チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

遠足で深刻な話

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

遠足で深刻な話

■美味しい店
昼食は湖のほとりの「タークワン」というレストランでとった。このレストランは3年ほど前、中国人が開いたタイ料理の店だ。テラスでも食事できるが、店内をガラス戸で仕切ることができるので、冷房の利いた部屋で食事を楽しむことができる。
開店した当時、パヤオ県で医療関係の仕事をしていたJICAのシニアボランティアが連れて来てくれた。天井が高く、洗練された雰囲気、そして料理の味が抜群ということで、その後も何回か来ている。

遠足幹事から昼食は何処で食べたらいいか、と相談を受けたとき、迷わずパヤオ湖畔のレストラン「タークワン」を考えたが、その時は店の名前が分からない。名前は知りませんが行ってみればわかりますから、その店にしましょうといった感じだった。

パヤオ湖には前会長の奥さんが先に着いていた。「今日の昼食はこの店、もう20人予約したからね」という。その店が「タークワン」。美味しい店は誰もが知っているみたいだ。7種類の料理を彼女が頼んでくれたので、メニューを見てウンウン唸る苦痛からも解放された。

■年金に所得税
20人ほどのテーブルのうち半分が男ばかりの日本人、半分がタイ人の奥様方である。タイ人の奥様方はお酒が強く、ビールで大変盛り上がっている。我々邦人グループも大いに盛り上がったのであるが、その話の内容がいくらか深刻なものだった。

最近、チェンライの税務署の関係者が邦人年金生活者のもとを訪れ、年金の所得税の督促をしている、とのこと。年間の税額は最新のパソコンが買えるほどだという。過去3年にわたって徴収されるというから年金生活者にとって痛い話である。

年金には所得税がかかる。税の仕組みは国によって違うが滞在国でも所得税を課税される可能性がある。二重課税を防ぐために結ばれるのが租税条約だ。
日本が各国と結んでいる租税条約の多くは、年金について日本における課税を免税としているが、タイとの間の租税条約にはこの条項はないので、租税条約が結ばれていない国の場合と同じ取り扱い(日本で源泉徴収される)になっている。

日本で源泉徴収されたあと、さらにタイでの課税もあり、同じ年金に対して2つの国で課税が行われることになってしまうが、日本とタイの租税条約には日本で源泉徴収された所得税をタイで控除できるという条項があるので、理論的には二重課税とはみなされない、ネットにはある。

■大使館は親身でない
チェンライ日本人会の会長さんが、総領事館経由で日本大使館に問い合わせたところ、租税条約から年金は外れているからとりあえず払っておいた方がよい、という返事だったそうだ。確かにタイ税務当局の言う通りに支払えば問題は起こらない。しかし大使館の対応はあまりにも事なかれ主義で親切心を欠いていると思う。

今はチェンライだけのことであるが、チェンマイバンコクで暮らす年金受給者にも税務当局から所得税の督促が来るかもしれない。ただ払え、という前に、控除方法、手続きの注意点をネットで周知してくれてもいいのではないか。

チェンライの税務署は日本での所得税がタイで控除できることを説明していないようだ。タイ語で書かれた書類にタイ語で記入するらしいが、普通のタイ人の奥さんなら、お上に盾突くとどんなことになるやもしれず、係官の言う通りに書類を作り、支払うことになる。
タイの一般庶民にとって官庁職員は、前世でタンブンを積んだ偉い人だから、逆らうことは「悪行(バーブ)」になるとさえ思われている。既に二重に所得税を払ってしまった人も数人いる。

■不公平な督促
課税は公平でなければならない。しかし今、所得税の督促を受けている人は、日本からの年金を年金機構からタイ国内の銀行に送金してもらっている、タイ人の配偶者がいる、タイの在留届けを出しているなどの共通点がある人に限られ、年金受給者全てが対象ではない。

日本の年金事務所ではタイで暮らすと言えば、タイでの納税義務について説明してくれるという。どうやら自分も本来であれば、タイの税務署に出向き、年金収入があることを伝え、タイでも所得税を払います、と申告しなければならないようだ。
しかし自分の周りで税務署に所得税を支払いに行っている年金受給者は皆無である。

これまではタイ当局のお目こぼしで、これからはそうはいかないのか、督促はチェンライ在住者だけなのか、全国に広まるのか、また全ての年金受給者が対象なのか、よくわからない。

督促されても支払わないという選択もタイではありうると思うが、どういう結果になるか、だれか試してもらえないだろうか。

写真は旅行中のスナップ、お寺で高校生と記念撮影、皆で食事。