チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

パヤオへ遠足

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パヤオへ遠足

■ワクワク感は変わらない
遠足と聞くと心が躍る。小学生の時の遠足というと高尾山、浜離宮、お台場公園といったところを思い出す。持っていくお菓子は学校から100円以内と決められていた。母に持っていくお菓子の値段は限度内かどうか何回も念を押した。遠足はハレの日で、母の作ってくれた卵焼きや海苔巻きの弁当も楽しみだった。

日本人会主催の遠足はパヤオ、チェンライから100キロほど離れた山と湖の街だ。パヤオ王国の成立は13世紀にさかのぼるというから北タイの古都でもある。チェンライからパヤオまでは平坦な国道一号線をひた走るだけだから、時間にして1時間ほどで着いてしまう。参加者は16名、他に現地参加の人が数名、パヤオには何度か出かけたことがある人ばかり。

8時集合だから寄り道して参加者を拾って行っても10時前にパヤオに着いてしまう。帰着は19時となっているが、何処を見物するのだろうか。
以前にも書いたがパヤオは「地球の歩き方」、「ロンリープラネット」など名だたるガイドブックから全く無視されている街なのだ。

■貧しい県
パヤオ県は1977年にチェンライ県から分離独立した新しい県である。東京都の3倍ほどの面積に50万人が暮らしている。パヤオ県はタイにある77県のうちでも貧乏な県として知られている。農業、水産業を除けばさしたる産業がない。もともとヤオ族、モン族、タイルー族など少数民族が多く居住し、彼らの多くは社会的に困難な境遇にある場合が多い。こうした背景がパヤオの貧困イメージを強める要因となっていた。

パヤオは日・タイ両国共同の貧困対策キャンペーンの対象となっており、JICA、YMCA、各国のNGO団体が少数民族支援や人身売買撲滅などの活動を行っている。
パヤオ県のドク・カムタイ村には通称「じゃぱゆき御殿」という家が林立しているという。ふた昔も前、この村から日本へ出稼ぎに行った娘さん達の送金で村人が競って家を新築した。まさかこの村を訪ねるわけではあるまい。

■シーコーカム寺院と水底遺跡
ワゴン車に乗り込むとまずプシュッと缶ビールを開ける。朝から幸せ。子供の時はお菓子と弁当、60過ぎては缶ビールが遠足の楽しみ、いくらか進歩している、といえるかどうか。

車は先ず、シーコームカム寺院へ。この寺はパヤオ湖のほとりに位置し、北タイで隆盛を誇ったランナータイ王国の様式で作られた仏像、プラチャオトンルアンが安置されている。同仏像は座像で幅16m、高さが18mある。鎌倉の大仏が11m、奈良の大仏が15mの像高であるから、大きさではこちらに軍配が上がる。単にパヤオ県を代表する仏像ではなく、ランナータイ王国を代表する仏像で、この仏像が完成するまで30年以上を要したと言われている。

お寺を参詣したあと、パヤオ湖の湖底に眠る寺の遺跡を見物、舟賃は往復20B、5人集まらないと舟が出ないのだが、1人でも100B出せば舟は出る。甥夫婦が来た時は3人で一艘仕立てた。

船着き場でライフジャケットと麦わら帽子を貸してくれる。曇り空でも紫外線は強い。手漕ぎの櫂で舟はゆるゆると進む。島で水底から引き揚げられたという仏様を拝んでまた舟へ、舟から見る湖の風景は美しい。エンジン付きの舟は一艘もない。漁舟も高瀬舟、鵜舟に似た平底の小型木造舟ばかりだ。ということはこの湖は静けさに包まれている。
夕日が湖を赤く染める頃、缶ビール持参で舟を仕立てるなら、100Bの舟賃は決して高くない。

■アナラヨ寺院
湖の対岸に見えるブッサラガーム山の中にアナラヨ寺院はある。パヤオ湖から20キロ位だろうか。山の中に20棟ほどの本堂、伽藍、僧堂があり、工事中の建物も多い。

駐車場横の建物の柱には漢字が刻まれている。中国系のお寺かと思いながら参道を登ると、クメール様式の山門にぶつかる。参道の両側には大小様々な仏様が安置されている。蛇の飾りが多いのはやはりヒンズー教の影響だろう。蛇はインド神話ではナーガ、天候を制御する力を持つ神である。怒ると旱魃を、宥められると恵みの雨をもたらす。ナーガは仏教では八大竜王となっている。

高さ18mの白亜の大仏を右にみて参道を進むと龍の彫刻が施された山門に至る。ここから道はいくらか登りとなる。昼のビールの酔いもあってここで引き返そうと思ったが、仁和寺石清水八幡宮参拝の法師の例もあることと、更に石畳の道を歩いた。道は鬱蒼とした木々で囲まれ、まるで比叡山の飯室谷のようだ。

道は美しい本堂に突き当たった。本堂の金色に輝く櫃の中に高僧アナラヨ師の遺骨が納められているという。ここが最終地点。

本堂から眼下に湖とパヤオの田園風景が広がる。この眺望一つだけでも遠足に参加した意味は充分あったと思う。


写真上から「シーコーカム寺の大仏」「パヤオ湖」「湖底にあった仏像の前で」「本堂のテラスから」「奥の院への門」「アナラヨ、蛇と仏像」「アナラヨのクメール門」