チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

散髪

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散髪

■年を取ったら小奇麗に
年を取ったら身だしなみに気を使わなくてはいけない。現役時代は結構お洒落だった人が、定年後、髪は伸び、無精ひげが目立つのに、本人は全く無頓着、という姿を見て痛ましい思いをしたことがある。

チェンマイのロングステイヤーは2極化しているそうだ。すなわち、年金、預金があって生活に余裕がある人、もう一方は無年金で一般タイ人の生活水準にある人達だ。後者の人はヨレヨレのTシャツ、着古した短パン、すり減ったサンダル、見た目もみすぼらしい。
襤褸は着てても心は錦」という歌があったが、これは若い人の話。年を取ったら「襤褸を着てたら心は乞食」になりかねない。

チェンマイには読売、日経など日本の新聞をロビーに置いている高級ホテルがある。そこに髪はボサボサ、無精ひげの老人達が新聞を読みに集まる。むさくるしい老人集団は異様であるし、時には読み終わるのが遅いと仲間内で喧嘩を始めることもあると聞く。

自分も日常、Tシャツ、短パンの服装であるが、見苦しくないよう、いつも洗いたてのものを身につけるよう心掛けている。散髪は20日毎に理髪店へ行く。シャワーは1日2回、3回以上浴びる日もある。朝シャンなど、親の懐具合も考えず、ガスや水を浪費する女子高生の愚行、と考えていたが、今では朝、シャワーを浴びないと気持ちが悪い。郷にはいって郷に従っているということか

朝、ヒゲを剃り忘れるとすぐブアさんが「カモーイ(泥棒)みたいだ」と顔をしかめるので、ヒゲは剃る。電気カミソリだと、2,3本剃り残しが出るので週に1回は安全剃刀を使う。

思えば清潔になったものだ。

■タイの理髪店
來タイ当初、バンドゥー温泉の近くにある理髪店に行っていた。でもどことなくタイ風の頭に刈られるし、理髪店主がナヨナヨしていて、いかにもゲイという手つきで髪をいじるのに嫌気がさして行かなくなった。

今は家の近くの美容店に行っている。椅子は一つ、40歳位の女性一人で切り盛りしている。カットだけで洗髪なし。櫛で持ち上げた髪を電気バリカンで思い切りよく切っていく。あとはハサミで髪をすいて形を整える。時間にして5分ほど。早いし、出来上がりに満足している。
料金は30Bであるがいつも40B(100円)渡す。散髪に3割以上のチップをはずむとは我ながらリッチになったものだと思う。

チェンライの邦人はそれぞれ行きつけの理髪店がある。洗髪、顔剃りを含む日本で言う総合理髪で60-100Bの範囲のようだ。タイ人に聞くと50-60Bのところへ行くという。日本の総合理髪の全国平均価格は3620円(2003年全理連調査)、今では1000円のカット専門店が主流になっていると思うが、近頃はデフレで料金3ケタの理髪店も出ていると聞く。

概ね、カットでも総合理髪でもタイの理髪料金は日本の10分の1といったところか。兄は日本に帰国してまず行くのが行きつけの理髪店、3600円もする。タイのおばさんの店ならなら40回以上通える。

作家の村上春樹氏はかつて、「行きつけの床屋は千駄ヶ谷にある。僕は今のところ藤沢に住んでいるので、二カ月に三回の割合で小田急のロマンス・カーに乗って、千駄ヶ谷まで髪を切りに来る」(『村上朝日堂の逆襲』)と書いている。よほど、お気に入りの床屋だったのだろう。

帰国の予定が合わないと、兄は仕方なく30Bのカットで間に合わせている。散髪しに日本に帰る、と言い出さないだけいいとすべきか。

■母の散髪
今、母は美容室に行くこともままならない。それでも髪の毛は伸びてくる。バンコクの一流美容室で働いていた女性が友人の奥さん。彼女に出張カットをお願いしている。腕がよく、チェンライのお金持ちの奥様方のファンが多い。カットに1000B払う人もいるというが、母の場合、友達価格で1回50B、それも受け取ってもらえないのでお願いするのも気が引ける。

かなり髪が伸びてきたし、そろそろカットをお願いしよう、と思っていた頃、所用があり兄とチェンマイに泊まりがけで出かけた。
帰宅してビックリ、女中のジンさんが留守中に母の頭を鋏でショートカットにしていた。ショートカットというより一休禅師の頂相(ちんそう、肖像画)のようないがぐり頭になっている。
ジンさんもブアさんもニコニコしているし、今更怒っても仕方ない。

その後ジンさんの住むシャン族の村に行ってみたら、村のおばあさんが皆、母と同じヘアスタイルだった。ジンさんは丸刈りのプロだったようだ。

あれから2カ月、友人の奥さんに髪をカットしてもらい、いくらか女性らしい髪型になった。カットがいいと清潔感が違う。奥さんにはお手数だが、早め早めに母のヘアカットをお願いしなければ、と思った次第である。


写真上から「行きつけの理容室」「母とジンさん」「シャン村のお婆さん」「一休禅師頂相」