が困る、はリスクと言えようし、その軽減の手立てはしておくべきだろう。

日本人会に入会して、先人からいろいろアドバイスを受けていれば、役員も動きようがあったのではないか。日本人会への入会はLSのリスク軽減の一環と声を大にして言いたい。